日本の物流業界は今、「2024年問題」によるドライバー不足と燃料費高騰という二重苦に直面しています。この状況を背景に、1名のドライバーで大型トラック2台分の荷物を運べる「ダブル連結トラック」の導入が進んでいます。
全長は最大25.0メートル(新幹線1両分)。2025年3月からは「特殊車両通行確認制度」の対象となり、オンラインで即時に通行可能経路の回答が得られます。従来は申請から許可取得まで20〜26日かかっていた審査期間が、実質ゼロになりました。
本記事では、対象車両の条件・制限値の緩和内容・運転者要件を解説します。
1. ダブル連結トラックとは
ダブル連結トラックとは、1台のトラクターで2台のトレーラーを牽引するフルトレーラ連結車です。通常の大型トラック2台分の荷物を1名のドライバーで運べるため、ドライバー1人あたりの輸送量が2倍になります。
全長は、所定の条件を満たせば最大25.0メートルまで認められています。2019年から段階的に緩和が進められ、現在の上限に至っています。
2025年3月の制度変更:確認制度の対象に
従来の課題:許可取得まで最大26日
従来、ダブル連結トラックを公道で走らせるには特殊車両通行許可(特車許可)の取得が必須でした。申請から許可交付まで平均20〜26日かかるため、車両を購入してもすぐに稼働できないという問題がありました。
2025年3月24日からの変更
令和7年(2025年)3月24日より、ダブル連結トラック(バン型フルトレーラ、21m超〜25m以下)が特殊車両通行確認制度の対象となりました。オンラインシステム上で即時に通行可能経路の回答が得られるため、審査期間は実質ゼロです。
事前相談が不要に
確認制度の利用時・更新申請時は、道路管理者への事前相談が不要です。
経路設定の変更
2025年3月のシステム改修により、物流拠点(ラストマイル)と重要物流道路等の接続点を自由に設定できるようになりました。
3. 対象車両の条件:バン型フルトレーラに限定
対象となる車両は3つの条件をすべて満たす必要があります。
登録:システム上でダブル連結トラックとしての車両登録が必要す。
車種:トラクタおよびトレーラがバン型であること(タンクローリー・コンテナ車は対象外)
全長:21.0mを超え、25.0m以下であること
4. 一般的制限値はどこまで緩和されるのか
重要物流道路などの特定ルートにおいて、一般的制限値は以下のように大幅に引き上げられます。
一般的制限値の引き上げ(重要物流道路)
| 原則 (高速自動車国道・その他) |
重要物流道路等 →ダブル連結トラック |
|
|---|---|---|
| 総重量 | 20t (重さ指定道路:25t) |
➡最大 44t |
| 車高 | 3.8m (高さ指定道路:4.1m) |
➡4.1m |
| 車長 | 12.0m | ➡25.0m |
※車両長、軸数、軸距等に応じた個別の制限あり
総重量は原則20t(重さ指定道路で25t)から最大44tまで、車長は12.0mから25.0mまで引き上げられます。ただし、車両長、軸数、軸距等に応じた個別の制限があるため、詳細は確認制度のシステムで確認する必要があります。
5.25m車を走らせるための必須条件
公道で運行するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると確認制度の対象外となり、通行できません。
25m車走行のための必須条件
車両の条件
トラクタ・トレーラ共にバン型であり、全長21m超〜25m以下であること。
通行経路の条件
重要物流道路等を主とし、一般道走行を最小限にすること。
車両装置の条件
16項目の保安要件をすべて満たすこと。
積荷の条件
危険物、大量の液体、動物の積載は禁止。
運転者の条件
大型・けん引免許の経験と、特別な訓練修了が必須。
通行の条件
追い越し禁止・縦列走行の禁止などを遵守すること。
車両装置の条件:16項目の保安要件
カテゴリ1:安全装置
- (1)アンチロックブレーキシステム(ABS)
- (9)ディスクまたはドラムブレーキ
- (2)衝突被害軽減ブレーキ又は自動車間距離制御装置
- (10)リターダ(補助ブレーキ)
- (3)車両安定性制御システム
- (11)デフロックまたはトラクションコントロール
- (4)車線逸脱警報装置
カテゴリ2:記録・監視装置
- (5)後部視界を確保するためのカメラシステム及びモニター
