古物商許可が不要な場合|3つのケースとグレーゾーンの判断基準

フリマアプリを見てる女性

自分で使っていた服や家電を処分する、友人からもらったものを売る、海外旅行で買ってきたものを国内で出品する、この3つのケースなら古物商許可は不要です。仕入れを伴わない個人的な処分の範囲に収まるからです。

一方、中古品を仕入れて継続的に売るなら許可が必要で、無許可のまま続けると古物営業法第31条により3年以下の拘禁刑(旧:懲役)または100万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます。さらに罰金以上の刑を受けると、その後5年間は許可が取れなくなります(同法第4条)。「バレてから許可を取ればいい」というやり方は、この時点で通用しなくなります。

3つの不要ケース、グレーゾーンの見分け方、プラットフォームごとの注意点を順に見ていきます。

目次

古物商許可が不要な3つのケース

1. 自分で使っていた不用品を売る

自分で買って使ったものを売る場合には、古物商許可は不要です。

着なくなった服、遊び終わったゲーム機、読み終えた本、引っ越しで処分する家具。いずれも「使う目的で買って、使った結果として手放す」流れなので、古物営業法の対象外です。

ここで注意したいのは「使ったかどうか」よりも「買った時点の目的」が問われる点です。一度も使っていない新品でも、最初から転売目的で仕入れていれば古物に該当します。

買取の現場では、持ち込まれた商品を見るとき、次のあたりを確認しています。

  • 使用感(傷・汚れ・色褪せ)が自然にあるか
  • 購入から手放すまでの期間が極端に短くないか
  • 同じ商品を複数まとめて持ち込んでいないか

警察も似た目線で見ています。管轄署の担当者からは、「月に10件以上の取引を数ヶ月続けていれば、事業性ありとみなす可能性が高い」という説明を受けたことがあります。月に数点を不定期に手放す程度なら不用品の範囲ですが、量と頻度が増えれば「営業」と評価されます。

2. 無償で譲り受けたものを売る

人からもらったものや懸賞で当たったものを売る場合も、古物商許可は不要です。

友人からもらったアクセサリー、ゲームセンターで取った景品、懸賞で当たった商品、親から譲り受けた時計など。金銭の授受がないため、古物営業法が規制する「買い受け」に当たりません。

ただし、本当に贈与品である場合に限って使える理屈です。実態としては仕入れているのに「もらった」と申告するケースはプラットフォーム側にも警戒されます。

3. 海外で自分が購入したものを売る

海外旅行や留学・出張で自分が現地購入したものを日本国内で売る場合も、古物商許可は不要です。

古物営業法は日本国内の取引を規制する法律であり、海外での購入そのものは適用外です。自分が現地で買って持ち帰ったブランドバッグや電化製品を後日売る分には、許可は求められません。

ただし「自分で買った」かどうかの線引きは、きちんと意識しておきたいところです。

  • 自分で海外旅行に行ってブランド品を買い、後日フリマアプリで売る → 許可不要
  • 輸入業者から海外ブランド品を仕入れて転売する → 許可必要

古物商許可とは別の問題として、電気用品安全法(PSEマーク)・薬機法・食品衛生法など、日本の安全基準を満たさない輸入品の販売は別の法律違反になります。「許可不要」だからといって何でも自由というわけではない点は、頭に入れておくといいでしょう。


古物商許可が必要なケース

営利目的で中古品を仕入れて販売する場合は、フリマアプリであっても古物商許可が必要です。仕入れ先別に見ると次のパターンが代表的です。

  • リサイクルショップ・ハードオフなどで仕入れて転売
  • メルカリ・ラクマ・ヤフオクで仕入れて転売
  • 古本屋で仕入れて転売
  • 個人から直接買い取って転売

「不用品の処分」と「仕入れて転売」の境界線が迷いやすいところです。メルカリでの具体的な線引きはメルカリで古物商許可が必要なケースと不用品の違いで取り上げています。

