特車申請の個別審査|発生原因・審査期間・必要書類と対処手順

個別審査の原因となる狭小幅員の地方道と老朽化した橋梁

特車申請では、通常の算定だけでは通行可否を判断できず、道路管理者による個別審査が必要になることがあります。

代表的なのは、超寸法・超重量車両や、算定結果で個別審査が必要とされた道路構造物を通る場合です。

個別審査にかかる期間は一律ではありません。車両の寸法・重量、道路構造、追加資料の内容、道路管理者間の協議などによって変わります。

新規・変更申請の標準処理期間は3週間以内ですが、超寸法・超重量車両などはこの標準処理期間の前提から外れます。

特車申請の審査期間については別記事で詳しく解説しています。

目次

個別審査とは

個別審査は、システムによる通常の算定だけでは通行可否を判断できない車両や道路について、道路管理者が個別に検討する審査です。

特車申請では、道路情報便覧に収録された道路情報と車両諸元を使って、橋梁、交差点、幅員などに対する通行条件が算定されます。

しかし、車両が通常の算定範囲を超えていたり、道路構造物について個別の検討が必要になったりすると、システムの算定結果だけでは処理できません。

このような場合に、車両の重量や寸法、道路構造、走行方法などを個別に検討します。

必要に応じて、申請先とは別の道路管理者との協議も行われます。

超寸法・超重量車両では個別審査が必要になる

個別審査が発生する代表例が、超寸法車両と超重量車両です。

通常の許可限度算定の範囲を超える車両では、システムによる通常の算定だけで通行可否を決めることができません。

例えば、大型クレーンや大型機械の輸送などで車両の重量が大きい場合は、橋梁への影響を個別に検討することがあります。

長さや幅が大きい車両では、交差点や屈曲部を実際に通過できるか、旋回軌跡などを使って判断する場合があります。

ただし、重セミやポールトレーラだから必ず個別審査になるわけではありません。

車種名ではなく、実際の車両諸元と申請経路に対する算定結果によって決まります。

重セミトレーラの特車申請
ポールトレーラの特車申請

橋梁や交差点が個別審査箇所になることもある

車両そのものが超寸法・超重量でなくても、経路上の道路構造物について個別審査が必要になることがあります。

重量車両では橋梁、長さや幅の大きい車両では交差点や屈曲部などが問題になりやすい箇所です。

ただし、

古い橋だから個別審査
道幅が狭いから個別審査

と単純に決まるわけではありません。

道路情報が収録され、通常の算定で通行条件を出せる場合もあります。

簡易算定の結果で個別審査箇所が表示された場合は、その道路構造物について通常の算定だけでは処理できないことが分かります。

未収録道路と個別審査は同じではない

個別審査と混同しやすいのが未収録道路です。

未収録道路とは、特殊車両通行許可の算定に必要な道路情報が道路情報便覧に収録されていない道路をいいます。

未収録道路を含む経路では、その道路を管理する自治体などへの個別協議が必要になることがあります。

一方、このページで扱う個別審査は、超寸法・超重量車両や道路構造物について、通常の算定だけでは通行可否を判断できない場合の審査です。

両者は同じ申請の中で同時に発生することもありますが、仕組みは分けて考えた方が分かりやすくなります。

特車申請の未収録道路とはで詳しく解説しています。

個別審査にはどれくらいかかる?

個別審査に「1か月」「3か月」といった一律の期間はありません。

通常の特車申請には、一定の条件を満たす場合の標準処理期間が設けられています。

申請内容期間の考え方
新規・変更申請標準処理期間は3週間以内
更新申請標準処理期間は2週間以内
超寸法・超重量車両標準処理期間の前提から外れる
個別審査・個別協議を伴う場合審査内容によって変わる

個別審査では、道路構造の検討や追加資料の提出、道路管理者とのやり取りなどが加わることがあります。

そのため、標準処理期間だけを前提に運行日を決めるのは避けた方が安全です。

特に搬入日が決まっている工事案件では、車両と経路が決まった段階から早めに準備を進めます。

個別審査で追加資料を求められることがある

通常の申請書類だけでは審査に必要な情報が不足する場合、追加資料を求められることがあります。

内容は車両や審査箇所によって異なりますが、代表的なものに次のような資料があります。

  • 理由書
  • 運行計画書
  • 車両軌跡図
  • 車両四面図
  • 積載状態が分かる図面
  • 応力計算書・強度計算書
  • 道路管理者から指定された資料

