「古物商許可は誰でも取得できるのか?」という質問をよく受けます。
結論から言えば、基本的には誰でも取得できますが、法律で定められた「欠格事由」に該当する場合は許可されません。また、営業所の設置や管理者の選任など、クリアすべき要件もあります。
この記事では、古物商許可の取得要件と欠格事由について、実務経験をもとに解説します。
古物商許可は基本的に誰でも取得できる
古物商許可は、個人・法人を問わず、以下の条件を満たせば誰でも取得できます。
必要なもの:
- 申請手数料:19,000円 詳しくは費用についての記事[古物商許可申請の費用]をご覧ください。
- 必要書類の取得費用:数千円程度
- 営業所(自宅でも可)
- 管理者(自分でもなれる)
不要なもの:
- 古物商の実務経験
- 特定の資格や免許
- 開業資金の準備(営業所があれば可)
私は現在も長年質屋の店長として勤務しており、これまでに多くの開業希望者からご相談を受けてきました。
「経験がないと許可は取れないのでは?」と心配される方が多いですが、古物商許可に実務経験や資格は必要ありません。
古物商許可の取得要件

古物商許可を取得するには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
1. 主たる営業所を設けること
営業所とは:
- 古物の売買や交換を行う拠点
- 自宅を営業所にすることも可能
- ネット販売のみの場合でも営業所は必要
営業所として認められるもの:
- 自宅(持ち家・賃貸どちらでも可)
- 事務所・店舗
- マンションの一室
営業所として認められないもの:
- バーチャルオフィス
- 倉庫や駐車場のみ
- 実態のない住所
注意点:
賃貸物件を営業所にする場合、警察署から「賃貸借契約書」や「使用承諾書」の提出を求められる場合があります。これは法律上の必須要件ではありませんが、「本当にその場所で営業するのか」を確認するためです。
特に、マンションの一室を営業所にする場合は注意が必要です。管理規約で「商業利用禁止」となっている物件では、使用承諾書が得られない場合があります。
また、UR賃貸や公営住宅は、規約で「居住専用」が厳しく定められており、使用承諾書へのサインをほぼ100%断られます。営業所として登録するのは実質的に不可能です。
古物商許可を取得するには、営業所を管轄する警察署で申請します。詳しい申請方法や必要書類については、警視庁の古物商許可申請ページをご確認ください。
2. 営業所ごとに常勤の管理者を置くこと
管理者の役割:
- 営業所の統括管理
- 従業員の指導監督
- 不正品の判定
管理者になれる人:
- 個人事業主本人
- 法人の代表者
- 営業所に常勤できる役員や従業員
- 欠格事由に該当しない者
管理者になれない人:
- 営業所から片道2時間以上かかる場所に住んでいる者(ただし、管轄の警察署によっては「1時間以内」や「緊急時にすぐ駆けつけられる距離」を求められることもあります)
- 他の営業所の管理者と兼任している者
- 欠格事由に該当する者
実務での注意点:
自動車やオートバイを扱う場合、管理者には「古物営業の業務に3年以上従事した経験」または「講習の受講」が求められます(努力義務)。
これは、盗難車の流通を防ぐためです。質屋でも高額なブランド品や貴金属を扱う際は、不正品かどうかを判断する知識や経験が求められます。
管理者は単なる「名義貸し」ではなく、実際に営業所で業務を統括する責任者です。
古物商許可が取得できない「欠格事由」

欠格事由とは、古物商許可を取得できない条件のことです。
申請者(個人事業主または法人の代表者)、役員、管理者のうち、一人でも欠格事由に該当すると許可されません。
欠格事由の一覧
以下のいずれかに該当する場合、古物商許可は取得できません:
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 特定の罪(窃盗、背任、遺失物横領、盗品譲受けなど)で罰金刑に処せられ、その執行を終わった日から5年を経過しない者
- 暴力団員または暴力団関係者
- 住居の定まらない者
- 過去5年以内に古物商許可を取り消された者
- 心身の故障により古物商の業務を適正に実施することができない者
- 未成年者(18歳未満)
- 営業所に適任の管理者を置けない者
- 法人で、その役員のうちに欠格事由に該当する者がある場合
特に注意が必要な欠格事由
1. 破産手続中の者
自己破産手続き中の方は許可されません。
ただし、自己破産手続きが完了して「復権」を得ていれば、古物商許可の申請ができます。
実務での注意点:
自己破産中は古物商許可が取れませんが、復権後は問題なく申請できます。復権の証明として、「復権証明書」を市区町村役場で取得できます。
2. 暴力団関係者
暴力団員や暴力団と関わりのある者は許可されません。
申請者だけでなく、法人の役員に暴力団関係者がいる場合も申請できません。
実務での注意点:
警察署は暴力団との関わりについて厳しくチェックします。申請書には「暴力団員等ではないこと」を誓約する欄があります。
3. 過去5年以内に古物商許可を取り消された者
法令違反などで古物商許可を取り消された場合、5年間は再取得できません。
法人が許可を取り消された場合、その法人の役員だった者も5年間は許可されません(取消しの聴聞期日の60日前から役員だった者)
注意点:
古物商許可の取消しは非常に重い処分です。盗品の買取、帳簿の不記載、不正な取引などが主な理由です(古物営業法第31条参照)
古物を扱う店舗では、盗品かどうかを見極める知識と経験が非常に重要になります。
4. 未成年者
18歳未満の者は許可されません。
民法改正により2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳以上であれば未婚・既婚に関わらず、ご自身で申請が可能です。
注意点:
18歳未満の方が「古物商の相続人」として営業を引き継ぐ場合に限り、法定代理人の許可があれば申請できる例外があります。
ただし、このようなケースはほとんど見られません。
5. 住所不定の者
住民登録がない人や、住民票の住所に住んでいない者は許可されません。
ただし、単身赴任や仮住まいなどで一時的に住民票住所に住んでいない場合は、その旨を書面で説明すれば申請できます。
欠格事由に該当するかの判断フローチャート
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質問1:現在、破産手続き中ですか?