匿名配送での仕入れ時に本人確認をどう運用するかについては、メルカリ・ラクマで仕入れた場合の本人確認方法で実務的な対処法を取り上げています。

業者間取引では、相手の許可番号の確認も欠かせません。古物商許可番号の検索・確認方法に手順をまとめています。


グレーゾーンの判断軸

「自分のケースが不要なのか必要なのかわからない」という場合、迷いやすいのはほぼ次の2つです。

不用品の販売が「営業」に見えるケース

月に1〜2点を不定期に売る分には、まず不用品の範囲です。次の要素が重なってくると「営業」と評価されやすくなります。

取引の頻度と量:月10件以上が継続していると、件数だけで事業性を疑われやすくなります。

取扱品の偏り:服・本・家電が混在していれば生活の中で出た不用品らしく見えます。「特定ブランドのスニーカーばかり」「同じゲームソフトの色違い複数」のようにジャンルが偏ると、仕入れている疑いが立ちます。

新品同様の比率:使用感のない商品が常に並んでいると、自分用に買ったものには見えづらくなります。

購入から販売までの期間:買って数日〜数週間で売っている履歴が並ぶと、転売目的が疑われます。

プラットフォーム側の検知:メルカリやヤフオクは取引パターンを内部で監視しています。同一商品の繰り返し出品、急激な評価増、短期間での大量出品は規約違反の警告対象になることがあります。

新品を仕入れて転売するケース

家電量販店や小売店で新品を買って転売する場合は、原則として古物商許可は不要です。ただし、明確なグレーゾーンがあります。

古物営業法第2条は、古物を「使用された物品」だけでなく**「使用されない物品で使用のために取引されたもの」**も含めて定義しています。「最初から転売目的で買った新品」はこの定義のすぐ縁にある存在です。

管轄署の担当者からは、「転売目的で購入した時点で『使用のために取引された』とみなす場合がある」という見解を聞いたことがあります。特に問題視されやすいのは次のようなケースです。

  • セール品を大量にまとめ買いして転売
  • 限定商品を入手目的で並んで購入し、即転売
  • ポイント還元・キャンペーン目当ての仕入れ転売

買取窓口でも、同じ新品商品を大量に持ち込まれた場合には、念のため古物商許可の有無を確認することがあります。グレーゾーンで毎月ヒヤヒヤするくらいなら、許可を取って堂々と営業する方が事業として安定します。


主要フリマアプリでの注意点

営利目的で中古品を販売する場合に古物商許可が必要という原則は、どのフリマアプリでも変わりません。プラットフォームごとの違いは、許可証の提出フローと規約上の扱いに表れます。

プラットフォーム別の特徴

プラットフォーム販売手数料特徴許可証の扱い
メルカリ10%個人間取引、匿名配送Shopsは許可証必須
ラクマ6%楽天ポイント連携事業者は許可証提出
PayPayフリマ5%PayPay連携、手数料最安事業者は許可証提出
ヤフオク8.8〜10%オークション形式法人は許可証提示推奨

ヤフオクで出品する場合の判断基準は出品スタイルによって変わります。中古品の仕入れ転売、不用品処分、ストア出店で線引きが違うので、ヤフオクで古物商許可は必要かで整理しています。

メルカリの規約上の注意点

法律上の問題とは別に、メルカリは規約上の扱いにも注意が必要です。

メルカリ公式ガイドラインでは、個人アカウントは「不用品売買の場」と位置付けられています。古物商許可を持っていても、個人アカウントで営利目的の販売(せどり)を行うこと自体が規約違反としてアカウント停止の対象になります。

つまり、

  • 古物商許可の有無と、規約違反かどうかは別の問題
  • 営利目的で運用するなら、メルカリShopsへの切り替えが前提
  • メルカリShopsは開設時に古物商許可証の提出が必須

という構造です。同じ商品の複数出品、新品同様品の大量出品、短期間での大量出品、取引評価の急激な増加などが検知されると、警告やアカウント停止の措置が取られることがあります。

(出典:メルカリShops「中古品(古物)を販売する時の注意事項」)


無許可で営業した場合のリスク

古物商許可を取らずに営利目的で中古品を販売した場合、古物営業法第31条の罰則は次のとおりです。

  • 3年以下の拘禁刑(旧:懲役)
  • または100万円以下の罰金
  • または両方

「自分のことはバレないだろう」と思っていても、発覚のきっかけは自分の側からは止められません。窃盗事件の捜査過程で取引相手として名前が挙がる、他のユーザーからプラットフォームに通報される、プラットフォーム自身の監視で検知される、税務調査で売上の存在が判明する。発覚の具体的なパターンはメルカリで古物商許可なし、バレる?無許可販売が発覚する4つのきっかけで詳しく書いています。

