古物商をやめた後、許可証をどうすればいいか迷う方は意外と多いです。
古物商許可には有効期限がないため、更新手続きは不要です。しかし廃業した場合は話が別で、古物営業法では廃業した日から10日以内に許可証を返納しなければならないと定められています。これを怠ると罰則の対象になります。
この記事では、返納が必要なケース・手続きの流れ・返納しなかった場合のリスクを解説します。
許可証の返納が必要なケース
古物営業法第8条に基づき、いずれかに該当する場合は許可証を返納しなければなりません。
| ケース | 手続きの主体 |
|---|---|
| 古物営業を廃止した | 本人(個人)または代表者(法人) |
| 許可が取り消された | 本人または代表者 |
| 亡失していた旧許可証を発見した | 本人または代表者 |
| 個人許可を受けた者が死亡した | 同居の親族または法定代理人 |
| 許可を受けた法人が合併により消滅した | 合併後存続する法人または新設法人の代表者 |
※法人が解散・倒産して廃業する場合も、清算人による返納が必要です。
届け忘れが特に多いのは「個人事業主が亡くなったケース」と「法人化したケース」です。個人許可は相続できないため、法人化後も個人の許可証が手元に残っている場合は返納が必要です。
下の判断フローで、ご自身のケースを確認してください。
▼ 返納が必要かどうかの判断フロー
古物商許可を持っている
以下のいずれかに当てはまる?
廃業 / 許可取り消し / 死亡 / 法人消滅 / 旧許可証を発見
✅ 返納が必要
10日以内に
管轄警察署へ
❌ 返納は不要
ただし変更届が
必要な場合あり
返納の期限と注意点
廃業その他の返納理由が生じた日から10日以内に、主たる営業所を管轄する警察署へ返納しなければなりません。
10日という期間は、土日・祝日も含めたカレンダー上の日数です。「警察署が休みだったから間に合わなかった」という言い訳は通じないため、返納理由が生じた時点でできるだけ早く警察署に電話を入れてください。
注意が必要なのは、法人が解散する場合です。解散から清算完了まで時間がかかるケースがありますが、古物営業の廃止は解散した時点で発生します。清算が終わってから返納すれば良いわけではないので、解散決議の直後に動き始めることが大切です。
また、本人の死亡や法人の合併消滅のように、許可を受けた当事者が手続きできないケースでは、同居の親族・法定代理人・合併後の代表者が代わりに返納します。「自分は許可を取った本人ではないから」と後回しにすると、10日の期限を超えてしまいます。
手続きの流れ

1. 営業所を管轄する警察署に電話連絡
返納する旨を電話で伝え、担当者とアポイントを取ります。窓口は生活安全課(保安係)です。平日の業務時間内(概ね8:30〜17:15)のみ受け付けています。電話をせずに突然窓口に行っても担当者が不在のことがあるため、事前連絡を忘れずに。
2. 返納理由書の記入
各都道府県の警察署が定める様式(別記様式第9号)に必要事項を記載します。様式は警察署の窓口でもらえるほか、各都道府県警察のウェブサイトからダウンロードできる場合があります。記載内容は氏名・住所・返納理由・返納日などです。
3. 警察署で返納
返納理由書と古物商許可証を持参して窓口で提出します。返納手続きに手数料はかかりません。提出後、受理されれば手続き完了です。
URLの届出をしている場合は追加手続きが必要
ネット販売でURLの届出を行っている場合は、許可証の返納とは別にURLの閉鎖届出も必要です。警察署での受理後、公安委員会のサイトへ削除申請を行います。見落としがちな手続きなので注意してください。
返納しなかった場合のリスク

罰則について
許可証の返納義務に違反した場合、ケースによって以下の罰則が科されます。
- 10万円以下の罰金(法第35条):廃業・許可取り消しになった本人、または旧許可証を発見した本人が返納を怠った場合
- 5万円以下の過料(法第39条):本人の死亡や法人の合併消滅の際に、同居の親族や合併後の代表者が返納を忘れた場合
期限が過ぎていても、返納しないまま放置するより早めに動く方が得策です。
許可証の悪用リスク
古物商許可証は、古物商であることを証明する唯一の公的書類です。返納せずに放置すると、第三者に悪用される可能性があります。古物商許可の制度は盗品の流通を防ぐために存在しているため、廃業後も許可証が出回るのは制度の趣旨に反します。手元に残しておくメリットは何もありません。
簡易取り消し制度による許可取り消し
2018年の法改正で「簡易取り消し制度」が導入されました。古物商の所在が不明な場合、公安委員会が公告を行い、30日以内に申し出がなければ許可を取り消せる制度です。変更届の提出を怠って住所変更が反映されていない場合、所在不明と判断されることがあります。廃業していなくても注意が必要です。
