【現役質屋店長が解説】古物商の定款とは?会社設立から許可申請まで完全ガイド

法人設立の定款を確認するビジネスパーソンのイメージ コラム

法人として古物商を始める際、避けて通れないのが「定款(ていかん)」の準備です。

いざ準備を始めると、「目的欄には具体的に何を書けばいいのか?」「会社設立の具体的な手順は?」「もし定款を紛失してしまったらどうすれば?」といった疑問や不安が次々と湧いてくるものです。

この記事では、古物商許可の申請に必須となる定款の書き方のポイントから、設立の手順、そして万が一の紛失時の対処法まで、知っておきたい情報を分かりやすく解説します。

定款とは?

定款(ていかん)とは、会社の根本規則を定めた書類のことです。会社法に定められており、法人を設立する際に必ず作成しなければなりません。

定款には、会社の名称、本店所在地、事業目的、資本金の額、発起人の名前や住所などが記載されます。

定款の種類

定款には以下の2種類があります:

種類説明
原始定款会社設立時に作成し、公証人の認証を受けたもの
現行定款事業内容の変更などに伴い、原始定款を更新したもの

古物商の定款に必要な記載

法人で古物商許可を取得する場合、定款の「事業目的」に古物営業を行う旨を記載する必要があります。

定款の記載事項

定款の記載事項は、会社法第26条で以下の3つに分類されています:

1. 絶対的記載事項(必須)

  • 商号(会社名)
  • 本店所在地
  • 事業目的
  • 発起人の氏名と住所
  • 資本金の額

2. 相対的記載事項(定款に記載しないと効力がない)

  • 株式譲渡制限
  • 役員の任期
  • 公告の方法

3. 任意的記載事項(任意)

  • 事業年度
  • 役員の数
  • 基準日

古物商の定款の書き方

古物商として法人を設立する場合、以下の項目を含めた定款を作成します。

必須記載項目

1. 商号

当会社は、株式会社○○と称する

2. 事業目的

古物営業を行う旨を明記します:

第1条(事業目的)
当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1. 古物営業法に基づく古物商
2. 古物営業法に基づく古物競りあっせん業
3. インターネットを利用した通信販売業及び古物の売買業
4. 前各号に付帯関連する一切の業務

重要ポイント:

  • 「古物営業法に基づく古物商」を必ず記載
  • 将来的に展開する可能性のある事業も記載しておく
  • 定款変更の手間を省ける

3. 本店の所在地

当会社は、本店を東京都○○区に置く

4. 発行可能株式総数

当会社の発行可能株式総数は、○○株とする

5. 設立に際して出資される財産の価額

当会社の設立に際して出資される財産の全額を成立後の資本金の額とする

6. 発起人の氏名及び住所

発起人の氏名及び住所並びに設立に際して割当てを受ける株式数及び株式と引換えに払込む金銭は、次のとおりである。

東京都○○区○○ ○丁目○番○号
○○ ○○  ○○株  金○○万円
古物商の定款を作成する際の書類とペンのイメージ

定款の記載例

株式会社○○ 定款(抜粋)

第1条(商号)

当会社は、株式会社○○と称する。

第2条(事業目的)

当会社は、次の事業を営むことを目的とする。

  1. 古物営業法に基づく古物商
  2. 古物営業法に基づく古物競りあっせん業
  3. インターネットを利用した通信販売業
  4. 前各号に付帯関連する一切の業務

第3条(本店所在地)

当会社は、本店を東京都葛飾区に置く。

第4条(資本金)

当会社の設立に際して出資される財産の全額を成立後の資本金の額とする。

重要: 第2条の事業目的に「古物営業法に基づく古物商」の記載が必須です。この記載がないと、古物商許可申請が受理されません。

会社設立の流れ

古物商の会社設立から許可申請までの流れのイメージ

法人として古物商を始める場合、以下の手順で会社を設立します。

会社設立から古物商許可取得までの流れ

1

会社の基本事項を決定

商号、本店所在地、事業目的、資本金、発起人など

2

定款作成

事業目的に「古物営業法に基づく古物商」を記載

3

公証役場で定款認証

認証手数料:約5万円、発起人の印鑑証明書が必要

4

出資金の払込み

発起人の個人口座に資本金を振り込む

5

法務局で会社設立登記

登録免許税:15万円〜、審査期間:1〜2週間

6

古物商許可申請

警察署に定款の写し、登記事項証明書などを提出

7

許可決定・営業開始

審査:約40日。許可証が交付されたら営業開始可能!

⏱ 合計期間:約2〜3ヶ月 | 💰 合計費用:約30〜40万円

※資本金は含みません。地域や専門家への依頼有無により変動します。

電子定款で印紙税を節約

定款を電子データで作成する「電子定款」にすると、印紙税4万円が不要になります。

電子定款のメリット:

  • 印紙税4万円が不要
  • 紙の定款より保管が簡単
  • 紛失リスクが低い

電子定款のデメリット:

  • 電子認証の環境が必要
  • ICカードリーダーなどの機器が必要
  • 行政書士に依頼する方が効率的

定款の変更

会社設立後、事業内容に変更が生じた場合、定款を変更できます。

定款変更の手順

1. 株主総会を開催

定款変更には株主総会の特別決議が必要です(会社法第466条):

