「幹線道路は即時許可なのに、現場までの最後の数百メートルで数ヶ月待たされる。特車申請でこうした事態に直面したことはないでしょうか。
2025年の制度改正で、多くのルートが即時許可の対象となりましたが、いぜんとして大きな障害となっているのが「未収録道路」です。ルートの99%が即時回答の対象でも、目的地直前のわずかな区間が未収録であるだけで、手続きは「2〜3ヶ月待ち」の個別審査へと切り替わってしまいます。
本記事では、未収録道路の基本から、審査を長引かせないための実務対応まで、要点を絞って解説します。
「未収録道路」とは?
未収録道路とは、国の道路データベース(道路情報便覧)に道路情報が登録されていない道路のことです。
収録道路(主要路線):
国道や主要な県道など。オンラインシステム上の地図では、赤・青・緑などの太い線で表示されます。これらはデータベースに幅員や交差点番号などの詳細情報が登録されているため、AIによる自動審査が可能です。
未収録道路(生活道路等):
市町村道や、新しく開通したばかりの道路。地図上では「グレーの細い線」で表示されるか、線すら表示されないこともあります。データベースに情報がないため、自動審査ができず、道路管理者が図面を見て判断する「個別審査」が必要になります。

実務への影響:「即時回答」が使えなくなる
どちらの制度を使うかの判断基準
現在の特車申請には、大きく分けて2つの入り口があります。
特殊車両通行確認制度(即時回答):
システム上で自動検索が可能な「収録道路」のみを通る場合に利用できます。2025年からはダブル連結トラックなども対象に加わりましたが、データのない道路は通行できません。
特殊車両通行許可制度(個別審査):
未収録道路を通る場合や、特殊な車両・ルートで協議が必要な場合に利用します。道路管理者同士の協議が発生するため、許可までには一定の時間がかかります。
ルートに未収録道路が少しでも含まれると、便利な「即時回答」制度が利用できなくなります。これが最大の懸念点です。

特に「個別審査」では、申請窓口から道路を管理する自治体(市役所など)へ協議が行われるため、許可が下りるまでに2〜3ヶ月かかることが一般的です。
未収録道路を通る場合の「3つの必須準備」
配送先が工場や建設現場の場合、最後の区間で未収録道路を通ることは避けられません。その際は、以下の事前準備が必要です。

① 正式な「路線名」を調べる
申請書には「◯◯市道△△線」といった正式名称を記入する必要があります。Googleマップには路線名が載っていないことが多いため、以下の方法で確認します。
自治体のウェブサイトを確認:
近年、多くの自治体が「道路台帳閲覧システム」をウェブで公開しています。「(自治体名) 道路台帳」で検索すると効率的です。
電話で問い合わせる:
管轄の市役所や土木事務所の「道路管理課」等に電話し、現場の住所を伝えて路線名を確認します。
② 「交差点番号」を特定する
未収録道路の出入口となる交差点(収録道路との接点)には、システム上で番号が振られています。
「道路情報便覧付図表示システム」などで確認し、申請書に記入する必要があります。つまり、「どの交差点から未収録道路に入るか」を特定する作業です。
③ 「付近図」を作成する
未収録道路を含む申請では、審査のために「付近図」の添付が必要となるケースがほとんどです。
内容:
出発地・目的地、経路、未収録路線名、交差点番号を明記します。
形式:
地図のコピーに手書きで書き込んだものでも問題ありません。
システム入力のコツ:「点」で指定する
オンライン申請システムでは、収録道路のようにクリックだけで自動的に線が引かれません。以下の手順で手動入力を行います。
手動入力モード:
未収録区間は、交差点を一つずつクリックして繋いでいきます。
地図に線がない場合:
新設道路などで地図上に道が表示されていない場合は、「出発地/目的地から特車交差点を指定」機能を使います。地図上の何もない場所を「点」として指定し、直近の交差点と直線で結ぶ形で登録します。
2025年改修で「入力作業」は少し楽に
審査期間の短縮は難しい未収録道路ですが、申請データの作成作業自体は2025年3月のシステム改修で改善されています。
「反転機能」の実装
未収録道路を含む現場配送は往復が基本ですが、従来は片道ずつ手動で入力する必要がありました。
2025年3月の改修により、**「経路作成時の出発地・目的地反転機能」**が追加されました。これにより、苦労して手動入力した「往路」のデータを、ボタン一つで反転させて「復路」として複製できるため、申請書作成の手間が大幅に削減されます。
接続ミスの自動判定
従来は目視確認に頼っていた「収録道路と未収録道路の接続」について、システムによる**「通行可否チェック」**が導入されました。
行き来できないルートを誤って作成すると、自動で警告が表示されます。これにより、申請後の「差し戻し」リスクを事前に減らすことができます。

まとめ:急ぎの案件こそ「未収録」の確認を
「明日走りたい」という急な依頼があっても、目的地が未収録道路の先にある場合、即時の許可取得は困難です。
実務担当者の皆様は、以下の対策を徹底することでリスクを抑えられます。
事前の判定:
申請前に「簡易算定機能」を使い、ルート上に「個別審査」や「未収録」の判定が出ないか確認する。
ルートの工夫:
可能であれば、未収録道路の手前にある「広い道路(収録道路)」までで許可を取り、そこから先は積載量を減らす(分割搬送)などの代替手段を検討する。
未収録道路への対応は避けられない場面も多いですが、2025年の改修で入力作業は確実に楽になっています。新機能を活用しながら、計画的な申請を心がけてください。



