中古車を買い取って販売する営業には、古物商許可が必要です。個人事業主が自宅を営業所にして始めることもでき、店舗や展示場の有無は許可の条件に入りません。
自動車には、販売したときにも台帳へ記録する決まりなど、ほかの品目と異なるルールがいくつか定められています。整備や解体まで手がけるなら、古物営業法とは別の許認可も関わってきます。
古物商許可が必要な取引
中古車を仕入れて売る営業なら、仕入れ先が一般の個人でも業者オークションでも古物商許可が必要となります。
| 取引の形 | 古物商許可 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| 個人や業者から中古車・中古部品を仕入れて販売 | 必要 | 中古品を仕入れて再販売するため |
| 業者オークションで落札した車両を再販 | 必要 | 業者からの仕入れでも扱いは同じ |
| 新車販売にともなう下取り車を転売 | 原則必要 | 通常の下取りは買受けに当たる |
| 一般の人から未使用車を買い取って販売 | 必要 | 使用目的で一度取引された車は古物になる |
| 自分が使っていた車を売却 | 不要 | 転売目的の仕入れがない |
| 無償で譲り受けた車を販売 | 原則不要 | 買受けを伴わないため |
副業でも1台目でも、利益を出す目的で買い付けて繰り返し売る前提なら古物営業となります。修理や板金塗装を施してから売る場合も、仕入れが中古車の買い受けである以上、扱いは変わりません。
申請する品目は「自動車」
部品も「自動車」の区分に入る
中古車本体を扱うなら、申請書では13品目のうち「自動車」を選びます。この区分には自動車の部分品も含まれるため、中古のエンジンやアルミホイール、カーナビ、マフラーを買い取って売る場合も「自動車」での申請です。
バイクは「自動二輪車及び原動機付自転車」という別の区分となり、車とバイクの両方を扱うなら申請の段階で両方に印を付けてください。
主たる区分と古物商プレート
申請書には、扱う品目とは別に「主として取り扱う古物の区分」を1つ書く欄が設けられています。中古車販売が中心なら主たる区分は「自動車」とし、これを選んでもほかの区分の古物は扱えます。カー用品や時計、ブランド品も買い取る見込みがあれば、その区分も最初から申請に入れておきましょう。許可後の品目追加には変更届が必要です。
主たる区分は営業所に掲げる標識(古物商プレート)の表記にもなり、「自動車」なら「自動車商」と表示します。店舗を持たずネットだけで売る営業でも、営業所への掲示は省けません。
営業所・車両置き場・管理者
自宅を営業所にできるか
自宅の一室を営業所にして申請できます。中古車を扱う場合も、展示スペースの広さや置ける台数について一律の要件は定められていません。
営業所には台帳などの記録を保管し、継続して営業できる実態が求められ、この点は営業所の要件として審査の対象になります。賃貸住宅や分譲マンションでは、契約書や管理規約で事業利用が制限されていないかを先に確かめてください。貸主の使用承諾書は東京都の基本の添付書類に入っていないものの、事前相談で求められたときに備えて貸主へ話を通しておきましょう。
車両の保管場所
東京都で提出する書類に、駐車場の契約書や保管場所の証明書は含まれていません。ただ、警察の立入りは営業所に限らず古物を置いている場所すべてに及ぶため、買い取った車の置き場所は申請前に決めてください。
自宅のガレージ、近隣の月極駐車場、別に借りるヤードのどれを使うかで、事前相談での説明も変わります。営業所と置き場所が離れる場合は、契約と台帳の管理は営業所で行い、車両は別の駐車場で保管するという分担を窓口で説明できるようにしてください。当事務所では、置き場所の契約書の写しを手元に用意してから窓口へ向かうようご案内しています。
営業所ごとの管理者
管理者は営業所ごとに1名を選び、個人事業主が1人で始めるなら本人が兼ねる形になります。
自動車を扱う営業所では、管理者に不正品を判断する知識や経験を身につけさせるよう、古物商が努めることになっています。車台番号の打刻の改ざん、車体の不自然な改造、車検証との食い違いを見抜く知識がこれにあたり、水準の目安は「この業務に3年以上携わった人が通常持つ程度」です。
この水準は古物商の努力目標で、管理者に選ぶ時点で3年の経験が求められるものではありません。3年に満たない場合は、先任者から不正品の見分け方の指導を受ける、短期間で多くの中古車を扱うなどして、同じ程度の知識を積みます。未成年者や欠格事由に当たる人は管理者に選べません。
拠点選びで
