他府県に営業所を追加するときの届出方法|許可の取り直しは不要

古物商許可の全国対応を示す日本地図。他府県への営業所展開のイメージ 古物商許可コラム

「東京で許可を取ったんですが、大阪にも店を出したい場合はどうすればいいですか?」

お客様からときどきこういった質問をいただきます。許可は全国で使えるのか、また一から申請し直す必要があるのか?

結論から言うと、許可の取り直しは必要ありません。ただ、何も手続きしなくていいわけでもないので、この記事で整理しておきます。

古物商許可は「全国共通」

2020年(令和2年)4月1日の法改正(全面施行)以降、古物商許可は全国で効力を持ちます。

以前は都道府県ごとに個別の許可が必要でした。東京と大阪の両方に営業所を置く場合、それぞれの都道府県公安委員会に申請しなければいけませんでした。

これが法改正で大きく変わり、1つの許可で全国どこにでも営業所を追加できるようになりました(古物営業法 第7条

ただ、手続きが完全になくなったわけではなく、他府県に営業所を設ける場合は「変更届」の提出が必要になります。この流れをもう少し詳しく説明します。

他府県に営業所を追加するときの届出ルール

ここで少し混乱しやすいポイントがあります。届出の「宛先」と、書類を実際に持ち込む「窓口」は別の話です。

届出の宛先は「主たる営業所を管轄する都道府県公安委員会」ですが、書類の提出窓口は「新設する営業所を管轄する警察署(生活安全課)」でも構いません。主たる営業所の管轄警察署に持ち込む方法も認められています。

つまり、A県とB県の両方の警察署にそれぞれ書類を持っていく必要はありません。

届出の概要

項目内容
届出の宛先主たる営業所を管轄する都道府県公安委員会
書類の提出窓口新設先の管轄警察署(または主たる営業所の管轄警察署)
届出の期限設置した日から14日以内(法人の登記変更を伴う場合は20日以内)
提出する書類変更届出書(様式第3号)など

届出の期限は「設置した日から14日以内」です。営業を始めてから届け出ればよいのではなく、営業所を設けた時点から起算されます。この期限を過ぎると古物営業法違反(変更届出義務違反)として10万円以下の罰金の対象になりますので、展開を決めたら早めに準備を始めるのがよいと思います。

届出に必要な書類

営業所の追加届出に必要な書類は、都道府県によって若干異なることがありますが、一般的に以下のものが求められます。

  • 変更届出書(様式第3号)
  • 営業所の賃貸借契約書の写し(賃貸の場合)
  • 営業所の見取り図
  • 管理者に関する書類(誓約書、身分証明書など)

管理者(営業所の責任者)は、新設する営業所ごとに1名選任する必要があります。古物商の許可申請と同様に、この管理者が欠格事由に該当していないかも確認が必要です。

「届出が必要か」の判断フロー

状況によって手続き内容が変わるため、以下のフローで確認してみてください。

STEP 1: すでに古物商許可を持っていますか?
いいえ
まず許可申請が必要です
はい
↓ STEP 2へ
STEP 2: 他府県に「営業所(店舗)」を設けますか?
出張買取のみ(行商)
新たな届出は不要です
営業所を設ける
↓ STEP 3へ
STEP 3: 新しい営業所の都道府県は?
同じ都道府県
主たる営業所の
管轄警察署に変更届
別の都道府県
新設先の管轄警察署に変更届
(14日以内)

注意点

管理者の選任は慎重に

新しい営業所を開く場合、管理者はそこに常勤できる人を選ぶ必要があります。形式上だけ名前を入れておくというのは認められません。警察署の調査が入った際に問題になることもありますので、実際に常駐できる方を選んでください。

営業所の「実態」が問われる

申請上の住所だけでなく、実際にそこで営業活動ができる状態であることが求められます。バーチャルオフィスの場合、認められないことがあります。古物を保管・管理できるスペースがあるかどうかも確認されるポイントです。