- (12)間接視界確保装置
- (6)デジタルタコグラフ
- (16)業務支援用ETC2.0車載器
- (7)自動軸重計測装置(OBW)等
カテゴリ3:その他装備
- (8)エアサスペンション
- (14)反射材を用いた車体輪郭部のマーキング
- (13)被けん引車のバックライト
- (15)車長・「追越注意」表示プレート
これらすべての装備が必須です。一つでも欠けると緩和を受けられません。
ETC2.0車載器は料金収受だけでなく、国の通行管理システムとの連携にも使われます。また、システム上でダブル連結トラックとしてのチェックボックス登録も別途必要です。
7. 運転者の要件
大型・けん引免許に加え、A・Bいずれかを満たす必要があります。
運転者の要件:A・Bいずれかを満たすこと
要件 A経験重視
- 大型運転業務に直近5年以上従事
- けん引免許を5年以上保有
要件 B訓練重視
- 大型運転3年・けん引1年以上の経験
- 直近3年間 無事故・無違反
- 最低12時間の実技訓練を修了
要件A(経験重視)は、大型運転業務に直近5年以上従事し、けん引免許を5年以上保有していること。この場合の訓練は最低2時間です。
要件B(訓練重視)は、大型運転3年・けん引1年以上の経験があり、最低12時間の実技訓練を修了し、かつ直近3年間無事故・無違反であることが条件です。
8. 導入企業の事例
物流5社による共同輸送
ヤマト運輸、佐川急便、日本通運、西濃運輸、日本郵便の5社が25m車両をシェアし、幹線輸送を共同で運行しています。
飲料・菓子メーカーの連携
サントリー・アサヒなどの飲料メーカー、亀田製菓・ブルボンなどの菓子メーカーが共同配送を行っています。
小売業の拠点間輸送
イオン九州などの小売大手が拠点間の大量輸送に導入しています。
大手運送会社
福山通運などが25mダブル連結トラックを導入し、共同配送に活用しています。

(写真は国土交通省資料より引用)
まとめ
2025年3月から確認制度の対象となり、申請から運行開始までの待機期間は実質ゼロになりました。
ただし、通行確認回答書の備え付けと通行記録の1年間保存が義務付けられています。
導入前に確認すべき点は3つです。
自社車両がバン型であること、16項目の保安要件をすべて満たしていること、運転者が要件A・Bのいずれかをクリアしていること。
この3点が揃えば、確認制度でオンライン即時回答→即日出発が実現します。
出典リンク(参考資料)
- ダブル連結トラックの導入促進(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/road/double_renketsu_truck/
- 長さ21mを超えるフルトレーラ連結車の緩和要件等(国土交通省PDF) https://www.mlit.go.jp/road/double_renketsu_truck/data/pdf/kanwa_chirashi_20221115.pdf
よくある質問(FAQ)
- Qダブル連結トラックはバン型以外でも対象になりますか?
- A
なりません。タンクローリーやコンテナ車は対象外です。トラクタ・トレーラともにバン型であることが条件です。
- Q確認制度の対象になるには、全長の条件はありますか?
- A
あります。21.0mを超え25.0m以下であることが必要です。21.0m以下の車両は、別途、通常の特車許可制度での申請が必要です。
- QETC2.0車載器がなければ走れませんか?
- A
走れません。ETC2.0車載器の搭載は6つの必須条件のひとつです。また、システム上で「ダブル連結トラック」としてのチェックボックス登録も別途必要です。
- Q運転者の要件を満たしていれば、誰でも運転できますか?
- A
要件A・Bのいずれかを満たせば運転できます。ただし要件Bの場合は、直近3年間の無事故・無違反が条件に含まれます。
- Q総重量の上限は何トンですか?
- A
重要物流道路などの特定ルートでは最大44tまで認められます。ただし、軸数や軸距に応じた個別の制限があるため、確認制度のシステムで経路ごとに確認する必要があります。
特殊車両通行許可の申請でお困りの場合はお気軽にご相談ください。
・電話:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)

