特車申請で許可を取得した後、手数料の内訳確認、許可証の受領、そして現場での携帯方法まで、押さえておくべき実務があります。2025年3月のシステム改修により、手数料明細書のダウンロード機能が追加されるなど、経理処理の透明化が進んでいます。本記事では、許可取得後に必要な手続きと、電子機器による許可証携帯の正しいルールについて解説します。
手数料明細書のダウンロード機能
インボイス制度に対応した明細書が即時発行可能に
特車申請には、審査手数料(原則、1経路につき200円など)がかかります。企業で申請を行う場合、経理部門から「この請求額の内訳はどうなっているのか」「どの車両の分か」と確認を求められることがあります。
これまで、システムから送られてくる納入告知書には合計金額のみが記載されており、詳細な内訳(どの車両の、どの経路の手数料か)を知るには、特車登録センターへ電話で問い合わせる必要がありました。
2025年3月のシステム改修により、「手数料明細書出力機能」が追加されました。車両登録や経路確認で支払った手数料の内訳が記載された明細書(PDF)を、システムからいつでもダウンロードできるようになっています。
操作手順
操作は以下の流れで行います。
車両登録の場合:
- 「登録車両一覧」画面を開きます
- 対象データの横にある「ダウンロード」ボタンをクリックします
経路確認の場合:
- 「確認済経路一覧」画面から詳細を開きます
- 「手数料」タブにある「明細書ダウンロード」ボタンをクリックします
これにより、「車両登録手数料」や「経路確認手数料」が記載された、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応した明細が入手できます。経理処理の透明化のため、申請担当者はこの機能の使い方を把握しておく必要があります。
許可証の受領手順
手数料を納付すると、許可証が発行されます。現在はオンラインで完結する仕組みになっています。
受領の流れ
- メール通知: 審査が終了すると、登録したメールアドレスに「審査終了(許可証発行)」のお知らせが届きます
- ダウンロード: システムにログインし、「申請状況照会」画面などから許可証データをダウンロードします
- 解凍: データは圧縮ファイル(.zipまたは.lzh)になっているため、解凍ソフトを使って展開します
ファイルの中身を確認する
解凍したフォルダには、複数のファイルが入っています。
- PDFファイル: 許可証の本体です。「許可証」「条件書」「通行経路表」などがセットになっています
- binファイル: システム用のデータです。再度申請する際や、変更申請をする際に読み込んで使います
- htmlファイル: 鑑(かがみ)文書と呼ばれる表紙のようなものです

電子機器による許可証携帯の条件
道路法では、特殊車両を通行させる際、「許可証を当該車両に備え付けなければならない」と定められています(許可証携帯義務)。これに違反すると、無許可走行と同様に処罰の対象となります。
以前は、分厚い紙のファイルをトラックの助手席に積んでおく必要がありましたが、2019年以降、タブレットやスマートフォン等の電子機器による携帯が認められています。ただし、これには必ず守らなければならない条件があります。
条件①:オフラインで表示できること(必須)
「電波が入らない場所でも即座に表示できること」が求められます。
NG例:
「許可証は会社のサーバーにあるから、検問があったらスマホでアクセスしてダウンロードします」
理由:
山間部の現場やトンネル内など、圏外の場所で提示を求められた場合に表示できないため、「不携帯」とみなされます。
OK例:
タブレット端末の本体ストレージ(内部メモリ)にPDFファイルを保存しておく。
「クラウドにある」では対応できません。必ず端末本体にファイルをダウンロードさせてください。
条件②:画面で判読できること
スマホの小さな画面でも構いませんが、拡大縮小して「許可番号」「経路」「条件」「印影」などがはっきりと読み取れる状態でなければなりません。画面が割れていて見えない、バッテリー切れで起動しない、といった場合も不携帯扱いとなります。
条件③:セットで携帯すること
許可証とは、表紙の1枚だけではありません。以下の書類すべてが閲覧できる状態(PDFファイル全体)にしておく必要があります。
- 許可証(公印があるもの)
- 条件書(通行条件や付帯条件が書かれたもの)
- 通行経路表(交差点名がリスト化されたもの)
- 通行経路図(地図データ)
- 車両内訳書(包括申請の場合)
これらが欠けていると、条件違反や不携帯を問われる可能性があります。PDFファイルはページを間引かず、そのままドライバーの端末に転送してください。

ドライバーへの伝達事項
申請担当者の業務は、許可証をドライバーに渡すまでではありません。現場で正しく走行してもらうことまでが責任範囲です。ドライバーに渡す際、以下の内容を必ず伝えてください。
「条件書」を必ず読ませる
許可証と一緒に付いてくる「条件書」には、そのルートを走るためのルールが書かれています。特に注意が必要なのは「C条件」と「D条件」です。
C条件・D条件の主な内容:
- 誘導車の配置: C条件やD条件がついている場合、誘導車(先導車)の配置が義務付けられています。これを無視して単独で走行すると、悪質な違反として即時告発の対象になり得ます
- 走行時間帯の制限: D条件の場合、原則として21時~6時の間しか走行できません。昼間に走ると違反になります
講習受講者の配置
誘導車を配置する場合、その運転手は「誘導等ガイドライン」に基づく講習を受講している必要があります。オンラインで受講できる講習もありますので、自社で誘導を行う場合は必ず受講させ、修了証を携帯させてください。

まとめ
特車申請で許可を取得した後、以下の3つの実務を確実に行う必要があります。
1. 手数料明細書の取得
2025年3月のシステム改修により、「手数料明細書出力機能」が追加されました。車両登録や経路確認で支払った手数料の内訳を記載した明細書(PDF)を、システムからダウンロードできます。インボイス制度に対応しているため、経理部門への説明資料として活用できます。
2. 許可証の受領と確認
許可証はメール通知後、システムから圧縮ファイル形式でダウンロードします。解凍後のファイルには、PDFファイル(許可証・条件書・通行経路表)、binファイル(システムデータ)、htmlファイル(鑑文書)が含まれています。これらすべてが揃っていることを確認してください。
3. 電子機器による携帯の条件遵守
電子機器で許可証を携帯する場合、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- オフラインで表示できること: 本体ストレージにPDFを保存し、電波が入らない場所でも即座に表示できる状態にする
- 画面で判読できること: 許可番号、経路、条件、印影などがはっきりと読み取れる状態を維持する
- セットで携帯すること: 許可証、条件書、通行経路表、通行経路図、車両内訳書(包括申請の場合)の全ページを保存する
クラウドストレージや会社サーバーからのアクセスは、圏外の場所で表示できないため「不携帯」とみなされます。
ドライバーへの確実な伝達
許可証をドライバーに渡す際は、条件書の内容、特にC条件・D条件の有無を必ず確認させてください。誘導車の配置や走行時間帯の制限は、違反すると即時告発の対象となる重要事項です。誘導車を配置する場合は、運転手が講習を受講し、修了証を携帯している必要があります。
許可取得後の実務を正しく行うことで、違反リスクを回避し、現場でのトラブルを防ぐことができます。



