本人確認が必要な取引なら、会社から中古のパソコンやオフィス家具を買い取るときも、相手は実際に取引を担当する人です。担当者本人の住所・氏名・職業・年齢を確かめ、古物台帳にもその人の情報を残します。
会社の登記事項証明書や担当者の名刺を受け取っても、古物営業法の本人確認は済みません。それとは別に、その担当者が会社の備品を売る権限を持っているかも判断します。会社として認めた売却か、リース品や私物が混じっていないかを見分けるためです。
本人確認の相手は現場の担当者
法人との取引でも、本人確認をするのは、その場で売買のやり取りをしている人です。売買の契約相手が会社でも、身元を確かめるのは窓口に立つ人のほうです。
代表取締役が自分で立ち会うなら代表取締役、総務の担当者や店舗の責任者が会社の代わりに対応するならその人が相手になります。代表者がその場にいないのに、代表者の氏名と会社の所在地だけを台帳に書く方法は認められません。
確かめる項目は、担当者個人の住所・氏名・職業・年齢の4つです。住所は会社の所在地ではなく、担当者本人の住所です。職業は会社員や役員など、年齢は生年月日でもかまいません。
会社が相手という理由だけでは、本人確認は省けません。必要かどうかは、取引の総額と品目によって分かれます。
訪問前に担当者と書類を伝える
法人のオフィスや倉庫へ出張して買い取るときは、査定日や搬出日の日程を組む段階で連絡を入れます。当日対応する人と、用意してもらう書類を先方へ伝えておきましょう。
査定だけでなく、その場で品物を受け取るなら、受け取る場所にも気をつけてください。古物商でない相手から品物を受け取れる場所は、原則として自分の営業所か、相手の住所に限られます。会社の住所は本店の所在地とされています。支店や倉庫での受け取りは公式の案内に書かれていないため、日程を組む前に許可を申請した警察署へ相談しましょう。
営業所の外で古物を取引することは「行商」にあたります。古物商本人が出向くなら許可証、従業者が出向くなら行商従業者証の携帯が必要です。許可を申請したときに行商を「しない」にしていたなら、「する」に変えてから14日以内に変更届を出します。あわせて許可証の書き換えも受けましょう。
| 伝える項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 当日の対応者 | 取引を担当する人の氏名と所属部署 |
| 担当者の本人確認書類 | 運転免許証など、今の住所と生年月日が分かる公的な証明書 |
| 売却を任されていることを示す資料 | 委任状、売却依頼書、会社の代表番号への折り返し電話など |
| 品物の持ち主 | 会社の資産であること(リース品・レンタル品・私物は除く) |
| 代金の支払先 | 法人名義の銀行口座、または領収書を交わしたうえでの現金払い |
対面で運転免許証を見せてもらう流れなら、事前の案内は次のような文面になります。
法人名義のお取引でも、法律の決まりにより、当日立ち会うご担当者様の本人確認書類(運転免許証など)を拝見します。あわせて、貴社から売却を任されていることが分かる書面(売却依頼書や委任状など)をご用意ください。
委任状や売却依頼書は、担当者が会社の財産を処分できる立場にあるかを判断するための資料です。法律で求められる担当者本人の本人確認とは、役割が違います。
名刺・社員証だけでは足りない
名刺から分かるのは、勤め先と部署、役職までです。個人の住所や生年月日は書かれていません。
社員証も、ふつうは住所や年齢が載っていないため、それだけでは本人確認になりません。対面なら運転免許証などの公的な書類を見せてもらい、顔写真と目の前の担当者を見比べたうえで住所・氏名・年齢を書き取ります。職業は、申込書に書いてもらうか、その場で聞き取ります。
取引を担当する人が当日になって別の人に代わったら、前の担当者の記録は使えません。新しく取引を担当する人について、あらためて本人確認をしてください。搬出を手伝うだけの社員は、本人確認の相手に含みません。
会社の代表電話にかけ、この担当者に売却を任せているかを会社側に聞く方法もあります。社判の押された売却依頼書とあわせて、売却権限を判断する材料になります。どちらも担当者個人の本人確認の代わりにはならないため、身元は担当者ごとに別に確かめてください。
郵送で買い取るときの手順
法人から宅配便や郵送で買い取るときは、非対面取引(郵送のように顔を合わせない取引)の本人確認の方法をとります。会社の登記事項証明書を取り寄せるだけでは足りません。担当者の運転免許証のコピーや画像をメールで受け取っただけの状態も、本人確認として不十分です。
郵送で法人から買い取るときは、次の4つをそろえる方法があります(警視庁「非対面取引における確認の方法」に掲載)。
- 担当者の住民票の写しを、品物と一緒に送ってもらう
- 会社の登記事項証明書と、担当者がこの取引を任されていると書いた委任状などを送ってもらう
- 担当者の住所・氏名・職業・年齢を、申込書などで知らせてもらう
- 代金は法人名義の口座へ振り込む
ここでいう住民票の写しは、市区町村の窓口やコンビニ交付で発行された証明書です。手元の住民票をコピーした紙は使えません。
