特車申請の通行条件A〜Dランク|誘導車が必要になる基準と最新の制度改正

コラム

20tや2.5mを超える車両を走らせる際に避けて通れない「特車許可」と「A〜Dの通行条件」。 一見厳しく感じる条件も、実は「老朽化する橋を守るため」、そして「周囲の交通の安全を確保するため」に必要なルールです。 本記事では、複雑な通行条件の仕組みを分かりやすく解説します。あわせて、2025年のシステム改修で実現した「ダブル連結トラックの即時回答」や、申請ミスを防ぐチェックツールの活用法など、今知っておくべきポイントをまとめました

1. 通行条件(A〜D)の仕組みと判定基準

道路管理者は、申請された車両が「やむを得ないと認められる」場合に限り、許可を出します。その際、道路を守り事故を防ぐために付与されるのが通行条件です。条件はA(条件なし)からD(最も厳しい制限)へと段階的に厳しくなります。

出典:特殊車両通行ハンドブック

D条件は「重量」のみに適用される

D条件は、橋梁への負荷が極めて高い重量車にのみ適用されます。寸法(幅や長さ)が大きいだけでD条件になることはありません。

D条件が付くと、橋を実質的に「貸切」状態で渡る必要があり、交通量の少ない夜間(21時〜翌朝6時)の通行が原則となります。

「夜間走行」になるのはどんな時?

C条件が付いても、必ずしも夜間走行になるとは限りません。夜間(21:00〜翌6:00)の通行が義務付けられるのは、主に以下の2つのケースです。

  1. 重量D条件が付された車両(橋梁への負荷が極めて大きい)
  2. 寸法C条件で、かつ車両幅が3.0mを超える車両

C条件(誘導車配置)であっても、車両幅が3.0m以下であれば日中の走行が認められるケースが大半です。

2. なぜ「条件」が付くのか?(目的と法的根拠)

法的根拠:道路法第47条の2

道路法第47条では、制限を超える車両の通行は原則として「禁止」されています。

しかし、第47条の2において、「車両の構造や貨物が特殊でやむを得ない場合」に限り、「道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要な条件を付して」許可できると定めています。

つまり、条件(ルール)を守ることが、通行禁止を解除する絶対条件なのです。

何を守っているのか?

重量条件(橋を守る)

橋は、ある一定の区画(径間)に同時に乗る車の重さを想定して設計されています。重量C・D条件で「連行禁止」や「他車の排除」が求められるのは、橋の床版が抜けたり、桁が折れたりするのを防ぐためです。

寸法条件(事故を防ぐ)

交差点やカーブで、長い車体や広い車幅が対向車線にはみ出すリスクがあります。寸法C条件で「前方に誘導車」を置くのは、死角から来る対向車に対し、事前に安全確認と注意喚起を行うためです。


3. 「誘導車」の配置とガイドライン

C・D条件で必須となる誘導車には、国土交通省のガイドラインに基づいた運用が求められます。単に従走すれば良いわけではありません。

車両の要件

  • 特殊車両以外の普通車などを使用すること
  • 緑色回転灯を装着すること
  • 「特殊車両誘導中」と表示された標識等を掲示すること

運転者の要件

  • 「特殊車両誘導等ガイドライン」に基づく講習を受講した者(修了証を持つ者)が運転すること

※2021年以降、この講習修了証の携帯等が厳格化されています。

4. 最新の制度改正と活用ポイント

① 「特殊車両通行確認制度」の対象拡大

2025年3月の改正により、全長25m級のダブル連結トラックも「確認制度」の対象に含まれるようになりました。

ただし、確認制度を利用できるダブル連結トラックは、以下の条件を満たすものに限られます。

  • 車種:フルトレーラ(バン型)
  • 長さ:21m超 25m以下
  • 構造:ダブル連結トラックとして製造された車両(型式指定等)

事前に車両を登録しておけば、オンラインで即時に回答を得られ、輸送効率が向上します。

② 簡易算定機能の活用

オンライン申請システムの「簡易算定機能」を使い、事前にシミュレーションを行うことで、無理のない条件で許可を取ることができます。

  • D条件が出そうなら、積載重量をわずかに減らす
  • 経路を変えてC条件に抑える

といった調整を申請前に行うことで、審査の長期化や配車トラブルを防ぐことができます。

③ 優良事業者への優遇(特車ゴールド)

ETC2.0を装着した優良事業者は、許可の有効期間が従来の2年から最大4年に延長されます。更新の手間とコストを半減できるメリットがあります。


まとめ:コンプライアンスが物流のリスクを減らす

「A〜D条件」は、道路を長持ちさせ、重大事故を防ぐためのルールです。

条件違反(誘導車なしのC条件通行や、重量オーバーでの橋梁通行)を行えば、許可の取消告発(懲役・罰金)の対象となるだけでなく、事故時の社会的責任も大きくなります。

最新のデジタル制度を活用し、「いかに適法に条件をクリアするか」が、現代の物流・建設事業者の競争力を左右します。