車両の前面に「20t超」の表示があるトラックは、新規格車の条件を満たした車両です。高速自動車国道と重さ指定道路なら、20tを超える総重量のまま通行できます。
一方、倉庫や工場の手前で指定のない道路に入れば、総重量の上限もその道路の数値に切り替わる仕組みです。上限を超えたまま走るなら、短い区間でも特車申請が必要です。
この記事では、新規格車と増トン車の違い、「20t超」標章の意味、重量の区分、特車申請が必要になる場面を順に解説します。
新規格車とは
道路を走る車両の総重量は、一般的制限値として20tまでと決まっています。新規格車は、この上限を条件つきで引き上げた車両の区分です。
重量の引上げが認められる道路は、主に高速自動車国道と重さ指定道路になります。それ以外の道路に入ると、単車などは上限が20tに戻り、超えれば特車手続きが必要です。特例5車種の連結車は扱いが異なり、道路の種類ごとに別の総重量特例が設けられています。
対象になるのは、車両の長さや最遠軸距など一定の条件を満たした車両です。最遠軸距とは、いちばん前の車軸からいちばん後ろの車軸までの距離をいいます。幅2.5m・長さ12m・軸重10tといった総重量以外の数値は、一般的制限値の範囲内に収まっていることが条件です。
車両の長さや最遠軸距など一定の条件を満たし、高速自動車国道や重さ指定道路で、一般的制限値を超える総重量で通行できる車両です。
積載量を増やしたトラックなどを指す一般的な呼び方です。呼称だけでは、新規格車に該当するか判断できません。
増トン車との違い
増トン車は、ベースとなる車両よりも最大積載量を増やしたトラックを指す業界の呼び方です。法令で定めた区分ではないため、販売店や運送会社によって指す範囲も少しずつ違います。
新規格車は道路を通るときの重量の区分で、増トン車は積める量の多さを表す呼び名です。両方に当てはまる車両もあれば、増トン車でも総重量が20tに届かず、新規格車とは関係のない車両も出てきます。
| 比較項目 | 新規格車 | 増トン車 |
|---|---|---|
| 呼び方の性格 | 道路を通行するときの車両区分 | 積載量を増やした車両の業界での呼び名 |
| 決まり方 | 車両の長さ・最遠軸距・総重量などの条件 | 販売店やメーカーごとの呼称 |
| 目印 | 車両前面の「20t超」表示 | 決まった表示はない |
| 20t超で通れる道路 | 高速自動車国道・重さ指定道路 | 呼び方だけでは決まらない |
増トン車という呼び方や販売資料の表記だけでは、新規格車かどうかは判断できません。見分けるには、車検証とメーカーの諸元表にある車両総重量・長さ・最遠軸距の3つの数値を照らし合わせてください。
「20t超」標章の意味
車両の前面に貼られた「20t超」のワッペンは、新規格車であることを示す標章です。道路運送車両の保安基準で、前面への表示が決められています。
この表示は車両の区分を示すもので、配送先までの経路を許可なく走れることまでは示していません。標章のある車両でも、配送先の手前で指定のない市道に入れば、単車などはその区間の上限が20tに戻ります。荷を積んだまま上限を超えて走るには、通行許可か通行確認制度による手続きが欠かせません。
中古で導入した車両や、架装を変えて長さが変わった車両は、標章の有無だけで区分を決めないでください。車検証の数値から、次に説明する重量区分のどこに入るかを当てはめ直します。
20t・22t・25tの重量区分
新規格車でいう25tは、荷物の重さではなく車両総重量の数値です。単車などでは、車両の長さと最遠軸距の組み合わせによって、上限が20t・22t・25tに分かれます。
次の表は、特殊車両通行ハンドブックにある新規格車の重量区分のうち、単車と、特例5車種を除く連結車の基準です。20tの行は、引上げが認められない組み合わせとして載せています。
| 最遠軸距 | 車両の長さ | 総重量の上限 |
|---|---|---|
| 5.5m未満 | 長さにかかわらず | 20t |
| 5.5m以上7.0m未満 | 9.0m未満 | 20t |
| 5.5m以上7.0m未満 | 9.0m以上 | 22t |
| 7.0m以上 | 9.0m未満 | 20t |
| 7.0m以上 | 9.0m以上11.0m未満 | 22t |
| 7.0m以上 | 11.0m以上 | 25t |
25tが上限になるのは、最遠軸距7.0m以上・長さ11.0m以上の両方を満たす車両だけです。大型トラックだから、最大積載量が大きいからといって、25tの区分に入るとは限りません。
バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の特例5車種にあたる連結車には、別の重量区分が示されています。対象は、長さ12m以下など総重量以外の条件も満たす車両です。
| 最遠軸距 | 新規格車として示されている総重量の範囲 |
|---|---|
| 8.0m以上9.0m未満 | 24t超25t以下 |
| 9.0m以上10.0m未満 | 25.5t超26t以下 |
この区分は、長いセミトレーラ全般に当てはまるものではありません。連結した状態の諸元で判断し、高速自動車国道での特例や特車許可の審査基準とは分けて扱ってください。
特車申請は、新規格車の重量区分だけでなく、配送先まで重さ指定道路が続いているか、未指定区間が含まれていないかの確認にも手間がかかります。当事務所では、車両・経路の確認から、申請書類の作成・申請後の補正対応まで代行しています。
