新規格車(増トン車)での走行は違法でしょうか? 正規のディーラーで購入し、車検にも通っている車両であれば、公道を走ることは基本的には適法ですが、一方で「特殊車両」として取り締まりを受けたり、行政処分を受けたりするケースがあり問題になっています。
車検に通った正規のトラックと、通行許可が必要な特殊車両とはどう違うのか? 道路法や車両制限令との関係について解説します。
新規格車の走行は、基本的には自由に行えるが…
新規格車(増トン車)とは、高速道路などの道路構造が強固な道路を走行することを前提に、車両総重量の制限が緩和された(20トン超など)車両のことです。
これらはメーカーが正規に製造販売しており、車検(保安基準)にも適合しているため、車両そのものの所有や売買は完全に合法です。
どこでも自由に走れるわけではない
しかし、「どこでも自由に走っていいか」というと、話は別になります。
たとえ車検に通っている「合法な車」であっても、走行する場所によっては、道路法に違反する「違法走行」となる可能性があります。 具体的には、高速道路以外の一般道(重さ指定道路を除く)を走行する場合です。
見分け方:緑のステッカー

ご自身の車両が新規格車かどうかは、フロントガラスに緑色の「新規格車」ステッカーがあるか、車検証の備考欄に「高速道路等走行時25t」といった記載があるかで判断できます。
車検(保安基準)と道路法(車両制限令)の区別
なぜ「車検OK」なのに「走行NG」となる場合があるのでしょうか? それは、基準としている法律の目的が異なるからです。
- 車検(道路運送車両法): 「車が安全に走れるか(壊れないか)」を基準にしています。新規格車は頑丈に作られているため、25トン積んでも車検には合格します。
- 道路(道路法): 「道路が壊れないか」を基準にしています。日本の一般的な道路(市道など)は、総重量20トンまでの車両しか通れない設計になっています。
つまり、「車自体は適法だが、道路の耐久力が足りないため、許可なく走ると道路法違反になる」ということです。 ここが、多くの運送事業者様が誤解しやすいポイントです。
無許可での一般道走行は違法
高速道路や、特に指定された「重さ指定道路」を走行する場合は、新規格車の特例により適法に走行できます(※一部例外あり)。
しかし、それ以外の一般道を走行する場合は、「特殊車両通行許可」を取得していなければ道路法違反となります。

インターチェンジを降りてから配送センターまでの数キロや、工業団地内の道路などは「重さ指定道路」ではないケースが多くあります。 こうした区間を、許可を持たずに新規格車(25t)で走行することは、いわゆる「無許可走行」に該当します。
特殊車両通行許可が必要な場合
基本的に、車両総重量が20トンを超える新規格車で、以下の道路を走る場合は許可が必要です。
- 重さ指定道路以外の国道・県道
- 一般的な市町村道
- 「新規格車通行可」の標識がない道路
配送業務において「一切一般道を走らない(ラストワンマイルがない)」というケースは稀ですので、実質的には多くの新規格車で許可が必要となります。
許可がない場合の罰則
無許可で特殊車両(新規格車を含む)を一般道で走行させることは法令違反となり、是正指導や措置命令、場合によっては罰則が科せられることがあります。
- 措置命令書の交付(警告)
- 違反点数の累積
- 車両の使用停止処分
悪質性が低い場合(うっかりミスなど)は、すぐに重い罰則が科せられることは少ないとされていますが、違反を繰り返している場合や、会社全体で管理がなされていない場合は、厳しい行政処分(営業停止など)を受けるリスクがあります。 もしもの時に備え、コンプライアンス体制を見直しておくことが重要です。
まとめ:新規格車には「通行許可」が原則必要
新規格車は、たしかに性能の良い便利なトラックです。 しかし、その性能を発揮できるのは「許可された道路」または「頑丈な道路」の上だけです。
「車検に通っているから大丈夫」と安易に判断せず、自社の車両が特殊車両に該当するかどうか、車検証を確認することをお勧めします。
当事務所では、車検証をご提示いただければ、特殊車両に該当するかどうかの診断や、必要な許可申請の代行を行っております。お気軽にご相談ください。