古物台帳(帳簿)は返納不要・3年間の保管義務あり
古物商プレートと古物台帳(帳簿)は、許可証と違い返納する必要はありません。
ただし古物台帳には廃業後も3年間の保管義務があります。廃業後に盗品が発見された場合、警察が過去の取引記録を確認するために台帳の提出を求めることがあります。廃業したからといってすぐに廃棄してしまうと、帳簿の保存義務違反として「6月以下の拘禁刑(旧:懲役刑)または30万円以下の罰金」の対象になる場合があります。
質屋の現場では、廃業から数年が経ってから警察に過去の台帳を確認されたケースも見ています。3年間は手元に保管しておいてください。
古物台帳の書き方と保管方法の詳細は、古物台帳(帳簿)の書き方|記載事項・Excelテンプレート・保存期間までで解説しています。
法人化(法人成り)した場合の注意点
個人で古物商許可を取得した後に法人化した場合、個人の許可証は法人に引き継がれません。法人として新たに許可申請が必要になり、個人事業主の許可は廃業したことになるため、許可証の返納も必要です。
「法人で新しく許可を取ったから個人の許可は自動的に無効になる」と思っている方もいますが、手続きとして返納しなければ返納義務違反になります。新規申請の手続きと並行して、個人許可の返納も忘れずに行ってください。
法人化後の手続きの詳細は、法人化後の古物商許可はどうする?引き継ぎ不可の理由と申請の流れを参照してください。
まとめ
古物商許可証の返納は、廃業・許可取り消し・死亡・法人消滅・旧許可証の発見といったケースで義務が生じ、理由が生じた日から10日以内に管轄の警察署へ手続きしなければなりません。返納しなかった場合、10万円以下の罰金または5万円以下の過料という罰則があるほか、許可証が第三者に悪用されるリスクも生じます。
古物台帳は返納不要ですが、廃業後も3年間は手元に保管する義務があります。法人化した場合は個人許可の返納と法人名義での新規申請が別々に必要で、URLの届出をしている場合はURLの閉鎖届出も別途必要です。
「廃業したからもういいだろう」と放置してしまいがちな手続きですが、義務である以上、早めに動くことが大切です。
お困りの際は当事務所へ
古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。また、「メルカリでの転売に許可は必要か」「開業後の届出は何が必要か」など、判断に迷う場面も多いです。
当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。「自分のケースで許可が必要か確認したい」「申請が複雑で困っている」といった場合は、お気軽にご相談ください。
LINE相談(24時間受付・返信最速)
TEL:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)
よくある質問
- Q廃業してから10日を過ぎてしまいました。今からでも返納できますか?
- A
期限を過ぎても返納は受け付けてもらえます。期限超過の理由を説明した上で、速やかに手続きを行ってください。遅延が発覚した場合は罰則の対象になる可能性がありますが、放置するより早めに対処する方が得策です。
- Q古物商プレートも返納が必要ですか?
- A
不要です。古物商プレートはご自身で廃棄してください。許可証のみが返納の対象です。
- Q営業所を移転した場合は返納が必要ですか?
- A
返納は不要です。2020年の法改正で古物商許可は全国共通となったため、同じ都道府県内でも他府県への移転でも許可証の返納は必要ありません。ただし主たる営業所の移転の場合は「移転の3日前まで」に変更届(書換え申請)が必要です。これを怠ると無許可変更として罰則や許可取り消しの対象になる場合があります。
- Q副業で取得した古物商許可を使わなくなりました。返納しないとどうなりますか?
- A
6か月以上営業を開始しない、または6か月以上休業している場合は許可が取り消される場合があります。取り消されると5年間は再取得できません。使う見込みがなければ、自主的に返納することを検討してください。
- Q代表者が交代した場合も返納が必要ですか?
- A
代表者の交代のみであれば返納は不要です。変更届を提出してください。返納が必要なのは、法人が解散・合併により消滅した場合です。
執筆者プロフィール
手島宏典 行政書士・現役質屋店長 業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。
行政書士手島宏典事務所
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