なお、2022年6月公布の改正刑法が2025年6月1日に施行され、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。古物営業法第31条の罰則も「3年以下の拘禁刑」と読み替えられます。古物関連の記事や書籍に「懲役」という表記が残っているものは改正前の情報です。


判断に迷ったときの選択肢

「不要なのか必要なのかわからない」という段階にある時点で、許可を取っておく方が事業的には安心です。グレーゾーンを抱えながら毎月の売上を立てるより、許可を取って堂々と動かした方がメンタルも実務もシンプルになります。

許可取得のメリットは罰則回避だけではありません。

通報・トラブルのリスクがなくなる

「バレるかも」という不安を抱えなくて済むのは、それだけで運営の精度が上がります。

古物市場に参加できる

一般の方が立ち入れないプロの市場に参加できるようになります。メルカリやヤフオクから仕入れるより安い水準で仕入れられるため、利益率が大きく変わります。

ビジネスとして拡大できる

法人化、融資、取引先からの信用、いずれの面でも許可保有は前提条件になります。

許可取得のコストは、個人申請で約2万円(申請手数料19,000円+住民票などの書類取得費用)、期間は申請から審査完了まで約40日です。賃貸物件で申請する場合に詰まりやすいのは使用承諾書の取り付け方と、バーチャルオフィスを営業所に使えるかあたりです。東京での申請の流れと管轄については東京で古物商許可を申請する前に知っておきたいことに手順をまとめています。

お困りの際は当事務所へ

「自分のケースで許可が必要かどうか確認したい」「グレーゾーンに自分が当てはまるか判断できない」といった場面でのご相談も受け付けています。

古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。

当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。

申請代行 11,000円〜(税込)/まずはお気軽にご相談ください

よくある質問

不用品を売るだけなら、古物商許可は絶対に不要ですか?

いいえ、絶対ではありません。継続的に大量の不用品を出品している場合は「営業」とみなされる可能性があります。管轄署の担当者から「月に10件以上の取引を数ヶ月続けていれば、事業性ありとみなす可能性が高い」という説明を受けたことがあります。「継続的に販売している」という事実は、無許可営業を疑われる大きな要因になります。

新品を仕入れて転売する場合も、古物商許可は不要ですか?

原則として不要ですが、グレーゾーンがあります。小売店で買った新品でも「転売目的」で仕入れている場合は、許可が必要とみなされる余地があります。セール品の大量購入、限定商品の即転売、ポイント還元目当ての仕入れ転売は特に注意が必要なパターンです。

どのくらいの頻度で出品すると「営業」とみなされますか?

明確な数値基準はありません。「月10件以上の取引が数ヶ月以上継続している」「常時10点以上を出品している」「短期間で評価数が急増している」あたりが実務上の目安です。これらが複数重なると、事業性を問われやすくなります。

海外で買った商品を転売する場合も、古物商許可は不要ですか?

自分で海外に行って買ってきたものを売る場合は不要です。輸入業者から海外商品を仕入れて転売する場合は許可が必要です。また、継続的に海外で買い付けて転売する規模になると、税関や税務署の調査対象になる可能性も出てきます。

グレーゾーンとは、具体的にどこですか?

主に「新品を転売目的で仕入れる場合」と「不用品売却が継続して『営業』に見える場合」の2つです。古物営業法第2条が、未使用品でも「使用のために取引されたもの」を古物に含めているため、新品の転売は解釈次第で規制対象になります。迷うラインにいると感じた時点で、許可を取得しておく方が運営は安定します。

メルカリで古物商許可を持っていれば、個人アカウントでせどりしても問題ありませんか?

法律上の問題は解消されますが、メルカリの規約違反になります。個人アカウントは「不用品売買の場」と位置付けられているため、許可の有無にかかわらず、せどり目的の運用はアカウント停止の対象です。営利目的で動くなら、許可証を提出してメルカリShopsに切り替える運用が前提になります。

執筆者プロフィール

手島宏典 行政書士・現役質屋店長
業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。

行政書士手島宏典事務所
東京都葛飾区亀有3丁目27-30 Tビル1階
TEL:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)

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