建設業許可と社会保険|法人・個人事業主の加入義務と適用除外

建設業許可に社会保険が必要かを示す健康保険等の加入状況書類

建設業許可では、健康保険・厚生年金保険・雇用保険への適切な加入が要件です。

ただし、すべての事業者に加入義務があるわけではありません。

法人は役員1人だけの会社でも、原則として健康保険・厚生年金保険への加入が求められます。一方で、建設業を営む個人事業所は、常時使用する従業員が5人未満であれば、原則として強制加入の対象から外れます。

大切なのは、単に「加入しているか」ではなく、自社が加入義務のある事業所なのか、それとも制度上の適用除外に当たるのかを整理することです。

この記事では、法人と個人事業主の違い、適用除外と未加入の区別、建設国保の扱い、建設業許可申請で用意する資料について解説します。

目次

建設業許可で求められる社会保険

建設業許可で加入状況を確認されるのは、次の3つです。

・健康保険 ・厚生年金保険 ・雇用保険

加入義務があるにもかかわらず未加入であれば、原則として建設業許可の新規申請や更新はできません。

一方で、制度上の加入義務がない場合は、適用除外として申請が可能です。

なお、労災保険は建設業許可の加入要件には直接含まれていません。ただし労働者を雇用する場合は、別途、労災保険の手続きが必要です。

法人・個人事業主の加入義務早見表

事業形態健康保険・厚生年金保険雇用保険
法人事業所原則として強制適用対象となる従業員を雇用すれば加入
個人事業所・常時5人以上原則として強制適用対象となる従業員を雇用すれば加入
個人事業所・常時5人未満原則として適用除外対象となる従業員を雇用すれば加入
個人事業主本人のみ国民健康保険・国民年金原則として対象外

健康保険・厚生年金保険と雇用保険では、加入義務の判断基準が異なります。

個人事業所が健康保険・厚生年金保険の適用除外であっても、雇用保険の対象となる従業員を雇っていれば、雇用保険への加入が求められます。

法人は原則として加入が必要

株式会社や合同会社などの法人は、従業員数にかかわらず、原則として健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所に当たります。

役員1人だけの会社でも、役員報酬を受けている代表者は、原則として被保険者です。

そのため、

・従業員がいない ・役員しかいない ・代表者が国民健康保険と国民年金に加入している

といった事情だけでは、加入義務はなくなりません。

加入義務があるのに未加入であれば、建設業許可の申請前に加入手続きを済ませておきましょう。

個人事業所は従業員5人が基準

建設業を営む個人事業所では、常時使用する従業員が5人以上いるかどうかが、健康保険・厚生年金保険の主な基準となります。

常時5人以上の場合

常時5人以上の従業員を使用する事業所は、原則として健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所に当たります。

ただし、単純に在籍者名簿の人数だけで決まるわけではありません。短時間勤務者などは、勤務日数・労働時間・雇用期間などから加入対象になるかを判断します。

なお、個人事業主本人は、原則として健康保険・厚生年金保険の被保険者にはなりません。本人は国民健康保険と国民年金へ加入する扱いです。

常時5人未満の場合

常時使用する従業員が5人未満の個人事業所は、原則として健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所ではありません。

たとえば、従業員3人で建設業を営む個人事業主は、健康保険・厚生年金保険については原則として適用除外です。加入していなくても、それだけを理由に建設業許可を受けられないわけではありません。

ただし、雇用保険は別の話です。適用要件を満たす従業員を雇っていれば、従業員が5人未満でも加入が必要になります。

適用除外と未加入は違う

建設業許可では、「適用除外」と「未加入」を区別しておく必要があります。

適用除外

用除外とは、制度上、社会保険への加入義務がない状態です。

健康保険・厚生年金保険では、常時使用する従業員が5人未満の個人事業所などが代表例です。この場合、加入していなくても、社会保険の加入要件を理由に建設業許可を受けられないわけではありません。

ただし、適用関係は保険ごとに判断します。健康保険・厚生年金保険が適用除外でも、雇用保険の対象となる従業員を雇っていれば、雇用保険への加入が必要です。

未加入

本来は加入義務があるにもかかわらず、必要な手続きをしていない状態を指します。

たとえば、次のようなケースが該当します。

・法人事業所が健康保険・厚生年金保険に加入していない
・常時5人以上の従業員を使用する建設業の個人事業所が未加入である
・雇用保険の対象者を雇っているのに加入していない

