中古バイクや中古パーツを仕入れて売る事業には、古物商許可が必要です。店舗での販売に限らず、オークションで落札した車両の転売や、エンジン・マフラーだけの再販も古物営業に入ります。
自分で乗っていたバイクを手放すような、転売目的の仕入れがない取引なら許可は不要です。副業か本業か、個人か法人かで扱いは変わらず、利益目的で仕入れて繰り返し売っているかという実態で判断されます。
バイクは四輪の自動車より決まりが細かく、少額の取引でも本人確認と記録が求められます。お客様の自宅で買い取る場合には特定商取引法の規制も加わるため、注意してください。
許可が必要な取引・不要な取引
他人から買い取った車両や部品を売るかどうかで、許可の有無が決まります。
| 取引の形 | 古物商許可 | 理由 |
|---|---|---|
| 買い取った中古バイクを整備して販売する | 必要 | 古物を仕入れて再販売するため |
| オークションやフリマで落札した車両を転売する | 必要 | 個人間サイトでも古物の仕入れに当たるため |
| 中古のエンジンやマフラーだけを仕入れて売る | 必要 | バイクの部分品も古物に含まれるため |
| 一般の人が購入した未使用の車両・パーツを仕入れて売る | 必要 | 使用目的で一度取引された未使用品は古物に当たるため |
| 新車販売で下取りした車両を売る | 原則必要 | 買取として扱う場合は古物営業に当たるため |
| 自分で乗っていたバイクを売る | 不要 | 転売目的の仕入れがないため |
| 無償で引き取った車両を整備して売る | 不要 | 買受けを伴わないため |
| メーカーや卸から仕入れた新車を売る | 不要 | 古物に当たらない新品だから |
「新品」「未開封」と表示されたパーツでも、個人から仕入れた物は中古品と変わりません。未使用品かどうかは見た目でなく、消費者の手に一度渡ったかどうかで決まります。
新車販売店の下取りは、新車の値引きとして経理処理し、下取車の市場価格を考慮しないといった条件をすべて満たせば古物営業に当たりません。年式や傷の有無で下取額を変えるとこの条件から外れるため、下取りを続ける店は許可を取っておきましょう。
エンジンがかからない不動車や事故車も、修理すれば走る状態に戻せるものは古物に含まれます。客観的に使えないところまで壊れた車体は古物から外れますが、外したエンジンやホイールが部品として使えれば、その部品は古物です。
無償で引き取った車両を売るだけなら許可は不要ですが、別に買取を一件でも行えば古物営業になります。処分費用を受け取って引き取る場合は、車両の状態や取引価値などから廃棄物に当たるかどうかを判断し、廃棄物処理法の許可が関わることもあります。
申請する品目と車両の区分
バイクは、13品目のうち「自動二輪車及び原動機付自転車」の区分で申請します。原付から大型二輪まで排気量を問わずこの区分に入り、エンジンやマフラーなどの部品もここに含まれます。
| 扱う物 | 申請する品目 |
|---|---|
| 原付から大型二輪までのバイクと、その部品 | 自動二輪車及び原動機付自転車 |
| 電動キックボード(特定小型原動機付自転車) | 自動二輪車及び原動機付自転車 |
| ペダル付き電動バイク(モペット) | 自動二輪車及び原動機付自転車 |
| 電動アシスト自転車 | 自転車類 |
| 四輪の中古車と、その部品 | 自動車 |
| ヘルメット、ライディングウェア、グローブ | 道具類、衣類 |
電動の車両は、道路交通法でどの車両に当たるかで品目が決まります。ペダルが付いていてもモーターだけで走れる車両は原付などバイク側に入るため、自転車類では申請できません。
車とバイクの両方を扱う場合は、申請書で「自動車」と「自動二輪車及び原動機付自転車」の両方を選びます。
ヘルメットやライディングウェアなどは車両の部分品ではないため、バイクの区分だけで一律に扱えるとは限りません。商品によって「道具類」「衣類」など別の区分になるため、実際に取り扱う用品に合わせて申請する品目を確認します。
営業所と管理者
自宅の一室や賃貸ガレージを営業所にして、中古バイクの販売を始めることもできます。展示スペースの広さに決まりはありませんが、取引の記録を保管でき、警察の立入りに応じられる独立した場所でなければ営業所として認められません。賃貸物件や月極ガレージを営業所にする場合は、契約上事業に使えるかどうかを申請前に確かめてください。
