建設業をやめる場合、または許可を受けている業種の一部を続けない場合には、建設業許可の廃業届を提出します。
提出期限は、廃業の事由が発生した日から30日以内です。
ただし、法人成り、事業譲渡、合併、会社分割、相続などで建設業を続ける人や会社がいる場合、廃業届を出す前に承継認可の検討が必要になります。
先に全部廃業をしてしまうと、それまでの許可は取り消されます。その後、法人や後継者が建設業を続けるには、新規申請からやり直さなければならないケースもあります。
この記事では、東京都知事許可を前提に、廃業届が必要になる場面、届出者、提出期限、全部廃業と一部廃業の違いを解説します。
建設業許可の廃業届とは
建設業許可の廃業届とは、許可を受けた建設業を廃止した場合などに、その事実を許可行政庁へ届け出る手続きです。
一般的な税務署への廃業届とは別の手続きであり、建設業法に基づいて提出します。
廃業届には、次の2種類があります。
・許可を受けたすべての業種をやめる「全部廃業」
・複数の許可業種のうち、一部だけをやめる「一部廃業」
全部廃業を行うと、廃業届に基づいて建設業許可が取り消されます。
一部廃業の場合は、廃止した業種だけが許可から外れ、残る業種の許可は継続します。
廃業届が必要になる5つのケース
建設業許可の廃業届が必要になるのは、主に次の5つです。
- 個人事業主が死亡したとき
- 法人が合併によって消滅したとき
- 法人が破産手続開始の決定によって解散したとき
- 法人が合併・破産以外の理由で解散したとき
- 許可を受けた建設業を廃止したとき
5つ目の「建設業を廃止したとき」には、すべての許可業種をやめる場合だけでなく、一部の業種だけをやめる場合も含まれます。
たとえば、とび・土工工事業と内装仕上工事業の許可を持っており、内装仕上工事業だけをやめる場合には、内装仕上工事業について一部廃業を行います。
なお、個人事業主の死亡や法人の合併であっても、必ず廃業届を出すとは限りません。
相続や合併によって建設業を引き継ぐ場合には、承継認可を利用できる可能性があります。
廃業届を提出する人
廃業届を提出する人は、廃業の理由によって異なります。
| 廃業の理由 | 届出者 | 主な確認資料 |
|---|---|---|
| 個人事業主の死亡 | 相続人 | 戸籍関係書類など |
| 合併による法人の消滅 | 消滅した法人の役員であった人 | 閉鎖事項証明書など |
| 破産による解散 | 破産管財人 | 破産管財人の資格を示す書類など |
| 合併・破産以外の解散 | 清算人 | 登記事項証明書など |
| 建設業の廃止 | 個人事業主本人、法人の役員等 | 本人確認書類、登記関係書類など |
個人事業主が死亡した場合、本人ではなく相続人が届け出ます。
法人が破産した場合には、原則として破産管財人が提出します。会社を通常清算する場合の届出者は、清算人です。
廃業した会社の元代表者であれば、常に提出できるというわけではありません。廃業理由に応じて、届出者を判断する必要があります。
全部廃業と一部廃業の違い
全部廃業では、すべての許可が取り消される
全部廃業は、許可を受けている建設業をすべてやめる場合の手続きです。
廃業届を提出すると、許可行政庁によって建設業許可が取り消されます。将来、再び許可が必要な工事を請け負う場合には、新規申請が必要です。以前の許可をそのまま再開することはできません。
一部廃業では、廃止する業種だけが取り消される
一部廃業は、複数の許可業種のうち、一部だけをやめる場合の手続きです。
たとえば、次のようなケースです。
・とび・土工工事業は続ける
・内装仕上工事業だけをやめる
このケースでは、内装仕上工事業だけが許可から外れます。とび・土工工事業の許可は継続し、許可番号や有効期間もそのままです。
東京都で一部廃業を行う場合には、廃業届に加えて、変更届出書の第二面などが必要になります。
また、廃業する業種に伴って営業所技術者等の担当業種が変わる場合、営業所技術者等に関する届出が必要になることもあります。
どの業種を残し、どの業種を廃止するのかを整理してから手続きを進めましょう。
廃業届の提出期限は30日以内
廃業届は、廃業の事由が発生した日から30日以内に提出します。
起算日となるのは、たとえば次の日です。
・個人事業主が死亡した日
・法人が合併によって消滅した日
・破産手続開始の決定によって解散した日
・会社が解散した日
・許可を受けた建設業を廃止した日
常勤役員等や営業所技術者等が退任し、後任を置けなくなった場合には、許可要件を満たせません。
このケースでは、実際に要件を欠いた日を基準に、一部廃業または全部廃業の手続きを進めます。
後任を探している間であっても、要件を欠いた状態のまま許可を維持できるわけではありません。
期限を過ぎた場合も放置しない
