古物商許可の申請中に仕入れはできる?許可前に進められる開業準備

古物商許可の申請中は、再販売を目的とした中古品の仕入れを始められません。許可前に初期在庫を買い集めると、営利目的で繰り返す営業の一部として、無許可営業になるおそれがあるためです。申請書を出す前も、出したあとも同じです。

一方で、仕入れ先の下調べや備品の購入は、申請中から進められます。販売ページの下書きと本人確認の手順づくりも、この間に済ませられます。許可が下りたその日に最初の仕入れへ入れるよう、早めに取りかかりましょう。

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申請書を出しても仕入れは始められない

警察署が申請書を受理しても、許可が出たことにはなりません。古物営業法は、古物を売買する営業に、都道府県公安委員会の許可を求めています。

解釈運用基準では、営利の目的で同じ種類の取引を繰り返すことを営業とし、副業や内職も営業に含めています。許可が必要かどうかは、購入の回数ではなく、繰り返す意思と取引の実情が基準です。

たとえば、申請書を出した直後に、リサイクルショップやオークションで中古カメラを初期在庫として買い集めたとします。販売は許可後に始めるつもりでも、再販売のために買い受けた時点で、営業の始まりと判断されるおそれがあります。

少量だけ、1回だけといった例外は、法令にも解釈運用基準にも定められていません。

許可前にできる準備とできない取引

許可を待つ間に止めるのは、仕入れと、販売の委託を受けることです。それ以外の準備は進められます。

取引・準備許可前の扱い注意点
再販売用の中古品を買う許可後再販売のための買い受けは、営業の始まりと判断される
中古品の購入契約を結ぶ許可後売買契約は合意の時点で成立するため、発注の確定も許可後
販売の委託を受ける許可後委託を受けて売る取引も古物営業に含まれる
仕入れ先を探し、価格と条件を聞く申請中も可注文や契約に進まない範囲
梱包材、作業机、撮影機材をそろえる申請中も可転売用ではなく、自分の事業で使う備品として買う
販売サイトや商品ページを準備する申請中も可古物の出品や注文の受け付けなど、取引の開始は許可後
本人確認の手順と台帳の様式を用意する申請中も可仕入れの方法に合わせて作る

同じ中古品でも、事務所で使うデスクを買うことと、転売する商品として仕入れることは扱いが違います。自分で使う備品として買うなら、許可前でも問題ありません。

在庫を買い取らず、販売を引き受けて売る委託販売も、古物営業に含まれます。代金のやり取りが後になっても、許可前に販売の委託を受け始めるのは避けてください。

取り置きと後払いの取引

仕入れ先が商品を取り置き、支払いは許可後でよいと提案することがあります。売買契約は、双方が合意した時点で成立します。代金の支払いや品物の受け取りが許可後でも、契約は許可前に結んだことになります。

許可前の契約が古物営業にあたるかどうかは、公式の案内に書かれていないため、申請先の警察署に相談してください。発注の確定と正式な注文は許可後にしましょう。許可前は、価格と在庫数、取引条件を聞くところまでです。

仕入れ先には、たとえば次のように伝えます。

現在、古物商許可を警察署に申請中です。価格と取引条件を先にうかがい、許可後にあらためて正式に発注します。現時点では、注文の確定と代金のお支払いはできません。

仕入れの時期と許可申請でお困りなら

仕入れ先と条件の話に入る時点で、仕入れの段取りと許可申請の準備を並行して始めることになります。発注をいつ確定させてよいか、開業予定日までに許可が下りるかも含めて、当事務所へご相談ください。

新品の仕入れと私物の売却

メーカーや一次卸から、まだ一般消費者の手に渡っていない新品を直接仕入れて売る取引は、古物営業の対象外です。

一方、フリマアプリやオークションの「新品」「未開封」でも、小売店などから消費者の手に渡った品は古物にあたります。解釈運用基準は、使われていない物品でも古物に含めています。

自分で使っていた服や家具を処分するために売るだけなら、古物商許可は不要です。申請中でも、私物の処分を止める必要はありません。

ただし、最初から転売するつもりで買った品を、あとから私物だったことにはできません。自分で使うために買ったのか、販売用の在庫として買ったのかは、購入した時点の目的で決まります。

許可が下りるまでの準備

申請から仕入れ開始まで

標準処理期間 40日
STEP 1 申請内容を決める 営業所・管理者・取扱品目・欠格事由を確認
STEP 2 警察署へ申請 申請書と必要書類を提出
STEP 3 審査中に準備 仕入れ先・本人確認・古物台帳・販売ページを準備
STEP 4 許可後に仕入れ開始 発注を確定し、中古品の仕入れを始める
40日は行政庁の休日を除く標準処理期間です。開業日や仕入れ開始日は、許可後に確定するのが安全です。

