主任技術者・監理技術者の配置基準|現場専任の金額と専任特例

主任技術者・監理技術者の配置基準と、4,500万円以上、建築一式9,000万円以上で原則として現場専任が必要なことを示したアイキャッチ画像

請け負った工事に主任技術者と監理技術者のどちらを置くか、その人を現場に専任で張りつけるかは、元請・下請の立場や工事の種類とあわせて、最後は金額で切り分けます。やっかいなのは判断に使う金額が一つではなく、そのいくつかが2025年2月1日に引き上げられた点です。

監理技術者を置く基準、現場専任が必要になる基準、資格要件に関わる基準は、近い数字でも別の意味を持ちます。取り違えて配置を誤ると監督処分の対象になり、現場を止められることもあります。

目次

配置技術者とは|主任技術者と監理技術者の2種類

配置技術者は、工事現場の施工を技術面から管理する責任者です。施工計画の作成、工程管理、品質管理、現場での技術的な指導を担います。建設業の許可業者は、元請か下請かを問わず、請け負った工事現場ごとに配置技術者を置きます。

配置技術者には主任技術者と監理技術者の2種類があり、どちらを置くかは下請契約の規模で分かれます。元請として下請に出す金額が大きい現場では監理技術者、それ以外では主任技術者。具体的な金額は後の節と早わかり表で整理します。

配置できるのは、原則として、その会社と直接的かつ恒常的な雇用関係にある人です。在籍出向者や派遣社員、現場のために一時的に雇った人では、通常この要件を満たしません。企業集団内の在籍出向者を認める例外もありますが、使える場面は限られます。現場ごとに人を借りて名前だけ載せるやり方は認められません。

営業所技術者(旧:専任技術者)との違い

配置技術者と混同しやすいのが、営業所技術者(旧:専任技術者・専技)です。営業所技術者は許可を受けた営業所に常勤で置く技術者で、見積りや請負契約の締結を技術面から支えます。配置技術者は現場側、営業所技術者は営業所側、という置き場所の違いです。

従来は、営業所に専任で置く営業所技術者が、専任を要する現場の主任技術者・監理技術者を兼ねることは認められませんでした。この兼務が一定の要件で認められたのが、2024年12月13日施行の改正です。詳しくは専任特例の節で扱います。

主任技術者を配置する工事

主任技術者は、原則として、許可業者が施工するすべての工事現場に置きます。元請でも下請でも、請負金額の大小にかかわらず配置します。下請として現場に入る場合も、その範囲の施工について主任技術者を置きます。

資格要件は、一般建設業の営業所技術者(旧:専任技術者)とおおむね同じで、次の3つのルートのいずれかで満たします。

  • 業種ごとに指定された国家資格を持っている
  • 指定学科を卒業し、一定年数の実務経験がある(高卒5年、大卒・高専卒3年)
  • その業種で10年以上の実務経験がある

主任技術者には、監理技術者と違って資格者証や講習修了は求められません。ただし現場専任が必要な金額帯で専任に置く点は、監理技術者と同じです。

監理技術者を配置する工事

監理技術者は、元請として1件の工事で下請に出す合計額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる現場に置きます。この金額帯では、主任技術者に代えて監理技術者を配置します。

5,000万円(建築一式8,000万円)は2025年2月1日改正後の金額です。改正前は4,500万円(建築一式7,000万円)でした。

この基準は、特定建設業の許可が必要になる下請金額と同じ数字です。民間工事なら、施工体制台帳・施工体系図を作る義務が生じる金額も同じく5,000万円(建築一式8,000万円)。下請に5,000万円以上を出す現場では、特定建設業の許可、監理技術者の配置、施工体制台帳の整備、この3つがセットで動きます。

公共工事は事情が違います。下請契約を結ぶなら、金額がいくらでも施工体制台帳等を作成します。5,000万円という線引きは、公共工事には当てはまりません。

監理技術者資格者証と監理技術者講習

監理技術者には、主任技術者にはない手続きが加わります。専任で置く監理技術者は、監理技術者資格者証の交付を受け、過去5年以内に監理技術者講習を受講している必要があります。発注者から求められたら資格者証を提示します。

講習は過去5年以内の受講が要件で、期限が切れたまま放置すると、専任の監理技術者として現場に立てなくなります。資格者証と講習の受講をセットで管理するのが実務上の基本です。

監理技術者の資格要件

監理技術者の資格要件は、特定建設業の特定営業所技術者とおおむね同じです。原則として1級の国家資格者か、指導監督的実務経験を持つ人。指導監督的実務経験とは、元請として4,500万円以上の工事に関する2年以上の指導監督的な経験を指します。

注意したいのは、土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種は指定建設業に当たる点です。指定建設業の監理技術者は1級の国家資格者か国土交通大臣の特別認定を受けた人に限られ、実務経験だけのルートは使えません。管工事業や舗装工事業で大きな元請工事を手がけるなら、1級資格者を用意しておくのが前提になります。

現場専任が必要になる金額(2025年2月改正後)