状態建設業許可における扱い
制度上の適用除外申請可能
加入義務があるのに未加入許可要件を満たさない

適切な社会保険への加入は、建設業許可の要件です。加入義務があるのに未加入のままでは、原則として新規許可や更新許可を受けられません。

適用除外に該当する場合は、単に「未加入」と扱うのではなく、事業形態、従業員数、雇用状況などから、加入義務がないことを明らかにします。

建設国保に加入している場合

建設業者のなかには、協会けんぽではなく建設国保へ加入している事業者もいます。

ただし、建設国保へ入っていれば、法人の健康保険に関する手続きがすべて不要になるわけではありません。

法人や、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所が建設国保を継続する場合は、健康保険被保険者適用除外承認を受けたうえで、厚生年金保険へ加入する取扱いです。

この場合の主な組み合わせは次のとおりです。

・建設国保 ・厚生年金保険 ・健康保険被保険者適用除外承認

建設業許可申請では、建設国保の加入資料だけでなく、必要に応じて適用除外承認を受けていることも示します。

建設業許可申請で用意する資料

建設業許可申請では、健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、加入状況または適用除外を示す資料をそろえます。

代表的な資料は次のとおりです。

健康保険・厚生年金保険

・保険料納入告知額・領収済額通知書
・社会保険料納入証明書または納入確認書
・健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書
・健康保険・厚生年金保険新規適用届の控え
・建設国保などの加入証明書
・健康保険被保険者適用除外承認に関する資料

加入直後で保険料の納付実績がない場合は、資格取得確認および標準報酬決定通知書や、新規適用届の控えなどで加入状況を示します。

建設国保などの国民健康保険組合に加入している場合は、国保の加入資料だけでなく、健康保険の適用除外承認や厚生年金保険の加入状況も確認します。

雇用保険

・労働保険概算・確定保険料申告書
・労働保険料の領収済通知書
・労働保険料等納入通知書
・雇用保険適用事業所設置届の控え

原則として、労働保険番号と保険料の納付状況を確認できる資料を組み合わせて提出します。加入直後で納付実績がない場合は、適用事業所設置届の控えなどを使用します。

必要書類は、加入先、納付方法、加入時期などによって異なります。東京都知事許可を申請する場合は、申請時点で公開されている最新の手引を確認して用意しましょう。

よくある質問

従業員がいない個人事業主でも許可を取れますか?

個人事業主本人だけで営業している場合は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険について原則として適用除外の扱いです。

本人が国民健康保険と国民年金へ加入していれば、社会保険に加入していないことだけを理由に許可を受けられないわけではありません。

従業員3人の個人事業主は加入が必要ですか?

健康保険・厚生年金保険については、原則として強制加入の対象ではありません。

ただし、雇用保険の適用要件を満たす従業員を雇っていれば、雇用保険への加入が求められます。

社長1人だけの法人でも加入が必要ですか?

法人は従業員数にかかわらず、原則として健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所に当たります。

役員報酬を受ける代表者1人だけの法人でも、原則として加入が必要です。

建設国保だけで許可要件を満たせますか?

法人や強制適用となる個人事業所では、建設国保だけで足りるとは限りません。

厚生年金保険への加入や、健康保険被保険者適用除外承認が必要になる場合もあります。

社会保険へ加入したばかりで、まだ領収書がありません。申請できますか?

加入手続きが済んでいれば、申請できる場合があります。

健康保険・厚生年金は新規適用届や資格取得に関する通知書、雇用保険は概算保険料申告書など、加入直後でも使える資料を出します。

まとめ

建設業許可で確認されるのは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況です。適用事業所に該当する場合は、適切に加入していることが許可要件となります。

法人事業所は、従業員数にかかわらず、原則として健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所です。建設業を営む個人事業所は、常時使用する従業員が5人以上なら原則として強制適用、5人未満なら原則として適用除外となります。

雇用保険は別の基準で判断し、加入要件を満たす従業員を雇用している場合に加入が必要です。

建設業許可で重要なのは、加入義務があるのに未加入なのか、制度上の適用除外なのかを正しく区別することです。申請前に自社の適用状況を確認し、必要な資料をそろえておきましょう。

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