この方法をとるなら、代金は法人名義の口座へ振り込みます。担当者個人の口座へ振り込むと、この方法での本人確認は成り立たなくなります。支払先を個人口座へ変えてほしいと頼まれたら、別の方法で本人確認をやり直してください。
法人買取の準備と
法人からの買取を始める前に、担当者の本人確認と売却権限を確かめる手順を決めておきましょう。本店以外の拠点での受け取りや、行商の変更届・許可証の書換えも含めて、当事務所へご相談ください。
古物台帳の書き方
古物台帳への記録が必要な取引では、法人名だけを書いて済ませることはできません。法律で記録が必要な項目として担当者本人の情報を書き、法人の情報は管理用として別の欄に加えます。
| 記録の分類 | 台帳に書く内容 |
|---|---|
| 取引の内容(必須) | 取引の年月日、品目と数量、メーカー・型番・製造番号(シリアルナンバー)などの特徴 |
| 取引の相手=担当者(必須) | 担当者本人の住所、氏名、職業、年齢(生年月日でも可) |
| 本人確認の方法(必須) | 「運転免許証を見せてもらった」など、実際にとった方法 |
| 法人の情報(管理用) | 法人名、本社の所在地、担当者の所属部署、売却依頼書の管理番号 |
| 支払いの記録(管理用) | 買取金額、振込先口座(法人名義口座)、振込の記録 |
担当者は、あとで退職や異動をすることもあります。どの法人のどの部署からの売却だったかをたどれるよう、社内書類の番号と法人の情報を一緒に残しておきましょう。
売却権限が分からないとき
担当者が名刺を持ち、会社のオフィスで対応していても、会社の備品を売る権限があるとは限りません。次のような様子があるときは、担当者が独断で備品を持ち出したり、リース品を無断で売ろうとしたりしている可能性があります。
- 会社の承認書面がないまま、担当者個人の銀行口座への振込を強く求められる
- パソコンや複合機にリース会社・レンタル会社の管理シールが貼られたままで、会社の持ち物だという説明がつかない
- 売却依頼書に書かれた機器の型番や数量と、現場で渡されそうな品物が一致しない
会社としての正式な処分だと分かるまで、品物の搬出や代金の支払いは進めないでください。
取引のいきさつや品物の状態から盗品などの疑いがあるときは、すぐに警察へ知らせてください。これは古物商の義務として法律で決まっています。
よくある質問
- 古物商許可を持つ会社から買い取るときも、担当者の本人確認は必要ですか?
-
必要です。相手が古物商でも、本人確認は省けません。省けるのは、買取額の合計が1万円未満のとき(一部の品目を除く)と、自分が売った品物を同じ相手から買い戻すときだけです。
- 1万円未満の買取なら、担当者の本人確認を省けますか?
-
一部の品目を除いて省けます。1万円かどうかは、一度に持ち込まれた品物の合計額を税抜きで数えてください。金額にかかわらず本人確認と台帳への記録が必要な品目もあります。ゲームソフト、CD・DVDなど、書籍、バイク・原付とその部品、エアコンの室外機と電気温水機器のヒートポンプ、電線、金属製グレーチングなどです。
- 毎月のように郵送で買い取る取引先でも、毎回書類を送ってもらう必要がありますか?
-
2回目以降は書類を省く方法があります。初回にきちんと本人確認をした担当者にIDとパスワードを渡し、次からはホームページでそれを入力してもらいます。申込書にIDを書いてもらうだけでは足りず、担当者が代わったときは初回の手順からやり直しになります。
- 売却依頼書に会社の実印は必要ですか?
-
法律で会社の実印が求められているわけではありません。取引の規模や社内の決裁ルールに合わせて、社判や支店長印のある書面、代表番号への折り返し電話などから選びます。
- リース期間が終わったパソコンを、その会社から買い取ってもよいですか?
-
所有権が会社に移っていることを書面で示せるなら、会社の資産として買い取れます。リース契約の物件は、期間が終わってもリース会社の持ち物として残るのが通常です。書面が出てこないときは、買取を見送ってください。
まとめ
法人から中古品を買い取るときの本人確認では、実際に取引を担当する人の住所・氏名・職業・年齢を確かめます。対面なら運転免許証など、郵送なら非対面取引の方法をとり、古物台帳にも担当者本人の情報を残してください。
あわせて、担当者が会社から売却を任されているかを委任状や売却依頼書で判断します。本店以外の倉庫などで品物を受け取るときは、事前に警察署へ相談しましょう。許可後に必要な手続きの全体は、古物商許可を取った後にやることで解説しています。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。
古物商許可の申請でお困りならご相談ください
「会社から買い取るとき、誰の本人確認をすればよいか」と迷った段階で、ご相談ください。判断だけのご相談でも受け付けています。
古物商許可が必要な場合は、申請書類の作成から警察署への申請まで、リユース業界で10年以上、買取の実務に携わってきた行政書士がサポートします。