未指定道路を通るときの手続き
新規格車が高速自動車国道や重さ指定道路ではない区間を通るときは、車両に適用される総重量の上限が道路に合わせて変わります。単車などで一般的制限値の20tを超える場合や、特例5車種で道路の種類ごとの特例値を超える場合は、通行許可か通行確認制度による手続きが必要です。未指定の区間が数百メートルしかなくても、短さを理由に省くことはできません。
経路は、ICを降りた先の交差点から、倉庫や工場の搬入口までを一本の線としてたどります。指定区間の範囲を調べる手段は、道路データプラットフォームなどの公開情報です。国道だから指定済み、市道だから未指定とは限らない点にも注意してください。
総重量25tで走る経路の判定手順は、25tで特車申請は必要?重さ指定道路と新規格車の判断基準で詳しく解説しています。
申請先は道路管理者で決まる
通行許可の申請先は、許可が必要な区間の道路管理者をもとに決めます。高速自動車国道と重さ指定道路を除いた残りの区間が、申請の対象です。
対象区間が一つの道路管理者の道路だけで完結するなら、その管理者への申請で足ります。複数の管理者にまたがる場合は、関係する管理者のうち一か所へまとめて申請することも可能です。ただし、政令指定都市以外の市町村は、ほかの管理者の道路を含む一括申請を受け付けていません。
配送先の手前にある未指定の市道が一本だけでも、許可が必要な区間全体の管理者を洗い出してから、申請先を選びましょう。
通行確認制度を使う場合
特殊車両通行確認制度は、ETC2.0車載器を付けて登録した車両について、通れる経路をシステム上で回答してもらう仕組みです。重さの指定がない道路でも、制度の対象となる道路であれば回答を受け取れます。
反対に、道路情報便覧に未収録の道路は検索の対象外です。その区間は通行許可で対応することになります。
重さの指定がないことと、便覧に収録されていないことは別の話です。前者は道路ごとの重量の基準にかかわり、後者はシステムで経路を検索できるかどうかにかかわります。
荷降ろし後の帰り道
往路は総重量24t、荷降ろし後の復路は15tという運行なら、帰り道は15tで判断します。空車の状態で幅・長さ・高さ・重さのすべてが一般的制限値に収まれば、特車手続きは不要です。
荷を降ろしても車両の高さや幅は変わらないことが多く、橋などの重量制限も道路ごとにそのまま残ります。幅や長さが一般的制限値を超える車両は、空車でも特車許可の対象です。往路と復路を分けて考えてください。
よくある質問
- 新規格車なら25tまで荷物を積めますか?
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25tは荷物だけの重さではなく、車両・乗員・荷物を合わせた総重量の上限です。積める荷物の量は、車検証の最大積載量までとなります。
- 新規格車に分割できる荷物を積んでもよいですか?
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積めます。新規格車は、分割できる貨物を積んでもかまわない車両です。車検証の最大積載量と、通る道路の条件は守ってください。
- 「20t超」の標章があれば、どの道路でも走れますか?
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走れません。標章が示すのは、新規格車の条件を満たしていることまでです。指定のない道路で上限を超える総重量になるなら、その区間の通行許可か通行確認制度での手続きを済ませておきましょう。
- 首都高速も高速自動車国道として扱われますか?
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制度上は別の区分です。首都高速道路などの都市高速道路は、高速自動車国道に含まれません。「高速道路だから重量の引上げが使える」とは考えず、通る区間ごとに重さの指定を調べてください。
- 新規格車で高さ4.1mの特車申請はできますか?
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高さ3.8m超4.1m以下の新規格車で、申請経路がすべて高さ指定道路で完結するなら、申請データの作成が認められています。経路に高さ指定道路以外の区間が入るときは、この扱いを受けられません。
まとめ
新規格車は、車両の長さや最遠軸距などの条件を満たし、主に高速自動車国道と重さ指定道路で20tを超える総重量で走れる区分です。増トン車は積載量にもとづく業界の呼び名で、「20t超」の標章も車両の区分を示すにとどまります。重量の上限は、単車などでは20t・22t・25tの3段階です。特例5車種の連結車には別の区分が設けられています。
経路に指定のない道路が入り、その区間で適用される上限を超えるときは、通行許可か通行確認制度による手続きが必要です。申請先は対象区間の道路管理者で決まり、荷降ろし後の帰り道は空車の状態で判断し直しましょう。
特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
新規格車の特車申請でお困りならご相談ください
「20t超」の標章がある車両でも、配送先の手前に指定のない道路が一本あるだけで、総重量によってはその区間の手続きが必要です。当事務所では、車両の重量区分と経路上の道路指定を調べたうえで、特殊車両通行許可の申請を代行しています。

