元請から建設業許可を求められた。
500万円以上の工事を受けたい。
許可が必要な現場までに間に合うのか知りたい。
このような場面でまず気になるのは、許可が下りるまでの期間です。
東京都知事許可の場合、書類がそろって受理されてから許可までの目安は約30日です。ただし、その前の書類集めには別に時間がかかります。
経営業務の管理責任者等や営業所技術者の資料がそろっていれば、比較的短期間で申請に進めます。一方で、前職への依頼や古い工事書類の掘り起こしが必要な場合は、1〜2ヶ月ほど見ておきたいところです。
この記事では、東京都知事許可を中心に、建設業許可の申請手続き、必要書類、費用、期間を解説します。
建設業許可はいつから準備すればいいか
建設業許可は、申請したその日に許可が出る手続きではありません。
東京都知事許可の新規申請では、書類完備後の審査期間が約30日です。実際には、書類準備の期間も含めて逆算します。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 審査期間 | 書類完備後、約30日 |
| 書類準備 | 2〜6週間 |
| 資料取り寄せが多い場合 | 1〜2ヶ月 |
| 準備を始めたい時期 | 許可がほしい時期の2〜3ヶ月前 |
| 東京都知事許可の新規申請手数料 | 9万円 |
| 行政書士に依頼する場合 | 申請手数料とは別に報酬がかかる |
最初に決めたいのは、次の3つです。
| 最初に決めること | 内容 |
|---|---|
| 知事許可か大臣許可か | 営業所を置く都道府県で決まる |
| 一般建設業か特定建設業か | 元請として下請に出す金額で決まる |
| どの業種で取るか | 29業種の中から必要な業種を選ぶ |
この3つが決まると、必要書類と費用の見通しを立てやすくなります。
建設業許可の申請の流れ
建設業許可の申請は、区分決定、要件判定、書類準備、申請、審査という流れで進みます。
いきなり申請書を書き始めるより、先に申請区分と許可要件を固めるほうが遠回りしません。
区分を誤ると、申請先や必要書類が変わります。業種の選び方を間違えると、受けたい工事に対応できない許可になる場合もあります。
- 申請区分を決める
- 許可要件を満たすか見る
- 必要書類を集めて申請書を作る
- 東京都へ申請する
- 審査を経て許可通知書を受け取る
いきなり申請書を書き始めるよりも、先に申請区分と許可要件を整理するほうが進めやすくなります。
区分を誤ると、申請先や必要書類が変わります。業種の選び方を誤ると、受けたい工事に対応できない許可になることもあります。
書類完備後の審査期間は約30日。資料集めを含めると、許可が必要な時期から逆算して準備します。
申請中であっても、許可が下りる前に500万円以上の工事を請け負うことはできません。
最初に知事許可・一般建設業・取得業種を決める
建設業許可では、最初に3つの区分を決めます。
知事許可か大臣許可かは営業所の場所で決まる
知事許可と大臣許可は、工事をする場所ではなく、営業所をどこに置くかで決まります。
| 区分 | 営業所の置き方 | 申請先 |
|---|---|---|
| 知事許可 | 1つの都道府県内だけに営業所がある | 都道府県 |
| 大臣許可 | 2つ以上の都道府県に営業所がある | 国土交通大臣 |
営業所が東京都内だけにある場合は、東京都知事許可です。
東京と神奈川に営業所がある場合は、大臣許可になります。
ここで大事なのは、東京都知事許可でも全国の現場で施工できるという点です。知事許可だから東京都内の工事しかできない、という意味ではありません。
一般建設業か特定建設業かは下請に出す金額で決まる
一般建設業と特定建設業は、元請として工事を受けたあと、下請に出す金額で分かれます。
| 区分 | 判断の目安 |
|---|---|
| 特定建設業 | 元請として、1件の工事で下請に出す契約金額の合計が5,000万円以上。建築一式工事は8,000万円以上 |
| 一般建設業 | 上記に当たらない場合。下請として受けるだけなら、金額が大きくても一般建設業で足りる |
特定建設業は、財産要件や技術者要件が一般建設業より重くなります。
元請として大きな下請発注をする予定がなければ、まずは一般建設業で申請するケースが多いです。
許可業種は29業種の中から選ぶ
建設業許可は、「建設業」という1種類の許可ではありません。
土木一式、建築一式、大工、左官、とび・土工、電気、管、内装仕上、解体など、29業種ごとに許可を取る制度です。
たとえば、土木一式工事の許可を持っていても、500万円以上の舗装工事を単独で請け負う場合には、原則として舗装工事業の許可が必要です。
一式工事の許可があれば、すべての専門工事を自由に請け負えるわけではありません。
初回申請では、当面の受注に必要な業種を優先して選びます。あとから必要になった業種は、業種追加で広げる方法もあります。
申請前に押さえる5つの許可要件
建設業許可を取るには、書類を出す前に要件を満たしていなければなりません。
東京都知事許可の一般建設業で主に押さえる要件は、この5つです。
| 要件 | 見るポイント |
|---|---|
