特車申請の手数料計算では、「トラックが2台で経路が3つだから数百円」と考えて申請したところ、予想より高い請求が来るケースがあります。
特車申請の手数料は、原則として「1台・1経路につき200円」という計算式で成り立っていますが、「往復の数え方」や「道路管理者の区分」といった特有のルールが存在します。
本記事では、申請手数料の正しい計算方法と、手数料が「無料」または「割引」になる具体的なケースについて解説します。
基本の計算式:「台数×経路数×200円」
特殊車両通行許可申請の手数料は、道路法に基づき以下のように定められています。
計算式:申請車両台数 × 申請経路数 × 200円
この「200円」という金額は、国(地方整備局)の窓口へ申請する場合の標準額です。
計算例
トラック2台で、3つのルートを申請する場合:
- 車両:2台
- 経路:3経路
- 手数料:2台 × 3経路 × 200円 = 1,200円
この計算式は一見シンプルですが、実務では「経路数」のカウント方法で誤解が生じやすく、これが計算ミスの主な原因となります。

往復は「2経路」としてカウントされる
手数料計算において注意が必要なのが、往復申請の扱いです。
実務感覚では「A地点からB地点へ行って帰ってくる」を「1つの仕事(1ルート)」と捉えがちですが、システム上は「往路」と「復路」はそれぞれ別の経路として計算されます。
往復申請時の計算
ある現場への「往復」を申請する場合、システム上の経路数は「2」となります。
- 往路(行き):1経路
- 復路(帰り):1経路
- 合計:2経路
したがって、1台の車両で1つの現場へ往復申請を行う場合の手数料は、以下のようになります。
1台 × 2経路(往復) × 200円 = 400円
「200円だと思っていたら400円請求された」というケースのほとんどは、この往復カウントが原因です。予算申請の際は、必ず「ルート数 × 2」で計算するようにしてください。

手数料が「無料」になるケース
特車申請の手数料は、すべての申請で発生するわけではありません。申請する経路が「単一の道路管理者の道路のみ」で完結している場合、手数料が無料(0円)となります。
道路管理者とは
道路は、その種類によって管理している組織(道路管理者)が異なります。
- 国(国土交通省): 直轄国道(1桁・2桁国道など)
- 都道府県: 補助国道、県道など
- 市町村: 市道など
有料と無料の違い
有料になるケース(原則)
申請経路が、複数の道路管理者にまたがる場合。
例:国道(国)から県道(県)へ降りて、市道(市)の現場へ行くルート。この場合、国が県や市へ協議を行うための事務経費として手数料が発生します。
無料になるケース
申請経路が、一つの道路管理者の管轄内だけで完結する場合。
- 例:国が管理する国道バイパスのみを通行するルート
- 例:A県が管理する県道のみを通行するルート(A県の窓口へ申請する場合)
「今回は手数料がかからなかった」という場合は、そのルートが単一の管理者の道路だけで構成されていた可能性があります。

160円になる「割引」ルート
通常の手数料は200円ですが、特定の条件を満たすと「160円」に減額されるケースがあります。それは、申請経路がすべて「大型車誘導区間」のみで構成されている場合です。
大型車誘導区間とは
大型車が通りやすい主要な幹線道路として、国が指定した道路ネットワークです。この区間のみを通行する場合、審査の手間が軽減されるため、手数料も安く設定されています。
- 通常経路を含む場合: 200円/経路
- 大型車誘導区間のみの場合: 160円/経路
ETC2.0装着車を対象とした「特車ゴールド」制度などを利用する場合、この大型車誘導区間を中心にルートが組まれることが多いため、結果として手数料が安くなる傾向があります。

「確認制度」の手数料は別体系
ここまで解説したのは、従来の「許可制度(特車申請)」についてです。
2022年から始まった「特殊車両通行確認制度(ETC2.0活用)」を利用する場合は、まったく異なる料金体系となるため注意が必要です。
確認制度の手数料体系
確認制度では、経路ごとではなく、以下の2段階で手数料が発生します。
- 車両登録手数料: 1台につき5,000円(初回および5年ごとの更新時)
- 通行経路確認手数料: 1回につき600円など(検索範囲による)
確認制度を利用する場合、たとえ1回しか走らなくても、最初に車両登録料として5,000円がかかります。従来の「1経路200円」とは異なる料金体系であることを理解しておく必要があります。
※注意点 従来の許可制度では「国道のみなら無料」というルールがありましたが、確認制度では、たとえ1つの道路管理者の道路しか通らない場合でも、必ず手数料(600円〜)が発生します。

2025年からは明細がダウンロード可能に
手数料管理を楽にする新機能を紹介します。
これまでは、手数料の合計金額しかわからず、どの車両のどのルートの分かを確認するのが困難でした。
2025年3月のシステム改修により、システムから「手数料明細書」がPDFでダウンロードできるようになりました。
これにより、車両ごとの登録手数料や、経路確認手数料の内訳がインボイス制度に対応した形式で確認可能です。経理処理や予算管理が大幅に効率化されます。
まとめ:手数料計算のチェックポイント
特車申請の手数料計算で押さえておくべきポイントは以下の通りです。
基本の計算式
台数 × 経路数 × 200円
この式が手数料計算の基本です。ただし、以下の注意点を確認してください。
往復申請は2倍
往復申請では、往路と復路がそれぞれ1経路としてカウントされます。
- 1台・往復1件 = 1台 × 2経路 × 200円 = 400円
無料になるケース
申請経路が単一の道路管理者の道路のみで完結する場合:0円
- 国道のみ
- 県道のみ
割引になるケース
申請経路がすべて大型車誘導区間で構成されている場合:160円/経路
- 通常より40円安い
確認制度は別体系
ETC2.0を活用した確認制度では、経路ごとの計算ではなく:
- 車両登録手数料:5,000円(初回)
- 経路確認手数料:600円〜
2025年の新機能
手数料明細書のPDFダウンロードが可能になり、内訳確認が容易になりました。
これらのルールを把握しておけば、申請前に正確な予算を算出でき、請求内容の確認もスムーズに行えます。