請負代金が一定額以上の重要な工事では、主任技術者・監理技術者をその現場に専任で置きます。2025年2月1日改正後の基準は請負代金4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)。改正前は4,000万円(建築一式8,000万円)でした。

専任とは、ほかの現場の職務を兼ねず、勤務時間中はその現場の職務だけに従事することです。研修や休暇で短期間離れることは認められますが、複数の現場をかけ持ちするのは原則として認められません。専任が必要な期間は契約工期が基本です。ただし、現場施工への着手前、工事を全面的に中止している期間、工場製作のみを行う期間、完成検査の終了後などは、発注者との書面で期間が明確になっていれば専任を要しない場合があります。

逆に、請負4,500万円未満(建築一式9,000万円未満)の現場の技術者には、専任までは求められません。要件の範囲で複数の現場を見ることもできます。専任の要否は、まずこの金額で切り分けます。

現場専任が求められるのは、公共性のある施設や多数の人が使う施設に関する重要な工事です。個人住宅や長屋を除く建築物の多くが該当し、学校・病院・マンション・商業施設・工場・道路・橋などが含まれます。民間発注のマンション工事でも、請負4,500万円以上(建築一式9,000万円以上)なら専任が必要になり、監理技術者なら資格者証の携帯・提示義務も生じます。

金額基準の早わかり

技術者の配置に関わる金額を、2025年2月1日改正後の数字でまとめます。

基準建築一式以外建築一式工事内容
監理技術者を置く(特定建設業許可・民間工事の施工体制台帳も同額)下請合計5,000万円以上8,000万円以上元請として下請に出す合計額
現場専任が必要請負4,500万円以上9,000万円以上その現場の請負代金
専任特例1号・営業所兼務の上限1億円未満2億円未満これ以上は1号・営業所兼務を使えない(専任特例2号は金額の上限なし)。特例の中身は次の節で説明します
指導監督的実務経験(監理技術者の資格要件側)元請4,500万円以上同左2年以上の指導監督的経験

※公共工事で下請契約を結ぶ場合は、下請金額にかかわらず施工体制台帳等を作成します。

取り違えやすいのは、現場専任の基準と指導監督的実務経験の基準が、どちらも4,500万円という同じ数字に見える点です。前者はその現場の請負代金、後者は監理技術者の資格を判断する元請工事の経験額で、由来も使う場面も違います。同じ4,500万円でも、ひとまとめにしないでください。

現場技術者の専任を緩める特例(2024年12月13日改正)

技術者の不足とICTの普及を受けて、2024年12月13日施行の改正で、専任が必要な現場でも一定の要件のもとで技術者の兼任・兼務が認められました。現場技術者の専任合理化と呼ばれる仕組みです。

兼任の特例は3つの場面に分かれます。金額の上限は特例ごとに違います。専任特例1号と、後で触れる営業所技術者等の兼務は、各現場の請負代金が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)であることが条件です。工事の途中でこの額以上になると、それ以降はこの2つの特例を使えず、現場ごとに専任の技術者を置き直します。一方、監理技術者補佐を置く専任特例2号には、金額の上限がありません。

専任特例1号(現場と現場の兼任)

専任特例1号は、専任を要する現場どうしを、同一の主任技術者・監理技術者が兼任できる特例です(建設業法第26条第3項第1号)。兼任できるのは2現場まで。主な要件は次のとおりです。

  • 各現場の請負代金が1億円未満(建築一式は2億円未満)であること
  • 自社が注文者となった下請契約から数えて、下請次数が3を超えないこと
  • 現場間を1日で巡回でき、移動時間がおおむね片道2時間以内であること
  • 技術者との連絡を担う連絡員を配置すること(土木一式・建築一式は、その工事の実務経験1年以上の者)
  • 施工状況を遠隔で確認できるICT環境を整えること

このほか、人員配置の計画書を作成して現場に備え置くことなどの細目があります。工事の途中で下請次数が3を超えた場合も、それ以降は兼任できません。専任特例1号は、下請業者が置く主任技術者にも使えます。

専任特例2号(監理技術者補佐を置く兼務)

専任特例2号は、各現場に監理技術者補佐を専任で置くことで、1人の監理技術者(特例監理技術者)が2現場を兼務できる特例です(建設業法第26条第3項第2号)。監理技術者補佐は、1級の技士補などの資格を持つ人。専任特例1号と違い、こちらに請負金額の上限はありません。2020年10月に導入された特例監理技術者の制度が、改正後の条文整理でこの位置づけになりました。

専任特例1号を使う現場と専任特例2号を使う現場を、同じ技術者がまたいで兼ねることはできません。

営業所技術者等の兼務(営業所と現場)

3つ目は、営業所に置く営業所技術者等が、要件を満たす1つの専任現場の主任技術者・監理技術者を兼ねる特例です(建設業法第26条の5)。営業所技術者等は、営業所技術者(旧:専任技術者)と特定営業所技術者をあわせた呼び方です。