自宅を営業所にするか、車をどこに置くか、管理者を誰にするかによって、事前相談で説明する内容と用意する書類が変わります。事業の計画に合わせた申請の準備は、当事務所へご相談ください。
買取時の本人確認
中古車を買い取るときは、相手方の住所・氏名・職業・年齢の確認と、台帳への記録を行います。
中古車を買い取ってから販売するまで
車を買い取る時点で行うこと
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相手方の本人確認
住所・氏名・年齢を本人確認書類で確かめ、職業も確認する
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車検証と実車の照合
車台番号の記載と打刻が一致するか確認する 所有者と売主が違えば、売却する権限を確かめる
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買い受けの記録
登録番号・車名・車台番号まで台帳に記録する
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車両の保管
あらかじめ決めた保管場所で車両を管理する
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販売時の記録
記録が必要な取引は、買い受けの記録と結びつけて台帳に残す
盗品等の疑いがある車両は、 買取を止めてただちに警察官へ申告します。
対面・出張・非対面の確認方法
対面では、運転免許証やマイナンバーカードなどの提示を受けます。郵送やネットで仕入れる場合は身分証の画像を送ってもらうだけでは足りず、非対面取引(郵送のように顔を合わせない取引)に定められた方法で確認する形となります。
一般の家庭に出向いて買い取るなら、申請書の行商欄(営業所の外で古物を扱うかどうかを示す許可証の項目)を「する」にして申請し、出張先には許可証を持参してください。四輪の自動車は特定商取引法の訪問購入の規制から外れますが、古物営業法の本人確認と記録は出張先でも同じです。車と一緒に貴金属やブランド品を買い取るなら、その品物には訪問購入のルールがかかります。
1万円未満の扱いはバイクと異なる
対価の総額が1万円未満の買取で本人確認と記録を省けるかどうかは、自動車とバイクで扱いが分かれます。
| 品目 | 1万円未満の買取 |
|---|---|
| 自動車(部分品を含む) | 本人確認・買受けの記録とも省略できる |
| 自動二輪車・原付(部分品を含む) | 金額にかかわらず本人確認・記録が必要 |
1万円未満かどうかは、部品1点ごとの単価ではなく1回の取引の合計額で決まり、消費税を除いた額で判定します。複数の中古パーツをまとめて買い取るときは、税抜の合計が1万円に届けば確認と記録の対象です。
台帳の記録と盗品の申告
販売したときも記録する
自動車は、買い取ったときに加えて、販売したときにも台帳へ記録します。売却時にも記録が必要な区分は美術品類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車・原付で、中古品の多くは仕入れ時の記録だけで足ります。
中古車本体を売ったときの記録では、買主の住所・氏名・職業・年齢の記載が不要です。1万円以上の部品を売ったときは、買主の情報も含めて記録してください。どちらも税抜1万円未満の取引なら、販売時の記録の対象外です。
販売時の記録は仕入れの記録と結びつけ、どの車をいつ誰から買い、いつ売ったかを後から追える形で残してください。
車台番号まで書き込む
台帳には、登録番号、車名、車台番号など、1台を特定できる事項まで書き込みます。「白のセダン1台」のような記録では、どの車かを後から特定できません。
買取時は、車検証の車台番号と実車の打刻が一致するかを照合してください。車検証の所有者欄がローン会社や販売店になっている車、家族名義の車を持ち込まれた場合は、委任状や譲渡証明書で売主に売る権限があるかを確かめます。
盗品の疑いがある車両
打刻に削った跡がある、車検証と実車の型式が合わないといった不審な点があれば、買取を止めてただちに警察官へ申告してください。理由もなく何回かに分けて部品を売ろうとする相手も、申告の対象となることがあります。
ネット販売と周辺の手続き
ネット販売の表示とURL届出
自社サイトやオークションサイトだけで中古車を売る場合も、古物商許可が必要な点は店舗販売と変わりません。自社サイトで継続して販売情報を載せ、非対面で申込みを受けるなら、URLの届出が必要です。販売ページには、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号、氏名または名称の表示も欠かせません。
