「2024年問題」による人手不足や、頻発する自然災害。物流現場は今、大きな変化を求められています。
こうした状況下で、道路インフラの面から輸送を強力に支えてくれるのが「重要物流道路」制度です。
これは単に「大きなトラックが走る道」というだけでなく、「災害が起きても、国が責任を持って物流を止めないようにする道」という重要な役割を担っています。
今回は、2025年以降の最新動向を含め、具体的にどのようなメリットがあるのか、注意点とあわせてお伝えします。
重要物流道路とは?「止まらない輸送」を支える国のバックアップ
重要物流道路とは、平常時はもちろん、万が一の災害時にも「物流を止めない」ために国が指定した重要なルートのことです。大型車両がスムーズに走れるよう、通常の道路よりも頑丈な基準で整備されています。
災害時に「国が真っ先に直す」という安心感
この制度の最大の強みは、有事の際の「復旧の早さ」にあります。大きな地震や水害で道路が寸断されたとき、これまではその道路を管理している「県」や「市町村」が復旧作業を行っていました。しかし、被災した自治体自身も役場が機能しなくなったり、人手が足りなくなったりして、復旧が遅れることがありました。
この道路に指定されていると、もし管理している自治体が手一杯になった場合、国(国土交通省)が代わりに乗り出して、「道路の啓開(ガレキをどけて通れるようにすること)」や「復旧工事」を直接行ってくれます
物流会社にとっては「このルートを選んでおけば、いざという時に一番早く通れるようになる」という安心感がある道路なのです。
【関東圏】重要物流道路の指定状況
「重要物流道路」といっても、すべての主要道路が対象というわけではありません。以下のマップにある赤い線の区間が、現在運用されているネットワークです。自社の主要ルートが含まれているか、まずは全体像を把握しておくことが重要です。

出典:国土交通省:重要物流道路 供用区間 【関東】(PDF)
海コン事業者の大きな利点:40ft背高の「許可不要」特例
国際海上コンテナを取り扱う事業者にとってのメリットが「特殊車両通行許可が不要になる」という特例です。
通常なら許可が必要な車両が「許可なし」で走れる
通常、高さ3.8mを超える車は、道路を走るために「特殊車両通行許可」が必要です。しかし、重要物流道路の中の特定区間では、40ftの背高(ハイキューブ)コンテナ車に限って、「許可証なし」で走って良いことになっています。
これを活用すれば、申請して許可が出るまでの数週間を待つ必要がなく、「今日仕事が入って、今日すぐに走る」ことができます。
もう一つの見逃せないポイント:44トンまで走行可能
許可不要区間では、高さだけでなく総重量も最大44トンまで引き上げられています。通常、一般的制限値は20〜25トンですが、この区間であればフル積載の40ft背高コンテナでも、重量オーバーを気にすることなく走行可能です。
絶対に守るべき3つの条件
ただし、以下の条件を満たす必要があります。

【注意点】 許可が不要な区間であっても、橋や高架(高速道路を除く)を通る際は、「徐行」と「連行禁止」(2台以上の特車が同時に同じ橋に乗らない)というルールは必ず守らなければなりません。
2025年最新動向:ダブル連結トラックも「即時確認」の対象に
2025年最新動向:ダブル連結トラックも「即時確認」の対象に
2025年(令和7年)3月から、制度が更新され、「ダブル連結トラック(全長25m級)」を使う会社にとって利便性が向上しました。
これまでの課題:審査に時間がかかりすぎた
ダブル連結トラックは特殊な車両のため、これまでは許可申請をしても審査に時間がかかっていました。
新しい変化:システムが瞬時に判定してくれる
「特殊車両通行確認制度」の対象になりました。これは、事前に車両を登録しておけば、パソコン上でルートを入力すると「システムが瞬時にOK/NGを判定してくれる」仕組みです。
つまり、重要物流道路などの主要ルートであれば、審査待ち時間なしで、すぐに回答をもらって走り出せるようになったのです。
実務上の注意点:メリットを打ち消す「未収録道路」の課題
重要物流道路を活用したルート選びは効率的ですが、注意すべき点があります。それが目的地周辺の「未収録道路」です。
最後の数メートルで話が変わる
実務で悩ましいのが、目的地周辺の「未収録道路」です。どんなに重要物流道路を走ってきても、最後の最後、倉庫や工場に入るまでの「わずか数メートル」がシステムに登録されていない道だと、話が変わります。
許可不要が「一転して数ヶ月待ち」に
重要物流道路の恩恵で「許可不要」で走れるルートを組んでも、目的地直前がデータベース未収録の市道などであれば、その区間については従来通りの申請が必要です。
個別審査の発生
接続する未収録道路で個別審査(協議)が発生した場合、その部分の許可が出るまで通常2〜3ヶ月待たされることになり、特例のメリットが打ち消されてしまいます。
【朗報】2025年改修で「接続点」が自由に選べるように
しかし、解決策が出てきました。2025年3月のシステム改修により、この「ラストワンマイル」と「重要物流道路」をつなぐ接続交差点を、地図上で自由に指定できるようになりました。
これまで:システム任せで「通行不可」になることも
これまではシステムが自動探索したルートでしか申請できず、現場への入り口がうまく繋がらないことがありました。
これから:意図したルートで即時回答が得られる
今後は地図上で接続点をクリックして指定することで、意図したルートでの申請(確認の求め)が可能になり、即時回答が得られる可能性が高まります。
いかに「指定された道路」だけで経路を完結させるか、あるいは適切な接続点を選ぶか。この事前のルート策定が、実務上の鍵となります。

まとめ
重要物流道路は、災害時の復旧体制が整っているだけでなく、40ft背高コンテナ車であれば許可不要で走れる区間があるなど、実務上のメリットが複数あります。特に海コン事業者にとっては、高さ4.1m・総重量44tまで対応可能という点が日常業務の効率化に直結します。
2025年3月のシステム改修では、ダブル連結トラックの即時確認対応に加え、ラストワンマイルと重要物流道路の接続点を自由に指定できる機能が追加されました。これにより、これまで未収録道路が壁となっていたケースでも、適切な接続点を選ぶことで即時回答が得られる可能性が広がっています。
ただし、ETC2.0の登録や書類の携帯といった条件を満たさなければ特例は使えません。また、橋梁での徐行・連行禁止といったルールも厳守する必要があります。制度を正しく理解し、自社のルートに合った活用方法を検討することが重要です。