東京都の審査基準では、標準処理期間は40日で、行政庁の休日は含みません。カレンダーの日数にすると、2か月近くが目安です。

40日はあくまで目安なので、開業日や仕入れ先との取引開始日は、許可証を受け取ってから決めましょう。

まだ申請書を出していない方は、申請書に書く内容から先に進めます。営業所と管理者、取り扱う13品目、欠格事由の4点です。管理者を具体的に決めていないと、許可は下りません。

許可後の最初の仕入れでは、本人確認と古物台帳で手間取ります。店頭と出張、宅配のどの方法で仕入れるかで、本人確認のやり方が変わります。

宅配買取やフリマアプリのように顔を合わせない取引では、身分証の画像を受け取るだけでは本人確認になりません。フリマやオークションで仕入れる予定なら、本人確認の方法を先に調べておきましょう。

古物台帳は取引のたびに記録するため、1週間分や1か月分をまとめて書くことはできません。古物台帳の書き方を参考に、Excelなどの管理表を作っておくと、許可後すぐに使えます。

ホームページや販売サイトで取引するなら、URLの届出が必要です。URLは許可申請書に書き、使う権限があることを示す資料(疎明資料)も出します。申請時にURLが決まっていなければ、許可を受けてから変更届で追加できます。

許可前に仕入れてしまったとき

許可が出る前に中古品を買ってしまったときは、追加の仕入れをすぐにやめ、取引の事実を後から説明できる形で残します。

項目残しておく資料
いつ買ったか注文日、契約日、代金の支払日、商品の受取日
誰から買ったか店舗名、相手の氏名やアカウント、取引履歴の画面
何のために買ったか自分で使う品か、再販売用の在庫か
どれだけ買ったか商品名、型番、数量、金額、回数
すでに売ったか出品履歴、販売日、受取額、売上の記録
注文だけ入れたか合意した日付、キャンセルの可否、支払予定日、受取予定日

取引履歴を消したり、領収書の日付を許可後の日付に書き換えたりしてはいけません。許可が下りても、許可前にした取引は、許可なしにした取引のままです。

今後の申請の手続きは当事務所に、過去の取引が無許可営業にあたるかどうかは法律の専門家に相談してください。

よくある質問

会社員の副業でも、申請中の仕入れはできませんか?

できません。本業が別にあっても、営利の目的で繰り返す取引は、副業や内職でも古物営業にあたります。副業で始める場合も、仕入れは許可を受けてからにしてください。

家族が古物商許可を持っていれば、その名義で先に仕入れられますか?

できません。古物商許可は、許可を受けた本人(法人なら法人)の営業にだけ使えます。家族の許可を借りて仕入れると、自分は無許可営業になり、貸した家族も名義貸しにあたります。自分で営業するなら、自分名義の許可が必要です。

申請したあとで、営業所や管理者を変えたくなったらどうしますか?

申請先の警察署に相談してください。申請中の変更の手順は公式の案内に書かれていないため、変えたい内容が決まった時点で早めに伝えましょう。取り扱う品目は、許可を受けたあとに変更して増減することもできます。

古物商どうしの取引でも、仕入れ時の本人確認は必要ですか?

はい。許可を受けたあとは、リサイクルショップなど古物商から買うときも、本人確認と台帳への記録が必要です。本人確認では、相手方の住所、氏名、職業、年齢を調べます。1万円未満の取引は免除される品目もありますが、書籍やゲームソフト、CD・DVDは1万円未満でも必要です。

許可が下りたあと、営業所に用意するものはありますか?

はい。決められた様式の標識を、営業所に掲げます。営業所の入口など、通りから見て分かる場所に出してください。営業所が複数あるなら、1か所ずつ必要です。

まとめ

申請中は、再販売用の中古品の仕入れも、委託販売の受け付けも始められません。取り置きや後払いの形でも売買契約は合意の時点で成立するため、発注の確定は許可後に回しましょう。一方で、仕入れ先の下調べや備品の購入、販売ページの下書きは申請中から進められます。

新品と私物は、一度消費者の手に渡ったか、自分で使うために買ったかで扱いが分かれます。許可前に仕入れてしまったときは、取引の記録をそのまま残し、法律の専門家に相談してください。申請の流れと必要書類は、古物商許可を自分で申請する手順にまとめています。

参考資料・公式情報

本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。

申請中の仕入れと開業準備でお困りならご相談ください

「オープン予定日までに許可が間に合うか」「開業準備をどこまで許可前に進めてよいか」と迷った段階で、ご相談ください。判断だけのご相談でも受け付けています。

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