中古スマホ販売に古物商許可は必要?1万円未満・本人確認・IMEIを解説

中古のiPhoneやAndroidスマートフォンを仕入れて継続的に売るなら、原則として古物商許可が必要です。実店舗のないネット販売や、副業で数台を転売する規模の取引も対象に入ります。

一方、機種変更で手放す自分のスマホは私物の処分なので、許可は不要です。

許可を取ったあとの買取では、売主の本人確認とあわせて端末の点検も行います。IMEIの照合やアクティベーションロックの解除状況など、スマホならではのチェックがここに加わります。

目次

中古スマホの仕入れ販売には許可が必要

許可が必要かどうかは、販売台数や事業の規模では決まりません。判断の基準は、利益を得る目的で中古端末を仕入れて売っているかどうかです。

取引の例古物商許可理由
自分で使っていたスマホを機種変更で売る原則不要私物の処分で、転売目的の仕入れではないため
一般の個人から中古スマホを買い取って売る必要古物を買い受けて売る、古物営業の典型的な形のため
中古販売店やオークションから仕入れて売る必要利益目的で中古端末を仕入れ、転売するため
仕入れたスマホを修理・バッテリー交換して売る必要手を入れても、仕入れた端末は古物のままのため
他人の端末を預かって売り、手数料を得る必要委託を受けて古物を売る取引も、古物営業にあたるため

仕入れ先の大手リユース店や中古スマホ専門店が持つ許可は、その店の営業のためのものです。仕入れて売る自分は独立した事業者として、自分の許可を取ることになります。

画面割れやバッテリーの劣化した端末を直して、整備済み品(リファービッシュ品)として売る場合も同じです。見た目や性能を元に戻しても、法律上は仕入れた古物のままです。

未開封のiPhoneは仕入れ先で決まる

一般の消費者が使うために買った端末は、封を開けていなくても古物にあたります。小売店から消費者の手に一度渡った時点で、使ったかどうかは関係なくなるためです。

メーカーや一次流通から新品として仕入れる場合は、古物の仕入れとは扱いが分かれます。

買取は1万円以上で本人確認と記録が必要

1回の買取で払う代金の合計が1万円以上(消費税を除く)になるときは、売主の本人確認と古物台帳への記録が必要です。

本人確認で把握するのは、売主の住所・氏名・職業・年齢の4点です。法人から買い取るときは、窓口で取引している担当者本人が本人確認の相手になります。

1万円の基準は、端末1台ごとの単価ではありません。1回の取引で買い受ける端末の代金を、すべて合計した額で判断します。

  • 8,000円の端末を1台買い取る:合計が1万円未満のため、本人確認も記録も省略できます
  • 6,000円の端末を2台、まとめて12,000円で買い取る:合計が1万円を超えるため、本人確認と記録が必要です
  • 複数台をちょうど10,000円で買い取る:10,000円は「1万円未満」に入らないため、本人確認と記録が必要です

バイクやゲームソフト、書籍などは金額にかかわらず本人確認が必要ですが、スマホ本体はこの中に入っていません。1万円未満の買取であれば、本人確認も記録も不要です。それでも盗品対策として、金額に関係なく本人確認を行う店舗もあります。法律が求める最低限の手続きと、店ごとの防犯ルールは分けて考えましょう。

お客様に売るときに売却の記録が必要になるのは、美術品類、時計・宝飾品類、自動車、バイクなどです。スマホはこれに含まれません。

ネット仕入れの本人確認

メルカリやYahoo!フリマ、ネットオークションで一般の個人から仕入れるときも、売主の本人確認が必要です。郵送やネットだけで完結する非対面取引では、本人確認の方法が法令で細かく決まっています。

出品者のアカウントに付く「本人確認済み」のバッジは、フリマアプリの運営会社が行った手続きの表示です。古物商が自分で行う本人確認の代わりにはなりません。取引メッセージで免許証の写真を受け取るだけの方法も、法令の定める方法から外れます。