提出前に管轄警察署へ事前確認を

都道府県によって、添付書類の細部や窓口の運用が異なることがあります。「書類を揃えて持っていったら差し戻しになった」ということを避けるためにも、提出先の警察署(生活安全課)に事前に確認しておくのが確実です。

よくある質問(FAQ)

Q
許可を取った都道府県以外での営業は、届出なしにできますか?
A

他府県に「営業所(店舗)」を設ける場合は、届出なしではできません。無届けで営業所を設置すると古物営業法違反(10万円以下の罰金)となります。一方、営業所を設けずに他府県へ出張買取(行商)として行く場合は、新たな届出は不要です。「営業所を置くかどうか」が判断の分かれ目になります。

Q
他府県に営業所を出す場合、また新しく「許可申請」が必要ですか?
A

2020年の法改正以降は、新たな「許可申請」は不要です。必要なのは「変更届」です。ただし、届出に添付する書類の準備や管理者の選任が必要になりますので、まったく手間がかからないわけではありません。

Q
ネット販売(フリマアプリなど)なら他府県でも届出なしで使えますか?
A

主たる営業所が1か所であれば、ネット上での販売自体は全国対応できます。「物理的な営業所を他府県に設けるかどうか」が届出の要否を決める基準になります。ネットショップのサーバーがどこにあるか、という話とは別です。

Q
届出に必要な書類はどこで入手できますか?
A

各都道府県の警察署(生活安全課)に書式があります。都道府県によってホームページからダウンロードできる場合もあります。書式の細部は都道府県ごとに異なることがあるため、新設先の警察署に事前確認しておくと安心です。

Q
管理者は許可取得者本人でも大丈夫ですか?
A

問題ありません。許可を取得した本人が新設する営業所の管理者を兼ねることは可能です。ただし、複数の営業所を同時に管理するのは現実的に難しい場面もあります。それぞれの営業所に別の管理者を選任する方が、運営上スムーズなことも多いです。

まとめ

  • 2020年(令和2年) の法改正で、古物商許可は全国共通の効力を持つようになった
  • 他府県に営業所を追加する場合は、許可の取り直しは不要だが「変更届」の提出が必要
  • 書類の提出窓口は新設先の管轄警察署(または主たる営業所の管轄警察署)
  • 届出の期限は設置から14日以内(登記変更を伴う場合は20日以内)で、期限厳守

お困りの際は当事務所へ

古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。また、「メルカリでの転売に許可は必要か」「開業後の届出は何が必要か」など、判断に迷う場面も多いです。

当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。「自分のケースで許可が必要か確認したい」「申請が複雑で困っている」といった場合は、お気軽にご相談ください。

単純な「出品作業の代行」であれば問題ありません。ただし、買取判断・価格設定・入金管理など、営業の実質的な部分を外部が担っている場合は名義貸しと判断されるリスクがあります。「どこまで任せているか」を一度整理してみてください。グレーゾーンだと感じたら、早めに確認しておくことをお勧めします。

まとめ

名義貸しは、貸した側・借りた側の両方が古物営業法違反となります。「頼まれたから」「家族だから」「バレないだろう」では済まされません。

発覚すれば許可取り消し、5年間の再申請禁止という結果が待っています。これは事実上の廃業です。

古物商許可は「名義だけ取ればOK」というものではなく、許可を受けた本人が責任を持って営業することが大前提です。

お困りの際は当事務所へ

古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。また、「メルカリでの転売に許可は必要か」「開業後の届出は何が必要か」など、判断に迷う場面も多いです。

当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。「自分のケースで許可が必要か確認したい」「申請が複雑で困っている」といった場合は、お気軽にご相談ください。

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執筆者プロフィール

手島宏典 行政書士・現役質屋店長
業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。

行政書士手島宏典事務所
東京都葛飾区亀有3丁目27-30 Tビル1階
TEL:03-6821-4578(平日 9:00〜19:00)

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