橋の重量制限標識(14t等)のルールと罰則|新規格車でも通れない理由

コラム

新規格車の導入で25tまで自由に走れるようになりました。確かに高速道路や指定道路では最大25tまで許可不要ですが、実はそれ、半分正解で半分間違いです。

インターを降りた瞬間、橋の手前に立つ「14t」の標識があれば、その先は通行できません。たとえ総重量20tの一般的なトラックでも、標識違反として重い罰則の対象になります。

2025年6月からは、最大6ヶ月の拘禁刑という極めて厳しい罰則が新設されました。単なる罰金では済まない時代に入っています。

本記事では、見落としがちな「個別制限」のルールと、違反を避けるための実務対策を解説します。

「法律」よりも「現場の標識」が絶対ルール

道路を走るためのルールには、2つの階層があります。

一般的制限値(基本ルール)

国が定めた、全国の道路を通行できる車両の最大サイズです。

  • 幅: 2.5m
  • 重さ: 20.0t(新規格車・指定道路は最大25.0t)
  • 高さ: 3.8m(高さ指定道路は4.1m)

この範囲内であれば、基本的には許可なく自由に走行できます。

個別制限(現場の標識が絶対)

しかし、すべての道路が25tの重量や3.8mの高さに耐えられるわけではありません。古い橋、狭いトンネル、高架下のガードなど、構造上の理由で一般的制限値よりも厳しい制限をかけざるを得ない場所があります。

つまり、現場に標識がある場合、法律(一般的制限値)よりも「目の前の標識」が優先されます。

これは道路法第47条第3項に明記されており、道路管理者は「橋やトンネルの構造計算上、安全と認められる限度を超える車両の通行を禁止・制限できる」とされています。

見落としやすい「危険な標識」2パターン

現場でよく見落とされる標識を2つ紹介します。

① 橋の手前にある「14t」等の重量制限

山間部の古い橋や、老朽化した橋梁に多く設置されています。

  • 標識の見た目: 赤い丸の中に青字で「14t」「14.5t」などと書かれた標識
  • 意味: 「この橋は古くて脆いので、総重量14tを超える車は通れません」

ここが落とし穴です。 一般的制限値(20t~25t)内の車両でも、この標識がある場所では14tを超えれば違反になります。

実際、全交通のわずか0.3%の重量違反車両が、道路橋劣化の約9割の原因となっているデータもあり、取り締まりは厳格化されています。

② トンネルやガード下の「高さ制限」

古いトンネルや、鉄道の高架下などで見られます。

  • 標識の見た目: 丸い標識や、ゲート上の表示で「3.3m」「制限高2.4m」などと書かれたもの
  • 意味: 物理的に天井が低いため、それ以上の高さの車は物理的に通れません

「国道だから大丈夫だろう」という思い込みが事故を招きます。 高さ3.8mの一般的なトラックが進入すると、天井に衝突するか、入口で立ち往生します。

2025年6月から罰則が大幅強化――懲役刑のリスク

これまで、標識違反は「通行区分違反」として比較的軽い処分でしたが、道路インフラの老朽化に伴い、国は罰則を大幅に強化しました。

新設された重い罰則

令和7年(2025年)6月以降、以下の罰則が適用されます:

  • 罰則内容: 6ヶ月以下の拘禁刑 または 30万円以下の罰金
  • 対象:
    • 標識の制限値(重量・高さ)を超える車両を、無許可で通行させた場合
    • 許可は持っているが、許可条件(徐行や誘導車の配置など)を守らずに通行させた場合

単なる「罰金(お金)」だけでなく、「拘禁刑(刑務所)」のリスクがある極めて重い処分です。これは、重量超過車両による橋梁破壊が「人命に関わる危険行為」とみなされるようになったためです。

どうすれば通れるのか?実務的な対策

標識で「14t」と書かれている橋を、20tのトラックで渡ることはできるのでしょうか?

原則:迂回するしかない

基本的には、その道路は「あなたの車が通れる能力を持っていない」ため、別のルートへ迂回しなければなりません。無理に通れば法令違反かつ事故のリスクがあります。

特例:特殊車両通行許可(特車申請)を行う

どうしてもその場所を通らなければならない場合(現場が橋の向こうにある等)は、「特殊車両通行許可」を申請し、道路管理者の個別審査を受ける必要があります。

審査の結果は以下のいずれかです:

  • 許可が下りる場合: 道路管理者が「徐行や誘導車配置などの条件付きなら耐えられる」と判断した場合。ただし、許可証には必ず「C条件(誘導車配置)」や「D条件(徐行・連行禁止)」などの厳しい条件が付されます。
  • 不許可の場合: 「物理的に無理」と判断された場合。この場合は諦めて迂回するしかありません。
迂回ルート
(原則)
14t制限の橋
特車申請
(特例)
C条件・D条件付き許可
または不許可

カーナビ過信は禁物―ラストワンマイルに注意

「新規格車だから高速道路はフリーパス」という知識は正しいですが、高速道路を降りた先の一般道(ラストワンマイル)には、このような「個別制限」が数多く潜んでいます。

運送会社が今すぐやるべきこと

  • 一般的制限値(20t/25t)以下でも、現場の標識(14t等)が絶対優先されることをドライバーに周知する
  • 事前に「道路情報便覧」や地図でルートを確認し、制限がある箇所は迂回するか、特車申請を行う
  • ドライバーには「法定速度や一時停止だけでなく、橋の手前の『t(トン)』標識も必ず確認する」よう指導する

この見落としが、会社の存続に関わる重大事故を防ぎます。