中古品を預かり、品物を預ける人(委託者)の代わりに販売する委託販売は、事業として行う限り古物商許可の対象です。品物を買い取らず、売れたあとに手数料を差し引いて精算する形でも、扱いは変わりません。
古物営業法は、中古品を買い取って売る営業だけでなく、預かった品物を売る営業も許可の対象にしています。この記事では、許可が必要になる範囲に加えて、品物を預かる時点の本人確認、受け取れる場所、古物台帳への記録、ネット販売での手続きを、実際の取引の流れに沿って解説します。
委託販売にも古物商許可が必要
古物商許可が必要かどうかは、売買にどこまで関わるかで決まります。
| サービスの形 | 古物商許可 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 委託販売(預かった品物の出品・販売・代金の精算まで行う) | 必要 | 預かった品物の売買を引き受けている |
| 出品代行(品物を預かり、代わりに売って手数料を受け取る) | 必要 | 事業者が売却を引き受け、買い手とやり取りする |
| 作業代行(撮影・梱包・発送だけを有償で請け負う) | 不要 | 売買契約や代金の受け取りに関わらない |
| 棚貸し(出店者が自分で値付けして販売する) | 不要 | 場所を貸すだけで、販売は引き受けない |
| 保管サービス(トランクルーム型の預かり) | 不要 | 保管のみで、出品や販売に関わらない |
ブランドバッグや時計を預かり、代わりに売って手数料を受け取る形は、法律上の委託売買にあたります。在庫を抱えない、売れたときだけ報酬が出るといった事情があっても、許可は免除されません。
「保管」「作業代行」「棚貸し」という名目の契約でも、事業者が値付けや購入者とのやり取り、代金の精算まで行っていれば委託販売として扱われます。契約書の名称より、実際に引き受けている業務の中身で判断してください。
品物を預ける委託者の側は、古物商許可を取る必要がありません。自分が使っていた物を手放すだけで、転売目的の仕入れにはあたらないためです。
他人の許可を借りて営業する名義貸しは、古物営業法で禁じられています。委託販売を事業として始めるなら、営業する本人や法人の名義で許可を取りましょう。
本人確認は預かる時点で
委託者の本人確認は、売れて精算するときではなく、売却の委託を受けようとする最初の時点で必要になります。代金の支払いが売れた後になる仕組みでも、相手の住所・氏名・職業・年齢は品物を預かる段階で確かめてください。
委託品の受付から精算・返還までの流れ
品物を受け取った時点で行うこと
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品物を預かる
受け取れる場所:自分の営業所か、相手の住所・居所(催事は仮設店舗の届出) 本人確認:住所・氏名・職業・年齢(郵送なら非対面の手順)
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古物台帳に書き込む
取引年月日、品目と数量、品物の特徴、相手の住所・氏名・職業・年齢、本人確認の方法
-
販売する
ネット販売:URLの届出と、公安委員会名・許可番号・氏名の表示 美術品類・時計宝飾品類・自動車・バイクは、売却時も台帳に記録
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精算・返還
売れた品は手数料を差し引いて精算、売れ残りは規約どおり持ち主へ返す
盗品の疑いがある品物は、どの段階でも直ちに警察官へ申告します。
店頭なら品物を受け取るとき、宅配なら荷物を開けるときが、本人確認のタイミングになります。
対価の総額が1万円未満の取引は、原則として本人確認を省けます。ただし、次の品目は金額にかかわらず確認の対象です。
- バイク・原付(部品を含む)
- ゲームソフト
- CD・DVDなど
- 書籍
- エアコンの室外機、電気温水機器のヒートポンプ、電線、金属製グレーチング
委託の段階では売値が決まっていないことも多く、1万円未満に収まるかどうかは預かる時点では分かりません。当事務所では、金額にかかわらず、受付のたびに本人確認を行うようご案内しています。
郵送で委託品を受け付ける場合
宅配便で品物を送ってもらう場合、身分証のコピーを同封してもらう方法や、免許証の画像をメールで受け取るだけの方法では、法令上の本人確認になりません。
郵送のように顔を合わせない取引(非対面取引)では、本人限定受取郵便や電子証明書を使うなど、施行規則にある手順で本人確認を行います。宅配での預かりを始める前に、非対面取引での本人確認の手順から、自社で使う方法を選んでください。
郵送での委託受付で
宅配で委託品を受け付けるなら、本人確認の手順と台帳への記録方法を、受付を始める前に決めることになります。許可申請とあわせて、予定している受付の流れを当事務所へご相談ください。
委託品を受け取れる場所
古物商ではない委託者から品物を受け取れるのは、自分の営業所か、委託者の住所・居所だけです。居所は、単身赴任先のように住民票とは別に実際に住んでいる場所を指します。
受付の形ごとの扱いは次のとおりです。
| 受付の形 | 受け取り | 条件・理由 |
|---|---|---|
| 自分の営業所(店頭) | できる | 営業所として届け出た場所で受け付ける |
| 委託者の自宅へ引き取りに行く | できる | 許可証の行商欄が「行商する」になっている |
| 宅配便で送ってもらう | できる | 営業所で荷物を受け取り、非対面の本人確認を行う |