廃業届を提出しなかった場合、10万円以下の過料の対象になります。
過料は、拘禁刑や罰金とは異なる行政上の秩序罰です。
期限を過ぎている場合でも、廃業届を出さなくてよいわけではありません。放置せず、速やかに提出しましょう。
東京都知事許可の主な提出書類
東京都知事許可の場合、基本となる書類は次のとおりです。
・廃業届(様式第二十二号の四)
・一部廃業の場合は変更届出書の第二面
・廃業理由と届出者の関係を示す資料
添付する資料は、廃業理由によって異なります。
個人事業主の死亡であれば戸籍関係書類、法人の解散であれば登記事項証明書、破産であれば破産管財人の資格を示す書類などが必要です。
提出前に、次の内容を整理しておくと手続きが進めやすくなります。
・全部廃業か一部廃業か
・廃業年月日
・廃止する許可業種
・届出者は誰か
・廃業理由を示す書類があるか
・営業所技術者等の変更を伴うか
なお、廃業届に行政手数料はかかりません。
廃業届を出す前に承継を検討する
建設業を完全にやめる場合には、廃業届を提出します。
一方、法人成り、事業譲渡、合併、会社分割、相続などで、別の人や会社が建設業を続ける場合には、承継認可を利用できる可能性があります。
主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 承継認可 | 廃業届 |
|---|---|---|
| 主な場面 | 法人成り、事業譲渡、合併、分割、相続 | 建設業の終了、一部業種の廃止 |
| 許可の扱い | 建設業者としての地位を引き継げる場合がある | 全部廃業では許可が取り消される |
| 手続きの時期 | 事業譲渡・合併・分割は事前、相続は死亡後30日以内 | 廃業事由の発生後30日以内 |
| 行政手数料 | かからない | かからない |
事業譲渡、合併、会社分割による承継は、効力発生日より前に認可を受けなければなりません。
相続の場合は、個人事業主の死亡後30日以内に認可申請を行います。
一部の許可業種だけを承継することはできない
承継認可を利用する場合、承継元が持つ許可業種を原則としてすべて引き継ぎます。
一部の業種だけを選んで承継することはできません。
引き継がない業種がある場合には、承継前にその業種について一部廃業を行います。
承継先も許可要件を満たす必要がある
承継認可を申請すれば、無条件で許可を引き継げるわけではありません。
承継先にも、次のような許可要件が求められます。
・経営業務の管理体制
・営業所技術者等
・財産的基礎
・社会保険への適切な加入
・欠格要件に該当しないこと
先に廃業届を出してしまうと、承継認可を利用できなくなる可能性があります。
建設業を続ける人や会社がいる場合には、廃業届を出す前に承継できるかを検討しましょう。
よくある質問
- 建設業許可の廃業届は、いつまでに出す必要がありますか?
-
廃業の事由が発生した日から30日以内です。
個人事業主の死亡、法人の解散、建設業の廃止など、廃業理由によって起算日が異なります。
- 期限を過ぎると罰則がありますか?
-
廃業届を提出しなかった場合、10万円以下の過料の対象になります。
期限を過ぎている場合でも、放置せずに提出しましょう。
- 一部の許可業種だけを廃業できますか?
-
可能です。
複数の許可業種を持っている場合、不要になった業種だけを一部廃業できます。残る業種の許可は継続します。避けやすくなります。
- 法人成りでは個人の許可を廃業するしかありませんか?
-
必ず廃業して新規申請をするとは限りません。
要件を満たせば、個人から法人への事業譲渡として、承継認可を利用できる可能性があります。
- 個人事業主が亡くなった場合、必ず廃業届になりますか?
-
必ず廃業届になるわけではありません。建設業を続けない場合は、相続人が廃業届を出します。一方で、相続人が事業を続ける場合は、相続による承継認可申請を使える可能性があります。どちらも死亡後30日以内の対応が必要です。
- 営業所技術者等が退職した場合はどうなりますか?
-
後任を置ける場合には、営業所技術者等の変更手続きを行います。
後任を置けず、許可要件を満たせなくなった場合には、該当業種の一部廃業または全部廃業が必要です。
まとめ
建設業許可の廃業届は、廃業の事由が発生した日から30日以内に提出します。
全部廃業ではすべての許可が取り消され、一部廃業では廃止する業種だけが許可から外れます。届出者や添付資料は、死亡、合併、破産、解散などの理由によって異なります。
法人成り、事業譲渡、合併、会社分割、相続などで建設業を続ける人や会社がいる場合には、廃業届を出す前に承継認可を検討しましょう。
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