重要物流道路なら許可不要?国際海上コンテナ車(40ft背高)がスムーズに走るための条件

コラム

海上コンテナは、いわば「世界共通サイズの大きなスーツケース」です。中身を小分けにせず、そのまま海を越え陸を走ることで効率的な物流を実現していますが、日本の道路という「通路」を通るにはあまりに大きすぎます。そのまま走れば、壁や床にあたるトンネルや橋を傷めてしまうリスクがあるため、特別なルール(特車制度)によって安全な通り道が守られているのです。

近年、この巨大なスーツケースをよりスムーズに運ぶための「重要物流道路」制度が整備されました。しかし、「許可不要」のメリットを享受するには、守らなければならない厳格な条件があります。


1. 数字で見れば一目瞭然。海コン車は「規格外」

日本の道路には、構造を守るための「一般的制限値」というサイズと重さの基本ルールがあります。しかし、40ft海上コンテナを積載した車両は、以下の通りほぼ全ての項目でその制限を大幅に超過しています。

項目 一般的制限値(原則) 40ft背高海コン車(最大) 超過の実態
総重量 20.0t(指定道路25.0t) 44.0t 約2倍の重量
車高 3.8m 4.1m 0.3mの超過
車長 12.0m 16.5m 4.5mの超過

このサイズで事前のルート審査なしに通行すれば、道路というインフラを傷めてしまうリスクがあります。そのため、国は安全を確認するためのプロセス、すなわち「特殊車両通行許可」を求めているのです。

2. 「分割できない一塊」だからこそ認められる特例

本来、道路法には「制限を超えるなら荷物を分けて運べ」という大原則があります。しかし、海上コンテナは目的地まで開けずに運ぶことを前提とした、いわばスーツケースのような存在です。中身を小出しにできないため、実務上「分割不可能物」と呼ばれます。

この特殊性が認められているため、制限値を超えていても、適切なルートの許可を得れば通行が許容されるのです。


3. 審査待ち「約30日」を解消する緩和措置

これまでの海コン輸送では、許可申請から約30日という長い審査待ちを経てようやく通行できるのが常識でした。この待機時間は、スピードが求められる物流現場において最大のボトルネックでした。

しかし現在は、特定の条件下でこの手続きを不要とする「重要物流道路」制度が運用されています。

全国約31,700kmの指定区間内(重要物流道路)であれば、40ft背高海コン車は、これまで30日近くかかっていた審査待機なしで即座に走行が可能となりました。これは運送効率を最大化させるための、極めて強力な制度です。


4. 特例を受けるための「絶対条件」を遵守する

重要物流道路だからといって、無条件で許可が不要になるわけではありません。現場で以下の要件を一つでも欠けば、即座に「無許可走行」という重大な違反を問われます。

  • ETC2.0車載器の適切な登録:単に装着するだけではなく、PRサイトへ車載器管理番号、自動車登録番号、ASL-IDを正しく紐付けし、データが国に登録されている必要があります。
  • 証明書類の常時携行:国際海上コンテナを運んでいることを証明する書類(機器受渡証 E/R など)を、運転者がすぐに提示できなければなりません。
  • 通行条件の遵守:指定ルート内であっても、交差点での右左折禁止や、橋・高架等での「徐行」「連行禁止(前後の車と間隔を空ける)」といった条件は依然として残ります。これらを無視した走行は特例の対象外です。

5. 法令遵守がもたらす「持続可能な物流」

重要物流道路の特例は大きなメリットですが、盲点は「ルートの逸脱」にあります。指定区間を一歩でも外れれば、その瞬間から法的な保護は失われ、厳しい処分や信頼失墜に直結しかねません。

特に近年注目されている「ダブル連結トラック(25t超)」などは、車両要件や安全装備の確認がさらに複雑化しています。

トラブルを未然に防ぎ、機動的な輸送を安心して続けるためには、あらかじめ運行ルートがルールに沿っているかを確認しておくことが、何よりの「お守り」になります。正しい知識を、貴社のスムーズな運送業務を支える知恵として、ぜひお役立てください。


出典リンク(参考資料)

国際海上コンテナ車(40ft背高)特殊車両通行許可不要区間について(概要)https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/butsuryu/pdf/02_gaiyou.pdf

重要物流道路制度について(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/butsuryu/Top03-02-03.htm