特殊車両の一般的制限値とは?幅・長さ・高さ・重量と特車申請の基準

特車制度とは?一般的制限値5つの基準をわかりやすく解説

重機やコンテナを積んだトラックを工事現場へ走らせるとき、車検証の数値だけでは判断できません。荷物を積んだあとの寸法や重量で、制限値を超えることがあるためです。

その基準が、道路法にもとづく「一般的制限値」です。幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m、総重量20tなど、道路を通る車両の大きさと重さには上限が定められています。

ただ、1項目を超えただけで特車申請が必要になるとは限りません。通る道路によっては、高さや重さの上限が引き上げられているためです。この記事では、一般的制限値の8項目と、特車申請が必要になるケースを解説します。

目次

一般的制限値の8項目

一般的制限値は、道路や橋への負担を抑え、車両が安全に通れるようにするための基準です。幅や高さに加えて、車軸や車輪にかかる重さ、曲がるときの最小回転半径にも上限があります。

項目一般的制限値
幅2.5m
長さ12m
高さ3.8m
総重量20t
軸重10t
輪荷重5t
隣接軸重軸間距離などに応じて18t・19t・20t
最小回転半径12m

比べるのは、荷物を積んで実際に走る状態の寸法・重量です。荷台からはみ出した部分も含めて計算します。

幅は2.5m

幅の上限は2.5mです。荷物が左右にはみ出す場合は、その部分も幅に含めてください。

車幅2.5m以内のトラックでも、建設機械が左右に張り出して全体で3mになれば、制限値を超えてしまいます。重機や大型設備を運ぶときの基準は、積載後のいちばん外側の幅です。

長さは12m

長さの上限は12mです。トレーラ連結車はトラクタとトレーラを連結した状態で測り、前後にはみ出す荷物も長さに加えてください。

高速自動車国道には、連結車の長さの特例が設けられています。条件を満たせば、上限はセミトレーラ連結車で16.5m、フルトレーラ連結車で18mです。特例を使うには、貨物が被けん引車の前後にはみ出していないことなども求められます。

首都高速道路などの都市高速道路は高速自動車国道ではないため、この特例は使えません。一般的制限値を超えれば特車申請が必要で、許可される長さの目安は路線や区間ごとに異なります。

高さは3.8m

高さの上限は3.8mです。荷物を積んでいる場合は、路面から積載物のいちばん高い部分までを測ります。建設機械の高さに、荷台の高さも足しておいてください。

高さ指定道路では、上限が4.1mに上がります。高さ4.0mの車両でも、高さ指定道路だけを通るなら、高さを理由とする特車申請は原則として不要です。目的地の手前で指定外の道路に入る場合は、その区間について手続きが必要です。

総重量は20tが基本

総重量の上限は20tです。荷物だけでなく、車両自体の重さや乗員も含めた全体の重さで計算してください。

高速自動車国道や重さ指定道路では、車両の長さや最遠軸距(いちばん前の車軸からいちばん後ろの車軸までの距離)に応じて、20tを超える上限が適用されます。

とはいえ、重さ指定道路ならどの車両でも25tまで通れる、というわけではありません。通常の単車で25tが認められるのは、最遠軸距7m以上で、貨物を積んでいない状態の車両の長さが11m以上などの条件を満たす場合です。総重量25tで走れるのは、道路の指定と車両の条件の両方がそろったときです。

総重量の特例は、バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の特例5車種に設けられています。あおり型・スタンション型・船底型の追加3車種には、この総重量の特例は適用されません。トレーラの形状もあわせて把握しておきましょう。

軸重は10t

軸重は、1本の車軸を通じて道路にかかる重さで、上限は10tです。

荷物を前や後ろに偏って積むと、総重量が基準内でも一部の車軸に重さが集中します。総重量とは別に、軸ごとの重さも出しておいてください。

輪荷重は5t

輪荷重は、1つの車輪を通じて道路にかかる重さで、上限は5tです。気をつけたいのは、左右の積み方の偏りです。軸重が10t以内でも、片側の車輪だけで5tを超えれば輪荷重の制限にかかります。

隣接軸重は18t・19t・20t

隣接軸重は、隣り合う2本の車軸にかかる重さの合計です。上限は、軸と軸の間隔などによって18t・19t・20tのいずれかです。

1本ずつの軸重が基準内でも、2本の合計が上限を超えれば隣接軸重の制限にかかります。車軸が近い大型車やトレーラは、軸重・輪荷重・隣接軸重をそれぞれの上限と比べておきましょう。

最小回転半径は12m

最小回転半径の上限は12mで、車両の最外側のわだちで測ります。

長いトレーラでは、寸法や重量に加えて、交差点を曲がり切れるかどうかも問題です。最小回転半径が基準内でも、道幅や交差点の形によっては通れません。経路を考える段階で、現地の道路状況も調べておいてください。

一般的制限値を超えると必ず特車申請が必要?