すべての個別審査で同じ書類が必要になるわけではありません。

超寸法車両では旋回軌跡図や運行計画書、重量が大きい車両では橋梁への影響を検討する資料など、審査内容に応じて必要書類が変わります。

理由書・運行計画書

通常の許可限度を超える寸法や重量で通行する必要がある場合、なぜその状態での輸送が必要なのかを説明する資料を求められることがあります。

分割できない貨物なのか、車両の構造上避けられない寸法なのかなど、申請内容に応じて整理します。

車両軌跡図

長さや幅の大きな車両では、交差点や屈曲部を通過できるかを見るために車両軌跡図を使うことがあります。

車両の最小回転半径、軸距、オーバーハングなどが通過可否に影響します。

特殊車両の最小回転半径についても別記事で解説しています。

応力計算書など

重量の大きい車両では、橋梁への影響を個別に検討するため、応力計算書などを求められることがあります。

こうした資料はすぐに用意できるとは限らないため、必要になる可能性がある案件では早めに動くことが重要です。

個別審査の結果、通行条件が付くことがある

個別審査になったからといって、不許可になるとは限りません。

道路構造への影響や安全な通行方法を検討したうえで、条件付きで許可される場合があります。

例えば、徐行、誘導車、通行時間帯、橋梁上の走行位置などの条件が付くことがあります。

一方、車両や道路の条件から通行が難しいと判断される場合もあります。

個別審査だから必ずD条件になるわけでも、必ず夜間走行になるわけでもありません。

実際に付された通行条件A〜Dや許可証の内容に従って走行します。

誘導車については特殊車両の誘導車とは、夜間条件については特殊車両の夜間通行条件で詳しく解説しています。

申請前に簡易算定を使う

申請支援システムの簡易算定を利用すると、提出前に車両と経路を使った算定結果を見ることができます。

経路上に個別審査が必要な箇所がある場合、帳票に個別審査箇所が表示されることがあります。

別の経路でも現場へ到達できる場合は、算定結果を比較しながら経路を検討できます。

ただし、個別審査を避けること自体を目的にするのではなく、実際に安全に通行できる経路を選ぶことが前提です。

また、簡易算定の結果だけで許可が保証されるものでもありません。

特車申請の簡易算定については別記事で詳しく解説しています。

大型案件では事前相談も有効

超寸法・超重量車両など、通常の申請より複雑な案件では、提出前に申請先へ相談しておくと進めやすくなります。

特に、特殊な車両構成、大型機械の輸送、橋梁の個別検討が想定される案件では、どのような資料が必要になるかを早い段階で把握しておくことが重要です。

追加資料の作成や外部への計算依頼が必要になる場合もあるため、運行直前になってから着手すると間に合わないことがあります。

個別審査と協議の違い

「個別審査」と「個別協議」は似た言葉ですが、意味は異なります。

個別審査は、通常の算定だけでは判断できない車両や道路構造について、通行可否や条件を個別に検討することです。

個別協議は、申請先とは別の道路管理者による審査が必要な場合に、道路管理者間で照会・回答を行う手続きです。

個別審査の過程で個別協議が発生することもあります。

審査が長引いている場合は、「個別審査なのか」「他の道路管理者への協議を待っているのか」を分けて考えると状況を整理しやすくなります。

特車申請の協議については別記事で詳しく解説しています。

よくある質問

個別審査になると不許可ですか?

個別審査になっただけで不許可が決まるわけではありません。

道路構造への影響や通行方法を個別に検討し、条件付きで許可される場合もあります。車両と道路の条件によっては通行できない場合もあります。

個別審査にはどれくらいかかりますか?

一律の期間は決まっていません。

車両の寸法・重量、審査する道路構造物、追加資料、道路管理者間の協議などによって変わります。

超寸法・超重量車両などは、通常の3週間という標準処理期間の前提から外れます。

未収録道路があると必ず個別審査になりますか?

未収録道路では道路情報をシステムだけで算定できないため、道路管理者との個別協議などが必要になることがあります。

超寸法・超重量車両などに対する個別審査とは分けて考えた方が分かりやすくなります。

申請前に個別審査になるか分かりますか?

簡易算定の結果から、経路上に個別審査箇所があることが分かる場合があります。

超寸法・超重量車両などでは、申請前に道路管理者へ相談した方がよいケースもあります。

個別審査ではどんな書類が必要ですか?

審査内容によって異なります。

理由書、運行計画書、車両軌跡図、四面図、応力計算書などを求められることがありますが、すべての案件で同じ資料が必要になるわけではありません。

個別審査を避けるために経路を変えてもいいですか?

実際に安全に通行できる別経路がある場合は、比較することができます。

ただし、審査を避けることだけを目的に無理な経路を設定するのではなく、車両寸法、重量、旋回、道路幅員などを含めて通行可能な経路を選びます。

まとめ

特車申請の個別審査は、通常の算定だけでは通行可否を判断できない車両や道路について、道路管理者が個別に検討する審査です。

代表的なのは、超寸法・超重量車両や、算定結果で橋梁・交差点などに個別審査箇所が生じた場合です。

個別審査にかかる期間は一律ではなく、車両や道路構造、追加資料、道路管理者間の協議などによって変わります。

追加資料として、理由書、運行計画書、車両軌跡図、応力計算書などを求められることもあります。

申請前に簡易算定を利用すると、経路上の個別審査箇所を把握できる場合があります。複雑な車両や重量の大きい案件では、申請先への事前相談も有効です。

特車申請の審査期間については特車申請の審査期間、道路管理者間の協議については特車申請の協議で詳しく解説しています。

特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。

個別審査が想定される車両や経路でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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