ミキサー車は空車状態でもドラムの重量が加算されるため、大型クラスでは空車のまま一般的制限値を超えることがあります。この場合、生コンを積まない状態でも特車申請が必要です。
一方、生コンクリートを積んだ状態での重量超過は特車申請で対応できません。生コンは分割して運べる貨物と見なされるため、積載状態での申請を出しても不許可になります。積載時に違反にならないためには、1回あたりの積載量をコントロールして総重量を制限値以内に収めるしかありません。
申請が必要になるケース
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 空車での総重量超過 | ドラム込みの車両重量が20tを超える大型ミキサー車 |
| 空車での高さ超過 | ドラム上部を含む全高が3.8mを超えるケース |
ミキサー車で特車申請が必要になるのは、空車状態での総重量または全高が一般的制限値を超える場合です。
一般的制限値は総重量20t・全高3.8mです。大型ミキサー車(8〜10m³)は空車状態で総重量が18〜22t前後になる機種があり、この範囲に入ると申請対象です。
小型(3〜5m³)は申請不要なケースが多いですが、車両によって異なります。「この容量なら不要」という目安判断はせず、車検証の空車時総重量・全高の数値で判断します。
ドラム容量ごとの重量目安と積載量の計算方法は生コン車の積載量と車両重量でまとめています。
車種別の申請要否の目安
ミキサー車はドラム容量によって空車時の車両重量が大きく変わります。小型(3〜5m³)は申請不要なケースが多い一方、大型(8〜10m³)は空車状態でも総重量が制限値を超える機種があります。
車種別の重量目安と積載量の計算方法は生コン車の積載量と車両重量でまとめています。申請要否の判定は、そちらの数値を車検証と照合して確認してください。
生コン積載時は特車申請できない
「積載状態で総重量が20tを超えるから特車申請を出す」という判断は誤りです。
特殊車両通行許可制度は、重機や鉄骨など分割して運べない単体の貨物のための制度です。生コンクリートは複数回に分けて運べると判断されるため、積載状態での申請を出しても許可は下りません。特車申請と過積載の違いも参照してください。
生コン輸送での適法な走り方は、積載量をコントロールして総重量(車両重量+積載量+乗員重量)を制限値以内に収めることだけです。
制限値の目安
| 道路区分 | 総重量の制限値 |
|---|---|
| 一般道(通常) | 20t以下 |
| 重さ指定道路(新規格車) | 最大25t ※ミキサー車は原則20tのまま(後述) |
| 高速道路(特例5車種) | 最大44t(ミキサー車は非該当) |
ミキサー車はタンク型として特例5車種に分類されますが、特例5車種の重量緩和はセミトレーラー等の連結車に適用されるものです。単体車であるミキサー車には適用されないため、高速道路での重量緩和は受けられません。
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空車状態で制限値を超える場合は、通常の特車申請と同じ手順で進めます。
品名の選択と諸元の入力
オンライン申請システムで貨物情報の品名欄には「空車」を選択します。ミキサー車のドラムは車体の架装として登録されているため、車検証に記載されている「長さ・幅・高さ・車両重量」はすでにドラムを含んだ空車状態の数値です。車検証の数値をそのままシステムに入力するだけで申請データを作成できます。
経路と通行条件
生コン工場から建設現場までの経路を申請します。市街地の建設現場が多い場合、経路に未収録道路が含まれるケースがあります。未収録道路が絡む申請は個別審査が発生し、2〜3か月かかることもあるため、工事開始前に余裕を持って申請を出します。
通行条件のC・D条件が付いた場合は誘導車が必要です。生コンは時間制約がある荷物のため、夜間条件が付くと配車計画への影響が大きくなります。
積載量管理の実務
総重量の計算
生コンクリートの比重は約2.3〜2.4t/m³です。8m³積みのミキサー車に満載すると積載量だけで約18〜19tになります。車両重量が10〜12t前後の車両では、満載状態での総重量が28〜31t前後になり、制限値の20tを大きく超えます。
車両重量11t・比重2.35t/m³の例で計算すると、3m³積載で総重量18.1t(制限値以内)、4m³積載で総重量20.4t(超過)です。この仕様では積載量を約3.8m³以下に抑える必要があり、満載(8m³)の半分以下が目安になります。
積載量と総重量の関係
8m³ミキサー車の例|車両重量11t・生コン比重2.35t/m³で計算
車両重量11tの場合、積載できるのは最大約3.8m³まで。満載(8m³)の約半分以下に抑える必要がある