| 経営業務の管理責任者等 | 建設業の経営経験がある人がいるか |
| 営業所技術者 | 資格者または実務経験者が営業所に常勤しているか |
| 誠実性 | 請負契約で不正・不誠実な行為のおそれがないか |
| 財産的基礎 | 自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力があるか |
| 欠格要件に該当しないこと | 役員等が一定の処分歴・刑罰歴などに当たらないか |
特に時間がかかりやすいのは、経営業務の管理責任者等と営業所技術者の証明です。
資格証で示せる場合は比較的スムーズです。実務経験で示す場合は、過去の請負契約書、注文書、請求書、入金資料などを集める必要があります。
申請書、工事経歴書、財務諸表など。
資格者証、実務経験資料、契約書、残高証明書など。
登記事項証明書、納税証明書、営業所写真、賃貸借契約書など。
経管と営業所技術者の資料は、準備に時間がかかりやすいところです。
公的書類には有効期限があります。早く取りすぎると、申請時に使えないことがあります。
建設業許可の必要書類は大きく3種類
建設業許可の必要書類は多く見えますが、大きく分けると3種類です。
- 申請書そのもの
- 要件を満たすことを示す書類
- 会社や営業所に関する添付書類
細かい様式番号を覚える必要はありません。まずは、何のための書類なのかを押さえておけば十分です。
申請書そのもの
主な申請書類は次のとおりです。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 建設業許可申請書 | 申請の基本情報を記載する書類 |
| 工事経歴書 | 過去の工事実績を記載する書類 |
| 直前3年の工事施工金額 | 業種ごとの施工金額を記載する書類 |
| 誓約書 | 欠格要件などに該当しないことを誓約する書類 |
| 経営業務の管理責任者等の証明書 | 経管の要件を示す書類 |
| 営業所技術者の証明書 | 技術者要件を示す書類 |
| 財務諸表 | 貸借対照表・損益計算書など |
| 営業の沿革 | 会社や事業の沿革を記載する書類 |
以前は「専任技術者」という呼び方が一般的でしたが、現在の様式では「営業所技術者」という表記に変わっています。実務上は今も「専技」と呼ばれることがあります。
要件を満たすことを示す書類
申請書に書くだけではなく、要件を裏づける資料も必要です。
| 要件 | 主な資料 |
|---|---|
| 経営業務の管理責任者等 | 登記事項証明書、過去の役員経験を示す資料、工事請負契約書、常勤性を示す資料 |
| 営業所技術者 | 資格者証、卒業証明書、実務経験証明書、常勤性を示す資料 |
| 財産的基礎 | 直近の決算書、残高証明書、融資証明書など |
| 欠格要件 | 身分証明書、登記されていないことの証明書 |
| 社会保険 | 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入資料 |
経管や営業所技術者は、名前だけ借りることはできません。営業所に常勤していることも求められます。
会社・営業所まわりの添付書類
会社や営業所に関する書類も必要です。
| 書類 | 主な取得先・準備先 |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 法務局 |
| 定款の写し | 会社保管 |
| 納税証明書 | 都税事務所または税務署 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村 |
| 登記されていないことの証明書 | 法務局 |
| 住民票 | 住所地の市区町村 |
| 営業所の写真 | 自社で撮影 |
| 営業所の使用権原を示す書類 | 賃貸借契約書、建物登記事項証明書など |
公的書類には有効期限があります。早く取りすぎると、申請時に使えなくなることがあるため注意してください。
東京都知事許可の新規申請手数料は9万円
建設業許可の申請には、行政庁へ納める手数料がかかります。
| 申請の種類 | 東京都知事許可 | 大臣許可 |
|---|---|---|
| 新規 | 9万円 | 15万円 |
| 業種追加 | 5万円 | 5万円 |
| 更新 | 5万円 | 5万円 |
| 般・特新規 | 9万円 | 15万円 |
東京都知事許可の新規申請は、業種数にかかわらず9万円です。
たとえば、一般建設業で電気工事業と管工事業を同時に申請しても、東京都へ納める新規申請手数料は9万円です。
ただし、一般建設業と特定建設業を同時に申請する場合は、別々に手数料がかかります。般・特新規と業種追加を同時に行う場合も、手数料は合算されます。
行政書士に申請代行を依頼する場合は、この申請手数料とは別に報酬がかかります。当事務所では、東京都知事許可の新規申請について、代行報酬9.9万円〜(税込)を目安にしています。
東京都知事許可は窓口または電子申請で提出する
東京都知事許可の申請先は、東京都都市整備局の建設業課です。
紙で申請する場合は、都庁の窓口に提出します。書類が足りない、様式が古い、裏づけ資料が不足しているといった場合は、受理されずに差し戻されることがあります。