要件の並びは専任特例1号に近いものです。その営業所で請負契約を締結した工事であること。各現場の請負代金が1億円未満(建築一式2億円未満)であること。営業所と現場を1日で巡回でき、移動時間がおおむね片道2時間以内であること。これに連絡員の配置とICT環境が加わります。本店や別の支店が契約した現場に、その営業所の技術者を出すことはできません。

専任特例1号が現場どうしの兼任なのに対し、こちらは営業所と現場の兼務である点が違います。兼ねられる現場は1つまでで、これを足がかりにさらに別の現場を持つことはできません。

これらの特例は、技術者が足りない事業者にとって使い道があります。一方で、要件を満たさないまま兼任させると専任義務違反になります。要件は細かいので、使う前に許可行政庁に確認してください。

配置義務に違反したらどうなるか

配置技術者を置かない、専任が必要な現場で兼任させる、資格を満たさない人を技術者として届け出る。こうした違反は、建設業法上の監督処分の対象になります。許可業者には指示処分や営業停止、重い場合は許可の取消しがあります。現場を止められたり、入札参加に影響したりすることもあります。

監督処分は許可業者に対する行政上の処分で、警察・検察を通じて科される刑事罰とは別の系統です。虚偽の施工体制台帳の作成のように、行為によっては刑事罰の規定も用意されています。建設業法の罰則は、2025年6月1日施行の改正刑法で、従来の懲役・禁錮が拘禁刑(旧:懲役)に一本化されました。罰則を確認するときは拘禁刑の表記で読んでください。

配置の判定でつまずきやすい場面

配置でつまずくのは、たいてい金額の境目です。下請に出す額が5,000万円に届きそうで監理技術者を置くべきか迷う、現場の請負が4,500万円前後で専任が要るか判断できない、技術者が足りないのに専任現場が重なる。こうした場面では、特定建設業の許可取得や専任特例を使えるかの判断まで一度に絡みます。

判定を誤ったまま現場を動かすと、監督処分につながりかねません。自社だけで切り分けるのが難しいと感じたら、配置の整理から相談しておくのが安全です。


よくある質問

主任技術者と監理技術者は、何が違うのですか?

配置する工事の規模が違います。許可業者は原則としてすべての現場に主任技術者を置きますが、元請として下請に出す合計が5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)の現場では、主任技術者に代えて監理技術者を置きます。さらに監理技術者を専任で配置する場合は、資格者証の交付と、過去5年以内の監理技術者講習の受講も必要です。

現場専任が必要なのはいくらからですか?

請負代金4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)の重要な工事からです。2025年2月1日改正で、それまでの4,000万円(建築一式8,000万円)から引き上げられました。

1人の技術者が複数の現場を持つことはできますか?

2024年12月13日改正の専任特例で、要件を満たせば最大2つの現場を兼任できます。専任特例1号は、各現場の請負代金が1億円未満(建築一式2億円未満)で、現場間の距離・連絡員・ICT環境・下請次数などの要件をすべて満たすことが条件。各現場に監理技術者補佐を専任で置く専任特例2号には、金額の上限はありません。要件を欠くと専任義務違反になります。

営業所の技術者を現場の技術者として使えますか?

従来は、専任が必要な現場では認められませんでした。2024年12月13日改正で、要件を満たせば営業所技術者等が1つの専任現場の技術者を兼ねられるようになりました。対象は、その営業所で請負契約を締結した工事で、各現場の請負代金が1億円未満(建築一式2億円未満)、営業所と現場の距離が片道おおむね2時間以内といった条件つき。兼ねられるのは1現場までです。

監理技術者資格者証だけ持っていれば、専任の監理技術者になれますか?

いいえ、資格者証だけでは足りません。あわせて監理技術者講習を過去5年以内に受講している必要があります。期限が切れると専任の監理技術者として現場に立てません。

まとめ

建設業の許可業者は、原則として各現場に主任技術者を置きます。元請として下請に出す金額が5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上になる場合は、監理技術者が必要です。

現場専任の基準は、請負代金4,500万円以上。建築一式工事は9,000万円以上です。ただし、2024年12月の改正で、一定の条件を満たせば2現場までの兼任や、営業所技術者等と1現場の兼務が認められるようになりました。

監理技術者の配置、現場専任、指導監督的実務経験は、それぞれ別の基準です。数字が近くても、判断する場面は異なります。公共工事で下請契約を結ぶ場合は、金額にかかわらず施工体制台帳等の作成が必要です。配置義務に違反すると、指示処分や営業停止などの対象になります。

お困りの際は当事務所へ

技術者の配置は、主任技術者と監理技術者の置き分け、現場専任の要否、専任特例を使えるかどうかと、金額の判定が何重にも重なります。2025年2月改正後の数字で組み直す必要がある事業者も多いところです。

当事務所では、葛飾区を拠点に東京都全域(および周辺地域)の建設業許可申請を専門的にサポートいたします。

新規申請 9.9万円〜(税込)/まずはお気軽にご相談ください

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次