幅・長さ・高さ・重量の基本値を超えていても、通る道路によっては別の上限が適用されます。指定道路や高速自動車国道などでは、その上限の範囲内なら通常の特車許可は不要です。

一般的制限値を超えたときの流れ
車両の幅・長さ・高さ・重量などを一般的制限値と比べる
↓
基準内
一般的制限値を超えていない
一般的制限値との関係では、特殊車両としての手続きは不要です。
基準超過
1項目でも一般的制限値を超える
すぐに特車申請と決めず、道路や車両ごとの上限をあてはめます。
道路・車両ごとの上限をあてはめる
高さ指定道路:高さ4.1m
重さ指定道路:総重量20t・22t・25t
高速自動車国道:連結車の長さ・重量の特例
特例5車種など:車種ごとの重量特例
↓
適用される上限内
その上限との関係では、通常の特車許可が不要になる場合があります。
適用される上限も超える
特殊車両通行許可や通行確認制度などの手続きへ進みます。
特車申請が必要かどうかは、一般的制限値だけでなく、車両の種類と実際に通る道路をあわせて考えます。

道路ごとの上限の代表例が、高さ指定道路の4.1mや、重さ指定道路の最大25tです。高さの特例が使えても、幅や軸重が制限値を超えていれば、その項目は手続きが必要です。

40ft背高国際海上コンテナ車にも、指定された許可不要区間を所定の条件で通る場合に限り、通常の特車許可を不要とする扱いがあります。重要物流道路ならどこでも許可が不要になる、という制度ではありません。

特車申請が必要かどうかは、出発地から目的地までの経路全体で考えます。幹線道路では基準内でも、工場や建設現場へ入る最後の区間で制限を超えれば、その区間の手続きが欠かせません。橋やトンネルに個別の制限がある場合は、その数値もあわせて比べてください。

特車申請とは別の手続き

一般的制限値の範囲内でも、手続きがまったく不要とは言い切れません。道路の幅と車両の幅との関係によっては、「車両通行認定」が必要になる場合があります。通行できる幅の基準は、相互通行の道路か一方通行の道路かで変わるので注意してください。

積載物の大きさが道路交通法の積載制限を超える場合も、特車申請とは別に、警察署の制限外積載許可が必要になることがあります。

特殊車両に当たる2つのケース

特殊車両に当たるのは、大きく分けて次の2つのケースです。

車両そのものが大きい・重い場合

ラフタークレーンや重量物運搬用セミトレーラ、ポールトレーラなどは、車両自体の寸法や重量だけで制限値を超えることがあります。この場合は、荷物を積んでいない空車や回送でも特車申請の対象です。

「荷物を降ろした帰り道だから許可はいらない」という考え方は通用しません。特車申請が必要かどうかは、車種名ではなく、実際に公道を走る状態の寸法と重量で決まります。

分割できない貨物を積む場合

積む貨物が原因で制限値を超えるケースです。大型発電機、建設機械、電柱など、分割できない貨物がこれにあたります。重機を積んで高さが3.8mを超えたり、長い資材が荷台の後ろにはみ出して全長が12mを超えたりするのが典型例です。

特車制度は、荷物を多く積むための制度ではありません。貨物の性質や分割できるかどうかも、申請で問われます。

特車申請の準備にお困りならご相談ください

特車申請は、車両や貨物が特殊車両に該当するかの判断に加え、経路確認や書類作成にも手間がかかります。当事務所では、車両・経路の確認から、申請書類の作成・申請後の補正対応まで代行します。

申請代行 11,000円(税込) ※道路管理者への手数料などの実費は別途

特殊車両を通行させる2つの手続き

道路や車両の特例を使っても制限値を超える場合、手続きは次の2つの制度のどちらかです。

特殊車両通行許可制度

特殊車両通行許可制度は、使う車両と通行経路を指定して、道路管理者に申請する仕組みです。車両の寸法・重量と道路の状況について審査を受け、通行が認められると許可証が交付されます。