建設業許可は、建設業許可・経営事項審査電子申請システム、いわゆるJCIPでも申請できます。
電子申請は、窓口に行かずに申請できる点が便利です。ただし、GビズIDプライムの取得や、添付書類のPDF化が必要になります。
初めての申請で不安が大きい場合は、紙申請のほうが進めやすいこともあります。
許可が必要な時期から逆算する
受注予定がある場合は、許可が必要な時期から逆算します。
| 許可が必要な時期 | 動き出す目安 |
|---|---|
| 1ヶ月後 | 間に合わない可能性が高い |
| 2ヶ月後 | 書類がそろっていれば検討可能 |
| 3ヶ月後 | 比較的準備しやすい |
| それ以上先 | 要件の洗い出しから落ち着いて進められる |
「申請中だから500万円以上の工事を請け負える」という扱いにはなりません。許可が必要な工事は、許可日以降に契約する必要があります。
無許可で許可が必要な工事を請け負うと、建設業法違反となるおそれがあります。罰則として、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、またはその両方が科される場合があります。
許可後は標識・帳簿・決算変更届も必要になる
建設業許可は、取って終わりではありません。許可後にも、事業者として対応すべき手続きがあります。
| タイミング | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 許可後すぐ | 許可通知書を保管する | 許可番号や許可年月日は取引先から聞かれることがある |
| 許可後すぐ | 許可票を掲示する | 営業所や工事現場に標識を掲示する |
| 許可後すぐ | 帳簿を整備する | 営業所ごとに帳簿を備える |
| 毎事業年度後 | 決算変更届を提出する | 事業年度終了後4ヶ月以内に提出する |
| 5年ごと | 更新申請を行う | 有効期間満了前に手続きする |
特に忘れやすいのが、毎年の決算変更届です。
決算変更届を出していないと、5年後の更新申請で止まる場合があります。許可を取得したら、毎年の届出まで含めて管理しておきましょう。
よくある質問
- 申請中に500万円以上の工事を請け負ってもいいですか?
-
いいえ、許可が下りる前は請け負えません。
申請中であっても、許可を受ける前は無許可業者として扱われます。500万円以上の工事は、許可が下りたあとに契約する必要があります。
建築一式工事の場合は、1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事が基準です。
- 東京都知事許可でも全国の現場で工事できますか?
-
はい、できます。
知事許可と大臣許可の違いは、営業所をどこに置くかです。施工できる地域を制限するものではありません。
東京都内だけに営業所がある会社でも、東京都知事許可で全国の現場に対応できます。
- 複数業種を同時に申請すると手数料は増えますか?
-
一般建設業の新規申請であれば、業種数が増えても東京都へ納める手数料は9万円です。
ただし、一般建設業と特定建設業を同時に申請する場合は、別々に手数料がかかります。
- 許可が必要な現場が決まっている場合、まず何をすればいいですか?
-
まずは、契約予定日と工事金額を整理します。
500万円以上の工事は、原則として許可取得後に契約する必要があります。次に、必要な業種、経管、営業所技術者、財産的基礎を見ます。
現場が近い場合は、契約日から逆算して動くことが大切です。
- 経管や営業所技術者の資料が足りない場合はどうしますか?
-
まず、手元に残っている資料を洗い出します。
契約書、注文書、請求書、入金資料、確定申告書、登記事項証明書などを組み合わせて、経験を示せるか見ます。
前職の会社に証明を頼む場合は、時間がかかることがあります。
- 個人事業主や一人親方でも建設業許可は取れますか?
-
はい、個人事業主や一人親方でも取れます。
ただし、経営業務の管理責任者等、営業所技術者、財産的基礎などの要件は法人と同じように見られます。
法人化を予定している場合は、許可を取るタイミングもあわせて整理しておくと進めやすくなります。
まとめ
東京都知事許可の建設業許可は、書類がそろって受理されてから約30日が許可までの目安です。ただし、経管や営業所技術者の証明資料を集める時間も考えると、許可がほしい時期の2〜3ヶ月前には動き始めたいところです。
申請前には、知事許可か大臣許可か、一般建設業か特定建設業か、どの業種で取るかを決めます。そのうえで、5つの許可要件を満たしているかを確かめ、必要書類を集めて申請します。
許可取得後も、標識の掲示、帳簿の整備、毎年の決算変更届、5年ごとの更新が必要です。取得後の管理まで見据えて準備しておきましょう。
建設業許可の申請でお困りの方へ
建設業許可は、最初の区分選びと要件の見極めでつまずきやすい手続きです。
「どの業種で取ればいいか分からない」
「経管の経験を証明できるか不安」
「営業所技術者を実務経験で立てられるか知りたい」
「元請から許可を求められているので、早めに準備したい」
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