特車申請における「差戻し」は、申請者にとって避けたい事態ですが、正しい手順を知っていれば対応できるプロセスです。
実務では、役所からの電話連絡がないため、メールを見逃して放置してしまうケースや、修正方法がわからず新規申請で作り直してしまい、手数料や審査時間を無駄にするケースが多く発生しています。
本記事では、特車オンラインシステムのマニュアルに基づき、差戻し理由の確認方法から、最短での修正・再提出手順まで、実務担当者向けに解説します。
差戻しの通知は「メールのみ」|電話連絡はありません
申請に不備があった場合、役所(国道事務所や自治体)から電話連絡はありません。すべてメール通知、またはシステム上のステータス更新のみで知らされます。
理由を確認する手順
1. 「審査終了のお知らせ」メールを受信
登録したメールアドレスに通知が届きます。具体的な不備内容はメール本文には記載されていないため、システムへのログインが必要です。
2. 「到達番号状況照会」へアクセス
オンライン申請システムにログインし、「到達番号状況照会」または「状況照会」をクリックします。
3. 「申請状況詳細画面」を開く
ステータスが「審査終了/差し戻し」になっている案件の「詳細」ボタンを押します。
4. 「通知記事」または「差戻し理由」を読む
画面下部の「通知記事」欄、あるいは別ウィンドウで開く「差戻し理由」画面に、担当官からのメッセージが記載されています。
- 例:「車両内訳書の整理番号1の軸重が車検証と不一致です」
- 例:「添付書類(経路図)が不足しています」
理由が「添付ファイル」としてPDFで添付されている場合もあります。画面上の「ダウンロード」ボタンを見落とさないよう注意してください。
新規申請で作り直してはいけません|正しい修正・再提出の手順
ここが重要なポイントです。多くの方が、手元のパソコンに残っている保存データを修正して、新規申請としてもう一度送信してしまいます。しかし、この方法だと訂正として扱われず、審査の順番が最後尾になったり、場合によっては手数料が二重にかかるリスクがあります。
システムが想定している修正・再提出の手順は以下の通りです。
「到達確認シート」を使った復旧操作
不備で戻ってきたデータ(サーバー上のデータ)をパソコンに引き戻して修正するために、以下の操作が必要です。
1. 「到達確認シート」をダウンロード
先ほどの「申請状況詳細画面」の一番下にある「到達確認シート」(または添付ファイル欄にある .lzh や .bin 形式の圧縮ファイル)をダウンロードし、デスクトップなどに保存します。
このファイルが、前回送信した「申請データそのもの」です。
2. 申請作成メニューで「読み込み」
オンライン申請システム(またはオフライン作成システム)のトップメニューから「申請データ作成」に進み、「読み込み」ボタンを押します。そこで、先ほど保存した「到達確認シート(.lzhファイル等)」を選択します。
3. データの復元・修正
前回送信した内容(車両情報、経路情報、添付ファイルなど)がすべて画面上に復元されます。指摘された箇所(例:車両の数値、経路の接続など)だけを修正します。
4. 再送信
修正が完了したら、通常通り送信します。
システム上は「新たな到達番号」が採番され、形式上は新しい申請として扱われますが、実務上は差戻し対応として処理が進みます。

よくある差戻し理由4パターンと対策
特車申請における差戻しの原因は、以下の4パターンに分類されます。これらを事前にチェックすることで、差戻しの発生率を大幅に減らすことができます。
① 車両情報の入力ミス
車検証の記載内容と、申請データの数値が1mm、1kgでもズレていると機械的に弾かれます。
よくあるミス:
- 型式・車台番号の誤入力: 「0(ゼロ)」と「O(オー)」、「1(イチ)」と「I(アイ)」の入力間違い
- 長さの勘違い(トレーラ): トラクタの長さを入力すべき欄に、連結全長を入れている、またはその逆
- 最大積載量の超過: 車検証の「最大積載量」よりも大きな数字を「積載貨物重量」に入力している(法違反になります)
対策:
申請前にシステム内の「車検証情報との照合」ボタンを押してください。入力ミスがあれば自動で警告が出ます。
② 経路の不連続・未接続
出発地から目的地までのルートが、地図上で線として繋がっていない状態です。
よくあるミス:
- 交差点の接続ミス: 道路情報便覧(地図データ)の更新により、以前使えていた交差点番号が変わってしまい、線が切れている
- 片道しか申請していない: 中央分離帯があり右折できない場所で、往復同一経路として申請している
対策:
申請データ作成後に「簡易算定」を行い、結果に「不連続」や「通行不可」のエラーが出ていないか確認してください。
③ 添付書類の不足・期限切れ
よくあるミス:
- 車検切れ: 申請時点で車検が切れている車両が含まれている場合、新しい車検証の写し(PDF)の添付が必要です
- 未収録道路の地図なし: 国のデジタル地図に載っていない道(未収録道路)を通る場合、その場所を示した地図や詳細図の添付が求められます
対策:
申請前に車検証の有効期限を確認し、未収録道路を通る場合は事前に地図を準備してください。
④ 申請区分の選択ミス
よくあるミス:
- 「更新」なのに期間切れ: 許可期限が過ぎてから「更新申請」として出している(期限が切れたら「新規申請」しかできません)
- 「変更」の内容不一致: 「変更申請」を選んでいるのに、車両の台数や諸元など、変更申請では扱えない項目を変えている
対策:
申請区分の選択ルールを事前に確認し、期限管理を徹底してください。

特車申請システムの動作環境に注意
特車オンライン申請システムは、Windowsのみ対応です。Mac、スマートフォン、タブレットでは動作しません。申請作業を行う際は、Windows 10または11のパソコンを使用してください。

差戻しへの対応は「早期発見・早期修正」が重要
特車申請における差戻しは、放置すればするほど許可日が遅れ、業務への影響が大きくなります。以下の点をチーム内で共有してください。
- メールを見逃さない: 申請後は「審査終了メール」を毎日チェックする
- 修正は「到達確認シート」から: 新規申請で作り直さず、.lzhファイルを読み込んで修正する
- 出す前に「照合」ボタン: 車両入力ミスはシステム機能で事前に防ぐ
差戻しは、許可を出すための修正指示でもあります。指摘通りに直せば許可は下りますので、上記の手順で速やかに対応しましょう。