  • 議決権の過半数を持つ株主が出席
  • 出席株主の3分の2以上の賛成

2. 株主総会議事録を作成

定款変更の決議内容を記録します。

3. 法務局で登記変更

事業目的の変更など、登記事項に関わる変更は法務局での手続きが必要です。

費用: 登録免許税3万円

定款を紛失した場合

古物商の定款を紛失した場合の対応方法のイメージ

定款を紛失しても、以下の方法で再取得できます。

対処方法

1. 公証役場で謄本を取得

定款認証を受けた公証役場で、原始定款の謄本(写し)を請求できます。

保管期間: 20年間 手数料: 約1,000円

2. 法務局で書類閲覧

会社設立から5年以内であれば、法務局で設立登記時に提出した定款を閲覧できます。

手続き: 付属書類閲覧申請 手数料: 約450円

3. 定款を再作成

履歴事項全部証明書(法人登記簿)や株主総会議事録を基に、現行定款を再作成することもできます。


古物商許可申請での定款の提出

古物商許可申請では、定款のコピーを提出します。

提出時の注意点

1. 原本証明が必要

定款のコピーには「原本証明」を付ける必要があります。

原本証明の方法:

  1. 定款をコピーし、ホチキスで留める
  2. すべてのとじ目に会社の代表者印で契印
  3. 最後のページの余白に原本証明の記載と押印

原本証明の記載例:

この写しは原本と相違ないことを証明する。

令和○年○月○日
本店所在地:東京都○○区○○ ○丁目○番○号
会社名:株式会社○○
代表取締役:○○ ○○ [代表者印]

2. 事業目的の確認

事業目的に「古物営業法に基づく古物商」の記載があることを必ず確認してください。

記載がない場合は、事業目的の追加・変更手続きが必要です。


実務経験から見た注意点

注意点1:事業目的は広く記載する

定款変更には株主総会の開催や登録免許税(3万円)がかかります。

将来的に展開する可能性のある事業も、最初から記載しておくことをお勧めします。

推奨する記載:

  • 古物営業法に基づく古物商
  • 古物営業法に基づく古物競りあっせん業
  • インターネットを利用した通信販売業
  • リサイクル品の買取及び販売
  • 前各号に付帯関連する一切の業務

注意点2:定款の保管場所を明確にする

定款は会社で保管すべき重要書類です。紛失すると再取得に時間と費用がかかります。

推奨する保管方法:

  • 原本は金庫など安全な場所に保管
  • PDFデータでバックアップを作成
  • クラウドストレージにも保存

注意点3:登記事項証明書と定款の整合性

古物商許可申請では、定款のコピーと登記事項証明書の両方を提出します。

両者の記載内容(事業目的、本店所在地など)が一致していることを確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q
定款とは何ですか?
A

定款とは、会社の根本規則を定めた書類のことです。会社法に定められており、法人を設立する際に必ず作成しなければなりません。商号、本店所在地、事業目的、資本金の額などが記載されます。

Q
古物商の定款には何を書く必要がありますか?
A

古物商の定款には、事業目的として「古物営業法に基づく古物商」を記載する必要があります。この記載がないと、古物商許可申請が受理されません。また、将来的に展開する可能性のある事業も記載しておくと、後の定款変更の手間を省けます。

Q
定款を紛失した場合はどうすればいいですか?
A

定款を紛失した場合、①公証役場で謄本を取得(20年間保管、手数料約1,000円)、②法務局で書類閲覧(設立から5年以内、手数料約450円)、③履歴事項全部証明書を基に再作成、のいずれかの方法で対処できます。

Q
定款の事業目的を変更できますか?
A

はい、定款の事業目的は変更できます。株主総会を開催して特別決議(出席株主の3分の2以上の賛成)を行い、法務局で登記変更手続きを行います。登録免許税として3万円が必要です。

Q
個人事業主でも定款は必要ですか?
A

いいえ、定款は法人(株式会社、合同会社など)を設立する際に必要な書類です。個人事業主として古物商を始める場合、定款は不要です。ただし、開業届や古物商許可申請は必要になります。

まとめ

この記事の要点をまとめます:

  1. 定款は法人設立の必須書類:会社の根本規則を定めた書類で、公証人の認証が必要
  2. 事業目的に「古物営業法に基づく古物商」を記載:この記載がないと古物商許可が取得できない
  3. 定款を紛失しても再取得可能:公証役場(20年間保管)や法務局(5年間閲覧可)で対処できる

古物商として法人を設立する場合、定款の作成は最も重要なステップの一つです。事業目的の記載不備があると、後から変更手続きに時間と費用がかかります。

お困りの際は当事務所へ

法人として古物商を始める場合、定款の作成から会社設立、古物商許可申請まで、多くの手続きが必要です。「定款にどう書けばいいのか」「会社設立の費用はいくらか」「定款を紛失してしまった」など、お悩みの方は多いです。

当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、定款作成のアドバイスから許可取得までサポートいたします。「法人と個人どちらで始めるべきか相談したい」「定款の事業目的の書き方を確認したい」といった場合は、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ方法:

  • お問い合わせフォーム
  • 電話:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)

行政書士手島宏典事務所
古物商許可申請の専門サポート

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執筆者プロフィール

手島宏典 行政書士・現役質屋店長
業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。

行政書士手島宏典事務所
東京都葛飾区亀有3丁目27-30 Tビル1階
TEL:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)