営業所ごとに1名置く管理者には、バイクを扱う場合、不正な車台番号の打刻やフレームの改造、偽の書類を見抜く知識が求められます。目安は、自動車やバイクの取引に3年以上携わった人が通常持つ程度の知識・経験です。
3年に満たない人でも、先任者から見分け方を教わる、業界団体などの講習を受けるといった方法で、同程度の知識を身につける形が認められています。
ガレージ開業の書類準備で
賃貸ガレージを営業所にするときは、契約上の使用範囲や貸主の承諾に加え、管理者の経験の示し方まで申請前にそろえることになります。当事務所では、営業所と管理者の条件の点検から申請書類の作成、警察署への提出までお引き受けしていますので、開業前にご相談ください。
バイクは1万円未満でも本人確認
バイクと部品は、1万円未満の取引でも買取時の本人確認と記録が必要です。古物の多くは対価の総額が1万円未満なら確認と記録が免除されますが、バイク・原付(部品を含む)はこの免除から外れています。
金額ごとの義務
| 取引する物 | 本人確認 | 買受けの記録 | 売却の記録 |
|---|---|---|---|
|
バイク・原付の車両 (金額を問わない) |
必要 | 必要 | 必要 |
| 部品(1万円以上) | 必要 | 必要 | 必要 |
| 部品(1万円未満) | 必要 | 必要 | 不要 |
|
ねじ・ボルト・ナット・コードなどの汎用部品 (1万円未満) |
不要 | 不要 | 不要 |
|
参考:四輪の自動車と部品 (1万円未満) |
不要 | 不要 | 不要 |
1万円は消費税を除いた額で、一度に持ち込まれた物の合計額をもとに判断します。相手が同業の古物商でも確認は省けません。法人から買い取るときは、実際に取引を担当する人の身元を確かめてください。
ネットで仕入れる場合
出品者に「本人確認済み」の表示があっても、メッセージで免許証の画像を受け取っても、それだけでは非対面(郵送やネットのように顔を合わせない取引)の本人確認になりません。法令で認められた方法には、本人限定受取郵便を使うものや、古物商が用意したソフトで身分証と顔を撮影して送ってもらうものなどがあります。仕入れをネット中心にするなら、フリマ・オークションでの仕入れに合った確認の手順を営業開始前に用意しておきましょう。
車台番号の照合と申告
フレームに打たれた車台番号と、廃車申告受付書や軽自動車届出済証などの書類の番号が一致しているか、買取のたびに照合してください。番号の周りに削った跡や打ち直した跡、不自然な溶接の跡がないかも見落とせません。
書類の名義人と持ち込んだ人が違う、番号がはっきり読めないといった車両で不正品(盗品に限らず、犯罪によって手に入れた物)の疑いがあれば、直ちに警察官へ申告する義務があります(古物営業法第15条第3項)。当事務所では、書類と車体の番号が合わない車両は、その場での買取を見送るようお伝えしています。
出張買取で守るルール
お客様の自宅でバイクを出張買取するには、行商(営業所の外で古物を取引すること)を「する」にして許可を申請します。受け取る場所にも制限があり、特定商取引法の規制も重なるため、買取の流れは店頭より長くなります。
バイクの出張買取の流れ
訪問から契約まで
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依頼を受けて訪問
お客様から依頼があった場合に限って訪ねる依頼のない飛込みの勧誘はできない
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名乗ってから勧誘
事業者名、買い取る物品の種類、勧誘の目的を先に告げる勧誘を受ける意思があるかを尋ねる
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契約と本人確認
本人確認と車台番号の照合を行う申込み・契約の際に法定書面を渡す
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8日間の対応