許可証とセットで示されるのが通行条件です。条件の内容によっては、橋梁での徐行や他車との同時通行を避けること、誘導車の配置などが求められます。許可を取ったあとも、運行はこの条件どおりに行ってください。

道路情報便覧に収録されていない道路も申請に含められますが、道路管理者との個別協議などで審査に時間がかかることもあります。搬入日に間に合わせるには、経路を早めに作っておきましょう。

特殊車両通行確認制度

特殊車両通行確認制度は、あらかじめ車両を登録し、オンラインで通行できる経路の回答を受け取る制度で、2022年4月に始まりました。

出発地や目的地などを入力すると、道路情報が電子化された道路について、通行できる経路と条件が回答されます。利用するには、車両が登録基準を満たし、所定のETC2.0車載器を付けていることなどが条件です。

登録したあとも、運行は回答書に示された経路と通行条件に沿って行います。

特殊車両通行許可制度と確認制度の違い

項目特殊車両通行許可制度特殊車両通行確認制度
経路申請者が指定した経路を審査システムが通行可能な経路を回答
道路未収録道路を含めて申請可能道路情報が電子化された道路が対象
車両幅広い特殊車両が対象登録基準を満たす車両が対象
ETC2.0原則として不要所定の車載器が必要
取得する書類許可証回答書

確認制度が使えるかどうかは、車両と経路しだいです。確認制度で扱えない車両や道路は、許可制度で申請してください。

許可や条件に違反した場合

必要な許可や通行可能経路の回答を受けずに走った場合や、指定された通行条件を守らなかった場合は、道路法上の違反になります。

許可証を持っていても、許可された経路から外れたり、許可された重量を超えて運行したりすれば違反です。出発前に、使う車両・積載状態・経路が許可の内容と合っているかを照らし合わせておきましょう。

特殊車両の違反には罰則があり、内容によっては運転者だけでなく、法人や事業主も責任を問われます。

よくある質問

一般的制限値を1つでも超えたら特車申請が必要ですか?

道路や車両に特例が当てはまれば、申請しなくてよい場合もあります。超えている項目に使える特例があるかを調べ、ほかの項目も含めてすべて上限内に収まるかで判断してください。

高さ3.8mを超える車両は、一般道を走れませんか?

一般道でも、高さ指定道路なら上限は4.1mです。指定外の道路や、個別に高さ制限がある区間を通る場合は、その区間について別に手続きが必要です。

総重量が20t以内なら、重量は問題ありませんか?

軸重・輪荷重・隣接軸重にも、それぞれ上限があります。総重量が20t以内でも、一部の車軸や車輪だけが制限を超えていれば、特車申請の対象です。

荷物を積んでいない回送でも申請は必要ですか?

車両自体の寸法や重量が、通行する道路の制限値を超えていれば必要です。ラフタークレーンや大型トレーラなどは、空車での運行についても事前に把握しておきます。

荷物を積んでいない空車や回送でも申請は必要ですか?

車両そのものの寸法や重量が、通る道路の制限値を超えていれば必要です。ラフタークレーンや大型トレーラなどは、空車・回送の状態でも特車制度の対象になります。

まとめ

一般的制限値の基本は、幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m、総重量20tです。軸重・輪荷重・隣接軸重・最小回転半径にも上限があり、荷物を積む車両は積載後の状態で比べます。高さ指定道路の4.1mや重さ指定道路の25tのように、道路や車両によってはより大きい上限が適用されることも頭に入れておいてください。

特車申請が必要かどうかは、数値だけでなく、車両に適用される特例と通行経路で決まります。出発地や搬入先につながる最後の区間も、幹線道路と同じく対象です。制限値を超えるときに使うのは、許可制度か確認制度のどちらかです。

特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。

参考資料
国土交通省 関東地方整備局 「一般的制限値」
国土交通省 関東地方整備局 「特殊な車両とは」
国土交通省 関東地方整備局 「特車ポータルサイト」

特車申請のことでお困りならご相談ください

高さや重量の特例が使えるかどうかは、積載後の寸法・重量と搬入先までの経路がそろわないと判断できません。当事務所では、積載後の寸法・重量の計算から申請書類の作成、申請後の補正対応まで一括でお引き受けしています。

制限値や特例の当てはめに迷ったときも、お気軽にお問い合わせください。

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