特殊車両通行許可の申請で、幅・長さ・高さ・重量は気にしても、最小回転半径を見落としているケースは多々あります。12.0メートルという制限値があり、これを超えると許可が必要になります。特にトレーラを連結する場合、車両の組み合わせ次第で簡単にオーバーしてしまうため、正確な計算と理解が不可欠です。
この記事では、最小回転半径とは何か、どう計算するのか、違反するとどうなるのかを、分かりやすく解説します。

最小回転半径とは?「旋回時の外側タイヤの軌跡の半径」
最小回転半径とは、ハンドルを最大限に切って旋回したときに、車両の最も外側のタイヤが描く円の半径のことです。これが車両の回転性能を示す重要な指標となります。
道路法および車両制限令では、一般的制限値として12.0メートルが定められています。この数値は、幅・長さ・高さ・重量と並ぶ、道路の構造を守り交通の危険を防ぐための基準です。
原則として、この値を一つでも超える車両は、道路管理者の許可(特殊車両通行許可または適合証明など)が必要となります。
なぜ12.0メートルなのか?
この基準は、日本の一般的な交差点の設計に基づいています。交差点の隅切り(コーナー部分の斜めカット)や道路幅員は、最小回転半径12.0m以内の車両が円滑に曲がれることを前提に設計されています。
12.0mを超える車両は、通常の交差点では対向車線にはみ出したり、縁石に乗り上げたりするリスクが高くなるということです。

内輪差と最小回転半径の違い
ここで注意したいのが、「内輪差」と「最小回転半径」は別物だということです。
- 内輪差: 前輪と後輪の軌跡の差。主に巻き込み事故の原因。
- 最小回転半径: 車両全体の旋回に必要なスペース。道路構造や交通流への影響。
特車申請で問題になるのは、あくまで「最小回転半径」です。内輪差が小さくても、最小回転半径が大きければ制限値を超える可能性があります。

単車とトレーラでの違い
単車(トラック)の場合: 車両の構造が固定されているため、最小回転半径も固定です。車検証やカタログに記載された数値をそのまま使えます。
トレーラ(連結車)の場合: トラクタとトレーラが連結部分で折れ曲がるため、最小回転半径は車両の組み合わせによって変化します。そのため、連結時の最小回転半径を個別に計算する必要があります。
トレーラ(連結車)の場合は「連結時の最小回転半径」を計算する
トラクタとトレーラを連結する場合、車両の組み合わせによって回転性能が変わるため、「連結時の最小回転半径」を個別に算出する必要があります。
いつ計算が必要か?
- 新車で購入した場合: 連結検討書に記載されているため、そのまま使えます
- 中古車や別々に購入した場合: トラクタとトレーラの諸元を基に、自分で計算する必要があります
計算に必要な諸元
連結時の最小回転半径を計算するには、以下の諸元が必要です。
- トラクタ軸距: トラクタの前輪中心から後輪中心までの距離
- トレーラ軸距: トレーラの前輪中心から後輪中心までの距離
- カプラオフセット: トラクタの後輪中心から連結ピンまでの距離
- トレーラ軸数: トレーラの軸数(2軸、3軸など)
これらの数値を専用の計算シート(Excel)に入力することで、自動的に連結時の最小回転半径が算出されます。
計算ツールの活用
特車オンライン申請システムでは、「連結最小回転半径計算シート(Excel形式)」が提供されています。詳しい使い方や入力方法については、別記事で詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。
オンライン申請での入力手順
特殊車両通行許可のオンライン申請では、車両情報の登録画面で「最小回転半径(cm)」を入力します。12.0メートル(1200cm)以下でも、正確な数値を入力してください。申請時に自動判定され、12.0mを超えている場合は特殊車両として扱われます。

違反した場合のリスク
最小回転半径を含む一般的制限値を超える車両を無許可で走行させた場合、100万円以下の罰金が科される可能性があります。また、違反を繰り返すと、許可の取消しや高速道路の大口・多頻度割引の停止など、経営に直結する行政処分を受けるリスクもあります。
罰金
法的な罰則として、高額な反則金や罰金が科される可能性があります。
行政処分
車両の使用停止、事業の停止、最悪の場合は許可の取消し処分を受けることがあります。
社会的制裁
企業名の公表や取引停止など、企業の信頼失墜につながる重大なリスクがあります。
まとめ—最小回転半径は「見えない制限値」だからこそ要注意
最小回転半径12.0メートルは、道路の交差点やカーブを円滑に通行するために設けられた基準です。幅・長さ・高さ・重量と比べて見落とされがちですが、違反すれば同じように罰則の対象となります。
特にトレーラ等の連結車を運用する場合は、車両の組み合わせごとに正確な数値を把握し、制限値を超える場合は必ず特殊車両通行許可を取得して、適正な運行を心がけることが重要です。