法令が認める方法はいくつかあり、たとえば次のようなものです。

  • 電子署名を使う方法
  • 書類の写しと転送不要の書留を組み合わせる方法
  • 専用ソフトで売主の顔と書類の画像を受け取る方法

匿名配送が基本のフリマでは、相手の住所や氏名が分からず、定められた方法をとれない取引も出てきます。そうした相手からの仕入れは避けてください。

代金が1万円未満の非対面取引では、売主が18歳未満でないことをメールやメッセージで聞き取っておきましょう。

端末の点検は本人確認と別に行う

買取で特定する対象は、「誰から買ったか」という売主と、「どの端末を買ったか」という品物の2つです。

項目目的具体的な内容
売主の本人確認誰から買い取ったかを示す免許証などの書類に書かれた住所・氏名・職業・年齢
IMEIの照合取引した端末を特定する設定画面、SIMトレイ、本体の刻印、製造シールの番号が一致するか
ネットワーク利用制限通信が止められていないかを知る各キャリアの判定サイトでの制限の有無
アクティベーションロック前の持ち主のアカウントとの紐づきを知る初期化後も前の持ち主のApple Accountが残っていないか
初期化・データ消去個人情報の流出を防ぐ端末内のデータが消えているか

スマホ買取の流れ

1

買取の申込み

店頭・宅配買取・フリマやネットオークションでの仕入れ

2

売主と端末をそれぞれ特定する

誰から買うか 売主の本人確認 古物営業法で決まった手続き
  • 住所・氏名・職業・年齢を書類で把握
  • 非対面は法令で定める方法で行う
  • 代金の合計が1万円以上なら省略不可
どの端末を買うか 端末の点検 販売後のトラブルを防ぐ
  • IMEIの照合(設定画面・SIMトレイ・刻印)
  • ネットワーク利用制限の判定
  • アクティベーションロック・Googleアカウントの解除
  • 初期化・データ消去

片方を済ませても、もう片方は省けません

3

不正品の疑いがないか判断する

疑いがある 直ちに警察官へ申告 買取金額が1万円未満の取引も同じ
疑いがない 買い取って古物台帳に記録 1万円以上の取引が対象。IMEIを特徴の欄に書き、3年間保存

本人確認は古物営業法が求める手続きです。端末の点検は、売れる状態に整え、取引後のトラブルを防ぐために行います。片方を済ませても、もう片方を省くことはできません。

IMEIは本体の番号と照合する

台帳に書く端末の特徴としてIMEI(端末ごとに付いた15桁の識別番号)を残しておけば、警察から照会があったときに該当の端末をすぐ探せます。メーカー名、機種名、容量、色も一緒に書いておくと、同じ機種が何台あっても取り違えを防げます。

外箱の番号だけで済ませず、本体の設定画面やSIMトレイ、刻印、製造シールの番号と見比べてください。

ネットワーク利用制限を判定サイトで調べる

ネットワーク利用制限(通信事業者が端末の通信を止める措置)がかかっているかどうかは、各キャリアの判定サイトで分かります。制限がかかる理由は、紛失・盗難や端末代金の未払いなどです。

「制限なし」という結果から、盗品でないことや売主が正当な所有者であることまでは判断できません。この先も制限がかからない保証はないため、判定結果は本人確認とは別の、端末の状態を知る手がかりとして扱いましょう。

初期化とApple Accountの解除は区別する

端末の初期化と、前の持ち主のアカウントからの解除は別の操作です。iPhoneのアクティベーションロックは、前の持ち主のApple Accountと端末を結びつける盗難対策の機能です。ロックが残ったままだと、新しい持ち主は初期設定を進められません。

Androidにも、初期化後の設定で前の持ち主のGoogleアカウントの入力を求める仕組みが備わっています。買取ではデータの消去だけで終わらせず、前の持ち主のアカウントから端末が外れているかまで点検してください。

不正品の疑いがあるときは警察官へ申告する

端末の状態や売主の説明から不正品の疑いがあるときは、直ちに警察官へ申告してください。不正品は盗品よりも範囲が広く、犯罪によって手に入れた品物全般を指します。この申告は、買取金額が1万円未満の取引にも求められます

仕入れ先選びと許可申請でお困りなら

中古スマホの仕入れと販売を始めると決める時点で、仕入れ先の手配と許可申請の書類の準備を並行して始めることになります。自分の売り方が許可の対象になるかや、扱う品目をどう申請するかも含めて、当事務所へご相談ください。

