特殊車両通行許可の有効期限が「あと1週間ある」という状況で、まだ余裕があると考えている方は少なくありません。しかし、更新申請のタイミングを誤ると、審査の遅れによって許可の空白期間が生まれ、車両が運行できなくなる事態に直面する可能性があります。
特車許可制度において、更新申請は許可期間の延長を目的とした手続きです。ただし、申請のタイミングを見誤ったり、変更申請との区別を理解していなかったりすると、システム上で不備扱いとなり、新規申請としてやり直す必要が生じます。
本記事では、許可切れによる業務停止を防ぐための適切なスケジュールと、更新申請と変更申請の違いについて解説します。
更新申請は有効期限の2ヶ月前から準備を始める
標準処理期間の実態
一般的に特車申請の標準処理期間は「1ヶ月程度(平均)」とされています(中部地方整備局ハンドブック等)。 条件が良い場合は2週間程度で下りることもありますが、「2週間前で大丈夫だろう」と考えるのは非常にリスクがあります。
2週間程度の期間はあくまで「経路が収録済みで、個別審査が不要な場合」という条件付きです。

なぜ早めの準備が必要なのか
申請した経路の中に、以下のような状況が含まれていた場合、審査期間は2週間を大幅に超えることがあります。
- 道路情報の更新により「未収録道路」になった区間がある
- 橋梁の老朽化により「個別協議」が必要になった
- 新たな道路工事により通行条件が変更された
審査中に現在の許可期限が切れてしまうと、許可証が下りるまでの間は無許可期間となり、車両を公道で走らせることができません。
空白期間を作らないためには、有効期限の1.5ヶ月〜2ヶ月前には申請データを作成し、送信を完了させることが重要です。
期限切れが引き起こす実務上の問題
特車オンラインシステムは、期限管理において厳格な運用がされています。有効期限を1日でも過ぎてから申請しようとすると、以下の問題が発生します。
「更新申請」が受理されない
システム上、期限が切れた許可データを使って「更新申請」を選択しても、審査官によって差戻しされる可能性があります。理由は、「有効な許可が存在しないため、更新(延長)する対象がない」とみなされるためです。
「新規申請」としての再申請が必要になる
期限が切れた場合、すべて新規申請として作り直す必要があります。これには以下のデメリットがあります。

新規申請の主なデメリット:
- 添付書類の再提出: 更新なら省略できた「車検証の写し」や「車両の三面図」などを再度揃えて添付する必要があります
- 審査順のリセット: 優先的な処理が期待できず、通常の審査待ち行列に並ぶことになります
- 作業工数の増加: 前の申請データを流用できず、計算し直しで手間とコストがかかります
無許可運行のリスク
許可期限が切れているのに、気づかずに運行を続けると無許可運行として行政処分の対象になります。行政処分を受けると、後の「特車ゴールド」などの優遇措置も受けられなくなる可能性があります。
「更新申請」と「変更申請」の違いを理解する
更新申請でよくあるトラブルが、内容変更を含めて更新申請として提出してしまうケースです。特車申請における「更新申請」は、許可内容を変更せずに期間のみを延長する手続きに限定されています。
更新申請として受理される条件
更新申請が可能なのは:
- 許可期間の延長のみ
- 車両、経路、会社情報などに一切変更がない場合
変更申請が必要になるケース
以下の変更を含めて「更新申請」として提出すると、不備として差し戻される可能性があります。

変更申請が必要な主なケース:
- 車両の入替え: トラクタヘッドを新車にした、トレーラを交換した
- 経路の変更: 出発地・目的地が変わった、立ち寄り先を追加した
- 会社情報の変更: 本社移転や代表者名の変更があった
- 台数の増減: トラクタやトレーラの台数を増やした・減らした
これらの変更がある場合は、更新時期であっても変更申請を選択し、期間延長も必要な場合は別途手続きが必要になることがあります。申請区分については、管轄の国道事務所等へ確認することをお勧めします。
「特車ゴールド制度」で更新管理を効率化
複数の許可証を管理し、すべての更新期限を把握するのは容易ではありません。そこで活用したいのが、特車ゴールド制度です。
ワンクリック申請で更新手続きを簡素化
ETC2.0を装着し、業務支援用として登録した「特車ゴールド」対応車両であれば、更新時期が来ると通知が届き、簡単な同意操作だけで申請が完了するワンクリック申請が利用可能です。

許可期間が最大4年に延長
通常、特車の許可期間は2年(条件によっては1年)ですが、優良事業者(Gマーク取得、違反なし等)のETC2.0装着車であれば、許可期間が最大4年まで延長されます。
更新回数が半分になることで、更新忘れのリスクも軽減できます。
まとめ:計画的なスケジュール管理が運行を守る
特車申請の更新は、期限ギリギリでの対応が難しい手続きです。審査期間の遅れや、予期せぬ個別協議の発生を考慮し、早めの行動が事業者のコンプライアンスと運行を守ります。
更新申請のチェックリスト
期限確認
全車両の許可期限をリスト化し、カレンダーやシステムで管理する。
早期着手
期限の2ヶ月前に申請準備を開始し、1.5ヶ月前には送信を完了させる。
内容確認
車両や経路に変更がないか確認。変更がある場合は「変更申請」または「新規申請」を選択する。
制度活用
ETC2.0と特車ゴールドの導入を検討し、次回からの許可期間を4年に延ばす。
許可証はトラックを動かすための重要な書類です。1日の遅れが業務停止につながらないよう、余裕を持ったスケジュール管理を実践しましょう。