業者オークションの入会条件
古物商許可を取っても、業者オークションにすぐ参加できるわけではありません。入会条件は会場ごとに決まっていて、許可取得からの経過期間、展示場や事業の実態、保証人、保証金などを求める会場もあります。
仕入れをオークション中心にする計画なら、利用したい会場の最新の入会条件を許可申請と並行して取り寄せましょう。当事務所では、許可が下りる時期と入会審査の時期をあわせて、仕入れを始める日から逆算した申請の予定を組んでいます。
整備・解体に必要な許認可
古物商許可の範囲は中古車の売買までで、整備や解体はそれぞれ別の許認可の対象です。
| 行う業務 | 必要な手続き |
|---|---|
| 分解整備や電子制御装置整備を事業として行う | 自動車特定整備事業の認証(道路運送車両法) |
| 使用済自動車を所有者から引き取る | 引取業の登録(自動車リサイクル法) |
| 使用済自動車のエアコンからフロン類を回収する | フロン類回収業の登録(自動車リサイクル法) |
| 部品取りなどのために使用済自動車を解体する | 解体業の許可(自動車リサイクル法) |
売買だけで始めて後から整備を加える場合も、認証や登録を受ける前にその業務を事業として始めることはできません。
法人化したときの許可
個人事業主として始めた後に会社を設立した場合、個人名義の許可を会社へ引き継ぐことはできず、会社名義で新たに許可を申請します。
会社の設立登記が済んでから書類を集めるため、当事務所では、会社の許可が下りるまでは個人の許可で営業を続け、その後に個人の許可を返納する段取りでご案内しています。
よくある質問
- 中古車を預かって販売する委託販売でも、古物商許可は必要ですか?
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持ち主(委託者)から車を預かって売る委託販売も古物営業に含まれるため、許可を取ってください。預かる時点で、委託者の本人確認と台帳への記録も欠かせません。
- 国内で仕入れた中古車を輸出だけで売る場合も許可は必要ですか?
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販売先が海外でも、国内で中古車を買い取る段階が古物営業に当たるため、許可が必要です。仕入れ先が一般の個人なら、本人確認と台帳の記録も国内向けの販売と変わりません。
- 車検切れや動かない車を買い取るときも、本人確認は必要ですか?
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車検切れの車や動かない車も「自動車」の区分の古物として扱い、税抜1万円以上の取引なら本人確認と台帳の記録を行います。 - 許可が下りる前に、中古車の仕入れを始めてもよいですか?
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許可が下りる前の仕入れはできません。許可前に買い取った車を売れば無許可営業となり、罰則の対象です。オークションの入会や駐車場の契約は許可の見通しを立ててから進め、実際の仕入れは許可証を受け取った後にしましょう。
まとめ
中古車の売買は、自家用車の処分を除けば、仕入れ先が個人でも業者オークションでも古物商許可の対象です。申請では部品を含めて「自動車」の区分を選び、主たる区分を「自動車」にすれば営業所の標識は「自動車商」となります。自宅を営業所にでき、展示スペースの広さに一律の要件はありません。買い取った車の置き場所と管理者は、申請前に固めてください。
営業を始めてからは、買取のたびに本人確認と台帳の記録を行います。税抜1万円未満なら確認と記録を省ける点がバイクと異なり、中古車本体は売ったときにも記録を残します。出張買取の行商欄、ネット販売のURL届出、業者オークションの入会条件、整備や解体の許認可は、手がける範囲が決まった段階で申請の計画に含めましょう。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。
中古車販売の古物商許可でお困りならご相談ください
中古車の買取・販売で古物商許可を取るには、営業所や車両の保管場所、取扱品目、管理者の選任など、事前に確認することが多く、申請には手間がかかります。
当事務所では、質屋・リユース業界で10年以上、中古品の仕入れや査定に携わってきた経験をもとに、中古車販売の内容に合わせた古物商許可の申請をサポートしています。