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質問2:過去5年以内に、禁錮以上の刑または特定の罪で罰金刑に処せられましたか?
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質問3:暴力団員または暴力団と関わりがありますか?
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質問4:過去5年以内に古物商許可を取り消されたことがありますか?
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質問5:現在、住民登録がありますか?
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質問6:18歳以上ですか?
許可取得可能!
自分が欠格事由に該当するかどうかを確認できるフローチャートです。
法人の場合の注意点
法人が古物商許可を申請する場合、すべての役員が欠格事由に該当しないことが条件です。
「役員」の範囲
- 代表取締役
- 取締役
- 監査役
- 執行役員
- 非常勤役員
すべての役員が対象です。
注意点:
法人の場合、一人でも欠格事由に該当する役員がいると、その法人は古物商許可を取得できません。
役員を選任する際は、欠格事由に該当しないかを事前に確認する必要があります。
よくある質問(FAQ)
- Q自己破産したことがありますが、古物商許可は取得できますか?
- A
自己破産手続きが完了して「復権」を得ていれば、古物商許可の申請ができます。復権証明書を市区町村役場で取得できます。破産手続き中の方は、復権を得るまで許可を取得できません。
- Q古物商の経験や資格がなくても許可は取得できますか?
- A
はい、取得できます。古物商許可には実務経験や特定の資格は必要ありません。ただし、自動車やオートバイを扱う場合は、管理者に「3年以上の実務経験」または「講習の受講」が推奨されます(努力義務)。
- Q自宅を営業所にできますか?
- A
はい、できます。持ち家でも賃貸でも、自宅を営業所にすることが可能です。
ただし、賃貸の場合は「賃貸借契約書」や「使用承諾書」の提出を求められる場合があります。マンションの管理規約で商業利用が禁止されていないかを事前に確認してください。詳しくは大阪府警察の古物営業法Q&Aもご参照ください。
- Q法人の役員に欠格事由に該当する者がいる場合はどうなりますか?
- A
法人の役員のうち一人でも欠格事由に該当する者がいる場合、その法人は古物商許可を取得できません。該当する役員が退任するか、別の法人で申請する必要があります。
- Q未成年でも古物商許可は取得できますか?
- A
18歳未満の方は取得できません。ただし、2022年4月1日の民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳の誕生日を迎えれば、高校生であっても親の同意なく自分の名義で申請することができます。
まとめ
古物商許可は、基本的には誰でも取得できますが、以下の点を確認する必要があります:
- 欠格事由に該当しないこと(破産手続中、暴力団関係者、過去の刑罰など)
- 営業所を設けること(自宅でも可)
- 管理者を選任すること(自分でもなれる)
法人の場合は、すべての役員が欠格事由に該当しないことが条件です。
欠格事由に該当しないか、営業所や管理者の要件を満たしているかを事前に確認することが、スムーズな許可取得の第一歩です。
個人事業主として古物商を開業する場合の詳細については、[古物商許可の個人事業主での開業]の記事もご参照ください。
お困りの際は当事務所へ
古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。また、「自分が欠格事由に該当するか」「自宅を営業所にできるか」など、判断に迷う場面も多いです。
当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。「自分のケースで許可が必要か確認したい」「申請が複雑で困っている」といった場合は、お気軽にご相談ください。
お問い合わせ方法:
- お問い合わせフォーム
- 電話:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)
行政書士手島宏典事務所
古物商許可申請の専門サポート
執筆者プロフィール
手島宏典 行政書士・現役質屋店長
業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。
行政書士手島宏典事務所
東京都葛飾区亀有3丁目27-30 Tビル1階
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