【特車申請・経路作成③】自動探索におけるルート選択基準と経由地設定の手順

コラム

特車申請で経路を作成する際、「申請を出したが審査に1ヶ月以上かかっている」「システムが遠回りのルートを引いてしまい修正できない」といった問題に直面することがあります。

こうした問題の多くは、システムの「経路探索ロジック」を理解し、適切なルート選択を行うことで解消できます。

本記事では、前回までの基礎知識を踏まえ、システムが提案する「4色のルート」の正しい選び方と、2025年3月に実装された「ラストマイル設定」機能の活用法を解説します。これらを理解することで、手戻りを防ぎ、許可証取得までの期間を短縮することが可能です。

スタートとゴールは「黒丸」が前提

経路作成の大前提として、出発地と目的地には「黒丸(収録交差点)」を設定する必要があります。

前回の記事で解説した通り、黒丸は道路データが完備された交差点であり、システムによる自動計算が機能します。一方、青丸(未収録交差点)を選択すると自動計算ができず、手動での接続が必要となります。

工場の入り口が青丸や道路の途中にある場合でも、まずは最寄りの黒丸をスタート・ゴール地点として設定し、自動計算を成功させることが先決です。工場から黒丸までの短い距離は、後から手動でつなぐことで対応可能です。

【2025年新機能】「ラストマイル設定」で現場近くのルートを自由に指定

これまで申請者を悩ませてきたのが、「出発地周辺の狭い道を、システムが勝手に遠回りさせてしまう」という問題でした。しかし、2025年3月のシステム改修により、この問題は大幅に改善されています。

① 「ラストマイル経由地」が自由に選べるように

以前は、国道などの広い道路(重要物流道路)に出るまでのルートはシステム任せで、変更が困難でした。

新機能では、重要物流道路以外の収録道路上の交差点を、右クリックで「経由地」として設定できるようになりました。

現場を知っている運行管理者が、「この道を通って国道に出たい」という意図通りのルートをシステムに指示できるため、無意味な迂回を強制されることがなくなります。

② 「接続交差点」も指定可能に

出発地から最初に合流する広い道路(重要物流道路等)との「接続交差点」も、事前に指定できるようになりました。

「いつも使っている○○交差点から国道に入りたい」という指定が可能になり、実態に即したルート作成が容易になっています。

③ 探索条件の使い分けが重要

経路探索の条件設定にも、新たなオプションが追加されています。

ラストマイル延長が最短となる経路:
狭い道(重要物流道路以外)はなるべく短く済ませて、すぐに広い道に出たい場合に選択します。

全経路が最短となる経路:
トータルの走行距離を短くしたい場合に選択します。ただし、狭い道を長く走るルートが提案されるリスクもあります。

この新機能を使いこなすことで、「通りたい道」と「システムが許可できる道」のギャップを埋めることが可能になります。

※補足:新機能の適用について
この「ラストマイル設定」や「接続交差点指定」は、主に「特殊車両通行確認制度(新制度)」「特車ゴールド」などの自動審査・即時回答を目指すシステムにおいて、これまでネックだった「融通の利かなさ」を解消するために実装された機能です。
これにより、新制度の使い勝手が大幅に向上しています。

「赤・桃・緑・黒」の4ルートから正解を選ぶ

出発地と目的地(黒丸)を決め、探索ボタンを押すと、システムは最大4つのルートを提案します。ここで地図上に表示される「線の色」には、審査スピードを左右する重要な意味があります。

【重要】 ここでの色は、前回解説した「道路の色」(道路管理者を示す緑・オレンジ・グレーなど)ではなく、計算結果として表示されるルート線の色を指します。

赤色ルート:大型車誘導区間優先

特徴:
高速道路や主要国道など、大型車が通りやすい「大型車誘導区間」を優先的に選びます。

注意点:
広い道ばかり選ぼうとするため、目的地の手前でルートが途切れてしまう(未収録道路につながらない)ケースがあります。「申請経路確定」ボタンが押せない場合は、このルートが選択されている可能性があります。

桃色(ピンク)ルート:個別審査回避 ★推奨

特徴:
「道路管理者間の協議(個別審査)」が発生しないルートを優先して探索します。

推奨理由:
最も審査が早いルートです。

個別審査(協議)とは、システムでは判断できず、職員が個別に書類を回して審査することを指します。これが発生すると、許可まで数週間~数ヶ月かかります。

桃色ルートは、この「協議」を避けるよう設計されているため、多少距離が伸びたとしても、結果的に最短で許可証を手にできる可能性が最も高い選択肢です。

緑色ルート:個別審査&夜間条件回避

特徴:
ピンクルートの条件に加え、「夜間通行条件(D条件)」も避けようとします。

使い所:
昼間に堂々と走りたい場合に有効です。ただし、条件が厳しくなるため、ルートが見つからないこともあります。

黒色ルート:最短経路

特徴:
距離が一番短いルートです。

注意点:
距離は短いですが、狭い道や複雑な交差点を通るルートになりがちです。その結果、「個別審査(協議)」や「通行不可」判定を受けるリスクが最も高いルートでもあります。

よほどの理由がない限り、黒色ルートは避けるのが無難です。

まとめ:最短許可を狙う「3つのステップ」

特車申請のシステムを攻略するポイントをまとめると、以下の3ステップになります。

1. 黒丸をつなぐ

スタートとゴールは必ず「収録交差点(黒丸)」を選ぶ。

2. 新機能を活用

2025年実装の「ラストマイル経由地設定」で、現場近くのルートを意図通りにコントロールする。

3. 桃色を選ぶ

提示されたルートの中から、迷わず「桃色(個別審査回避)」を選ぶ。

システムは単なる地図ソフトではなく、審査の可否を判定する仕組みそのものです。「自分が通りたい最短ルート(黒色)」を押し通すのではなく、「システムが許可しやすいルート(桃色)」を提示することが、特車申請の許可期間を短縮し、業務効率を最大化する鍵となります。