8m³満載では総重量約29.8t。制限値の約1.5倍。2倍(40t)を超えると即時告発の対象
隣接軸重の管理
総重量の管理だけでは不十分です。後輪2軸のミキサー車では軸重・輪荷重・隣接軸重の管理も必要になります。
後輪2軸の軸距が1.8m未満の場合、隣接軸重の制限値は18t(各軸9.5t以下の場合は19t)です。総重量が20t以内に収まっていても、後輪に重量が集中して隣接軸重が18tを超えると重量超過違反になります。生コンはバラ積み貨物のため重量緩和の特例が一切なく、この点での摘発事例が多発しています。積載量管理では総重量と隣接軸重の両方を確認します。
なお、総重量が制限値の2倍(40t)を超えた状態での走行は、警察への即時告発の対象です。

重さ指定道路でも25tは適用されない
現場で多い誤解が「新規格車だから重さ指定道路なら25t積んで走れる」というものです。これは過積載として摘発される原因になります。
重さ指定道路で総重量25tの緩和を受けるには、「最遠軸距7m以上かつ車両の長さ11m以上」という寸法条件を満たす新規格車である必要があります。
一般的な大型ミキサー車は現場での取り回しを優先した設計のため、最遠軸距が5〜6m台・車長が8〜9m程度です。この寸法では重さ指定道路であっても制限値は原則20tのままです。車長9m以上の車両で例外的に22tになるケースはありますが、25tにはなりません。
道路の種類にかかわらず、制限値は車検証の車両重量から計算して確認します。
荷主への罰則
重量超過が発覚した場合、ドライバーと運送会社だけでなく、出荷した生コン工場や工事を発注した建設業者・元請けも荷主として罰則の対象になります。2025年6月以降、罰則は「6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」に引き上げられており、認知の有無にかかわらず適用されます。
生コン工場が責任を問われやすいのは、出荷量の設定が恒常的に過積載を招いているケースです。「毎回この量で出荷している」という慣行が原因になっている場合、工場側の管理責任が問われます。トラック・物流Gメンと荷主責任では荷主への勧告・措置命令の流れを確認できます。違反時の罰則の全体像は特殊車両違反の告発と許可取消でまとめています。
まとめ
ミキサー車の特車申請は、空車状態での総重量・全高が一般的制限値を超える場合にのみ必要です。空車申請の手順は通常の特車申請と変わらず、品名に「空車」を選択して車検証の数値をそのまま入力します。
生コン積載時の重量超過は特車申請で対応できないため、1回あたりの積載量を管理して制限値以内に収めます。管理すべき数値は総重量(20t以内)と隣接軸重(後輪2軸で18t以内)の2つです。新規格車であってもミキサー車の車体寸法では重さ指定道路での25t緩和は受けられず、制限値は原則20tのままです。
特車申請の制度・手続き・車種別対応の全体像は特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
よくある質問
- 空車では制限値以内ですが、生コンを積むと超えます。申請は必要ですか?
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空車で制限値以内であれば空車での特車申請は不要です。積載状態での重量超過は特車申請で対応できないため、積載量を調整して総重量を20t以内に収めます。
- 4〜5m³の小型ミキサー車も申請が必要ですか?
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車両の空車時総重量・全高が一般的制限値以内であれば申請不要です。容量で判断せず、車検証の数値で確認します。
- 生コン工場から現場までの経路が毎回変わります。申請はどうすればよいですか?
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頻繁に使う経路をあらかじめ申請しておき、新しい経路が発生するたびに追加申請する方法が一般的です。申請方法の使い分けは「特車申請『変更』と『新規』の使い分け」で確認できます。
- 隣接軸重超過はなぜ起きるのですか?
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後輪2軸の軸距が1.8m未満の場合、隣接軸重の制限値は18tです。生コンを積んで後輪に重量が集中すると、総重量が20t以内でも隣接軸重が18tを超えるケースがあります。
- 重さ指定道路を走れば生コンを多く積めますか?
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一般的な大型ミキサー車は車長・最遠軸距の寸法要件を満たさないため、重さ指定道路でも制限値は原則20tのままです。25tに緩和されることはありません。