開業前に決めておくこと

買取と販売のやり方は、申請の前に決めておきましょう。店頭での対面買取を中心にするか、宅配買取の仕組みをつくるかで、本人確認の流れが変わります。宅配買取なら、申込の手順の中に、法令の定める方法での本人確認を組み込むことになります。

取扱品目

13ある品目のうち、スマートフォンや携帯電話は「機械工具類」に入ります。パソコンなども一緒に扱うなら、「事務機器類」も品目に加えておきましょう。

ホームページとURLの届出

自社のホームページで取引するなら、URLの届出が申請書の記載事項に含まれます。許可を受けたあとでサイトを始めるなら、変更の届出を出すことになります。サイトには、氏名、公安委員会の名称、12桁の許可証番号を、扱う品物の情報とあわせて表示してください。

モールやフリマアプリには、ショップページのように同じURLを使い続けられるものと、出品のたびにURLが変わるものがあります。どのURLを届け出ればよいか迷ったら、申請の前に警察署へ問い合わせておきましょう。

審査期間と営業開始の時期

東京都の標準処理期間は40日で、行政庁の休日は日数に含みません。土日祝日を加えると、申請から許可まで実際には2か月ほどかかります。書類をそろえる期間は、その前に見込んでおいてください。

警察署に申請書を出した段階では、まだ古物商として営業できません。買取や仕入れを始めるのは、許可を受けてからです。

申請の流れと必要書類は、古物商許可を自分で申請する手順にまとめています。

よくある質問

許可を取る前に売ってしまった分は、どうなりますか?

許可を取っても、それ以前の無許可営業が後から適法になることはありません。無許可営業には、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。

まずは取引を止め、許可を受けてから再開してください。過去の取引の扱いは個別の事情によって異なるため、警察署に相談しましょう。

スマホ修理店が、修理のために端末を預かるだけでも許可は必要ですか?

修理を引き受けて代金を受け取るだけなら、古物の売買にはあたらず、許可は不要です。

一方、修理代の代わりに端末を引き取る、直せない端末を買い取って部品取りに回すといった取引は、古物の買受けになります。修理と買取の両方を行う店舗は、許可を取っておきましょう。

画面が割れて動かないスマホやジャンク品を仕入れる場合も、許可は必要ですか?

動かない端末も、中古のスマホとして仕入れて売るなら古物です。ジャンク品や部品取り用として売る取引も、許可が必要な範囲に入ります。

買取代金の合計が1万円以上になれば、ジャンク品の買取にも本人確認と台帳への記録が求められます。

買い取ったあとで、端末にネットワーク利用制限がかかったらどうなりますか?

台帳に残した売主の情報をもとに、まず売主へ連絡を取ります。盗難や紛失が疑われる事情があるときは、警察官へ申告してください。

販売後に制限がかかると、購入者とのトラブルにもつながります。制限がかかった場合の返品や返金の条件は、販売時の規約に定めておきましょう。

古物台帳には、端末のどの情報を書けばよいですか?

台帳には、取引した古物の品目や数量とあわせて特徴を書きます。スマホはIMEIで1台ずつ特定できるため、特徴の欄にはIMEIを記載しておきましょう。

台帳は紙のほか、パソコンなどの電子データでも作れます。記録は取引のたびに付け、3年間保存してください。

まとめ

中古スマホを仕入れて継続的に売るなら、原則として古物商許可が必要です。自分のスマホを売るだけなら不要ですが、修理してから売る場合や他人の端末を預かって売る場合は許可の対象になります。未開封の端末も、消費者が使うために買ったものであれば古物です。

買取では、代金の合計が1万円以上になると売主の本人確認と台帳への記録が求められます。ネット仕入れでは、アプリの「本人確認済み」表示や免許証の画像だけでは足りません。端末についても、IMEI、ネットワーク利用制限、アクティベーションロック、データ消去を本人確認とは別に点検しておきましょう。仕入れ方法と販売先を早めに決め、許可の申請と並行して準備を進めてください。

参考資料・公式情報

本記事は、以下の法令・公式情報を参考にしています。

古物商許可の申請でお困りならご相談ください

「自分の売り方に許可が必要なのか」「買取の手順をどう整えればよいのか」と迷った段階で、ご相談ください。判断だけのご相談でも受け付けています。

古物商許可が必要な場合は、品目選びから申請まで、リユース業界で10年以上、買取の実務に携わってきた行政書士がサポートします。

目次