無許可走行や条件違反が発覚すると、ドライバー個人だけでなく会社名義でも前科がつきます。
道路法の両罰規定により、法人と個人の双方に罰則が適用されるためです。
罰金だけでなく、高速割引の停止や許可取消しといった行政処分も重なるため、1件の違反が経営上の問題に発展するケースがあります。
刑事罰:ドライバーと会社の両方に科される
道路法違反の罰則には両罰規定が適用されます。違反したのがドライバー1人でも、運行を指示した会社にも同額の罰金刑が科されます。ドライバーが独断で行った場合でも管理責任が問われ、会社名義で前科がつくことになります。
なお、特車申請と過積載は根拠法が異なり、同時に違反となるケースもあります。
対象となる4つの違反行為
以下の違反が対象です。
虚偽報告:申請・報告で事実と異なる内容を申告した場合
無許可走行:許可を得ずに特殊車両を通行させた場合
条件違反:通行条件A〜Dで定められた誘導車の配置・夜間通行などの条件を守らなかった場合
不携帯:許可証や回答書を車両に備え付けていなかった場合
通行中止命令を無視すると拘禁刑(2025年6月〜)
悪質な抵抗行為に対し、「6ヶ月以下の拘禁刑」または「30万円以下の罰金」が加わりました。拘禁刑は従来の懲役刑・禁固刑を一本化したもので、実刑(刑務所)の可能性がある刑罰です。対象は次の2類型。
- 通行中止命令への違反:道路管理者や警察から通行中止を命じられたのに従わなかった場合
- 特定構造物の強行突破:重量・高さ制限のある橋やトンネルを許可なく通行した場合
第105条では軽減措置命令(荷下ろし・徐行)違反に50万円以下の罰金が設けられています。通行中止命令(104条・拘禁刑あり)と軽減措置命令(105条・罰金のみ)は別条項。混同に注意してください。
| 命令の種類 | 現場での指示例 | 違反した場合の罰則 |
|---|---|---|
|
通行中止命令
道路管理者・警察
|
「今すぐ止まりなさい」 |
6ヶ月以下の拘禁刑
第104条
または30万円以下の罰金。2025年6月新設。
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軽減措置命令
道路管理者・警察
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「荷物を減らしなさい」 | 50万円以下の罰金 第105条 |
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徐行命令
道路管理者・警察
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「ゆっくり走りなさい」 | 50万円以下の罰金 第105条 |
過積載を指示した荷主に対しては、道路法の両罰規定とは別に、荷主勧告制度が適用されます。違反を指示・強要した荷主の関与が確認された場合、NEXCOや国土交通省から荷主名が公表されます。運送事業者だけでなく荷主も取締りの対象である点は、取引先への説明資料としても重要です。
行政処分:違反が積み重なると許可取消しになる
刑事罰とは別に、道路管理者(国・NEXCO等)から行政処分が下されます。取締り現場や自動計測装置(WIM:道路に埋め込まれた軸重計)で違反が確認されると、まず「警告書」が届きます。一定期間内に違反が積み重なると次のステップに進みます。
WIMは道路本線・料金所付近に設置された自動計測装置で、2023年4月から高速道路6社で取締り運用が始まりました。通過車両の軸重を自動計測し、超過を検知すると違反車両を自動撮影。計測データは特殊車両通行許可データと照合され、後日違反事業者が特定されます。直轄国道にも同様の装置があります。WIMを含む取締りの運用体制については別記事にまとめています。
是正指導は、国道事務所などへの呼び出しと対面指導。改善計画の提出を義務付けられます。
是正指導に従わない場合は社名公表になります。事業者名と違反内容が公表され、荷主や金融機関に違反事実が開示されます。
常習的な違反・重大事故・是正指導への不応答が続いた場合は、保有するすべての特殊車両通行許可が取り消されます(許可取消し)。許可がなければ大型車両を公道で走らせられず、事実上の営業停止です。
直轄国道の運用では、4回目の違反で社名・違反内容が国土交通省ホームページに公表され、5回目で許可取消・告発の対象となります。WIMの違反回数は車両単位ではなく会社単位でカウントされるため、複数台が違反している場合は合算されます。
制限値の2倍超は警告なしで即時告発
通常は警告・指導から段階的に処分が重くなりますが、以下に該当する場合はそのプロセスを経ずに警察へ刑事告発されます。
許可なしの車両で総重量が一般的制限値(20tまたは25t)の2倍を超えていた場合、その場で警察に引き渡し、刑事捜査の対象となります。許可ありの車両でも、許可で認められた重量に基準値を加えた計算上の上限を大幅に超えた場合は同様です。「積みすぎてしまった」という説明は通用しません。
高速割引停止と走行中止命令:現場で起きること
大口・多頻度割引の停止
違反点数が一定以上になると、NEXCOはETCコーポレートカードの大口・多頻度割引を停止します。最大で数十パーセント安くなっていた通行料が定価に戻り、運送コストが増加します。罰金が一時的な出費であるのに対し、割引停止は運行するたびにコストが上乗せされ続ける点で性質が異なります。
現場での措置命令
取締り現場で重量超過等が発覚すると、その場で措置命令書が交付されます。命じられる内容は次の4つのいずれかです。
- 積荷を降ろす
- 許可を取得するまで停車する
- 指定インターチェンジから退出する
- 許可条件に従って通行する
輸送が止まれば納期遅延が確定し、荷主との契約上の問題に発展します。
まとめ
100万円以下の罰金・社名公表・高速割引停止・許可取消しは、いずれも実際に適用される処分で、違反の態様によっては複数が同時に適用されます。
道路上のWIMと監視カメラは24時間稼働しており、違反は自動記録されます。トラック・物流Gメンも2024年以降360名体制で活動し、荷主との取引まで監視対象に含まれます。2026年1月には取適法が施行され、荷主と運送事業者間の取引ルールも厳格化されました。
経路の適法性をその場で確認するには特殊車両通行確認制度が使えます。
特車申請の制度・手続き・車種別対応の全体像は特殊車両通行許可申請ガイドで確認できます。
よくある質問(FAQ)
- Q特殊車両違反で会社(法人)も処罰されますか?
- A
はい。道路法の両罰規定により、違反を行ったドライバーだけでなく、運行を指示した会社にも同額の罰金刑が科されます。ドライバーが独断で行った場合でも管理責任が問われ、会社名義で前科がつきます。
- Q無許可走行・条件違反の罰金はいくらですか?
- A
道路法第104条に基づき、100万円以下の罰金です。ドライバーと会社の両方に同額が科されます。2025年6月以降は、通行中止命令に従わない等の悪質な行為に対して6ヶ月以下の拘禁刑も加わっています。
- QWIMによる違反は後日通知されるのですか?
- A
はい。WIMで計測されたデータは特殊車両通行許可データと照合され、後日警告書が届きます。違反回数は車両単位ではなく会社単位でカウントされるため、複数台が違反している場合は合算されます。
- Q許可取消し後に再申請はできますか?
- A
再申請自体は可能です。ただし特車ゴールド制度(4年許可)の利用条件が「過去2年以内に警告等なし」のため、取消し後しばらくは通常の2年許可での再スタートになります。
- Q高速割引が停止されるとコストにどれくらい影響しますか?
- A
大口・多頻度割引が停止されると、最大で数十パーセント安くなっていた通行料が定価に戻ります。罰金は一時的な出費ですが、割引停止は運行のたびにコストが上乗せされるため、長期的な影響が大きくなります。
特殊車両の通行許可申請・確認制度の活用についてご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。
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