| 催事場・イベント会場の窓口 | できる | 仮設店舗の届出と「行商する」の許可がある |
| 駅前・カフェなどで待ち合わせる | できない | 営業所でも委託者の住所・居所でもない |
許可証の行商欄は、営業所の外で古物を扱うかどうかを示す項目です。自宅への引き取りや催事での受付は営業所の外での取引になるため、この欄が「しない」のままでは行えません。「行商する」の許可を持っていても、受け取れる場所が委託者の住所・居所より広がることはありません。
催事で預かり窓口を開く場合、仮設店舗の届出は営業日の3日前までに、会場を管轄する警察署へ出します。
預かった品物の保管場所も含めて、拠点が古物商の営業所要件を満たしているかどうかも、受付開始前に確かめてください。
古物台帳への記録
古物台帳への記録は、委託を受けて品物を受け取った時点から始まります。記録する項目は、取引年月日、品目と数量、品物の特徴、相手の住所・氏名・職業・年齢、本人確認の方法です。
「商品名」と「預かり日」だけのエクセル管理では、法定の項目に足りません。古物台帳の記載事項をそろえた様式を用意し、紙でもデータでも3年間保存してください。
美術品類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車・原付の4区分は、販売して引き渡したときにも台帳へ記録を残します。ほかの品目でも、売れた日や委託者へ返した日を同じ台帳に書き込んでおけば、精算や返還の履歴を後からたどれます。
同じブランド・同じ型番のバッグや時計を複数の委託者から預かると、品名だけではどれが誰の品物か区別できません。シリアル番号や固有の傷、付属品の有無を控え、受け取ったときの状態を写真に撮っておけば、成約時の精算ミスや返送時の取り違えを防げます。
委託者と決めておくこと
古物営業法の手続きとは別に、委託者との間では委託販売の規約を交わします。販売期間、売れ残ったときの返送料の負担、値下げの基準、販売後に返品やクレームが出たときの対応は、預かる前に書面にしておきましょう。
盗品の疑いがある品物が持ち込まれたら、古物商には直ちに警察官へ申告する義務があります。製造番号が削られている品物や、入手の経緯の説明があいまいな品物は、委託を受けずに断ってください。
ネットで委託品を売る場合
自社のネットショップで委託品を継続して販売するなら、通常のネット販売と同じく、管轄の警察署へURLを届け出ます。届出にはURLの使用権限を示す資料を添付し、必要な書類はドメインの契約形態で変わります。
ショップ上には、公安委員会名、12桁の許可番号、氏名または法人名を表示してください。フリマアプリやモールに出品するなら、代理出品や委託販売がそのサービスの規約で認められているかも、出品前に調べておきましょう。
よくある質問
- 売れたときだけ手数料をもらう形なら、許可はいりませんか?
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許可は必要です。報酬を受け取るタイミングや計算方法にかかわらず、事業として中古品の売買を引き受けていれば古物商許可の対象になります。
- 法人で委託販売を始める場合、代表者個人の許可で営業できますか?
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できません。古物商許可は営業する名義ごとに受けるもので、法人として営業するなら法人名義で新たに申請します。
- 委託者の自宅まで品物を引き取りに行けますか?
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引き取りに行けます。委託者の住所・居所は受け取れる場所に含まれますが、営業所の外で古物を扱うことになるため、行商欄が「しない」の許可では自宅での引き取りができません。
- 郵送で委託品を受け付ける場合、免許証のコピーを入れてもらえば足りますか?
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足りません。非対面取引において身分証のコピーや写真を受け取るだけでは、法令に定める本人確認の要件を満たしません。法令で定められた電子的確認手順や、本人限定受取郵便などを利用してください。
- 預かっている品物が破損・紛失した場合はどうなりますか?
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古物営業法には補償の決まりがなく、委託者との契約で扱いが決まります。補償の上限や免責の範囲を規約に入れ、預かり時の状態を写真で残してください。盗難にあった場合は、警察へ被害を届け出ます。
まとめ
中古品の委託販売は、買い取らずに預かって売る形でも古物商許可の対象です。作業代行や棚貸し、保管だけのサービスとの違いは、値付けや購入者とのやり取り、代金の精算まで引き受けているかどうかにあります。
許可を取ったあとは、預かる時点での本人確認と古物台帳への記録、営業所か委託者の住所・居所に限られる受取場所、郵送受付での非対面の確認が日々の業務になります。ネットで販売するならURLの届出とショップへの表示も済ませ、預かりから販売、精算、返還までの流れを営業開始前に固めておきましょう。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。
中古品の委託販売を始める方へ
委託販売は、受付の方法や販売する場所によって、許可申請の内容や開業後の手続きが変わります。質屋で10年以上中古品の取引に携わってきた経験をもとに、予定している営業の形を伺いながら申請をサポートしています。