書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフが可能期間内は売主が引渡しを拒める
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受取と記録
受取は営業所か売主の住所・居所で行う台帳に記録し、期間内に第三者へ渡すときは通知を送る
四輪の自動車は訪問購入の対象外です。バイク・原付の出張買取では、訪問購入のルールがすべてかかります。
受け取れる場所
一般の人から古物を受け取れる場所は、自社の営業所か、相手の住所・居所(単身赴任先のように住民票とは別に実際に住んでいる場所)に限られます。駅前やコンビニの駐車場で待ち合わせ、その場で車両を引き取る形はとれません。催事場のブースのような仮設店舗で受け取る場合は、事前に仮設店舗営業の届出を出してください。
訪問購入の規制
お客様の自宅などを訪ねて物品を買い取る訪問購入の規制は、四輪の自動車には及びませんが、バイク・原付には及びます。依頼のない相手を訪ねて勧誘することはできず、査定だけを頼まれた場合に査定を超えて売却を勧めることも禁じられています。
契約の申込みや締結の際は、物品の種類や購入価格、クーリング・オフに関する事項などを記載した書面の交付が必要です。クーリング・オフの8日間は書面を受け取った日から数えるため、書面を渡していなければ期間が始まらず、後日になっても契約を解除される可能性が残ります。
期間中は、売主が車両の引渡しを拒めます。期間内に車両を受け取るときはこの点を売主に告げ、期間内に第三者へ引き渡すときは売主と引渡し先の両方に通知してください。
標識とネット上の表示
営業所には、古物商の標識(プレート)を入口など通りから見やすい場所に掲げます。店舗を構えずネット販売や出張買取だけで営業する場合も掲示は必要で、バイクを主に扱うなら「オートバイ商」と表示したプレートを用意してください。
自社サイトでバイクや部品を売る場合は、氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号をサイトに載せます。場所は商品ページかトップページで、トップページから表示ページへリンクする形でもかまいません。取引に使うサイトのURLも、許可申請書の記載事項です。
よくある質問
- 許可を取ったあとで出張買取を始めるときは、手続きが必要ですか?
-
申請時に行商を「しない」としていた場合は、変更届を出し、許可証の行商欄(営業所の外で古物を扱うかどうかを示す許可証の項目)の書換えもあわせて申請してください。
- 従業員に出張買取を任せる場合、持たせる物はありますか?
-
従業員には行商従業者証を持たせてください。営業所の外での取引では、古物商本人は許可証、従業員は行商従業者証を携帯する決まりで、許可証の写しでは代わりになりません。取引の相手から求められたときは提示が必要です。
- 中古バイクの委託販売を引き受ける場合も許可が必要ですか?
-
必要です。他人の委託を受けて古物を売買する営業も古物営業に含まれ、品物を預ける人(委託者)の本人確認と記録も買取と同じように行います。
- 許可が下りる前にバイクを仕入れておき、許可後に売ることはできますか?
-
買取の時点で古物営業に当たるため、許可が出るまで仕入れは始められません。許可なく古物営業をすると無許可営業として罰せられるので、申請から許可までの期間を見込んで開業日を決めてください。
まとめ
中古のバイクや部品を買い取って売るなら、店舗・ネット・出張のどの形でも古物商許可が必要です。申請する品目は「自動二輪車及び原動機付自転車」で、電動キックボードやモペットもここに入ります。自宅や賃貸ガレージも営業所にでき、管理者には車台番号の不正などを見抜く知識が必要です。
営業を始めたら、1万円未満の取引でも本人確認と買受けの記録を行い、買取のたびに書類と車体の番号を照合します。お客様の自宅での買取は訪問購入に当たるため、法定書面の交付と8日間のクーリング・オフへの対応を含めて買取の手順を組み立ててください。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。
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