【Excel準備編④】:トレーラ車両諸元一覧表の正しい入力方法と計算ルール

コラム

前回の記事では、トラクタ(ヘッド)の入力方法 基本情報編 を解説しました。

今回は、後ろに引かれる「トレーラ(被牽引車)」のExcel入力手順を解説します。

重要: トレーラはトラクタと「真逆のルール」が適用されます。トラクタと同じ感覚で車検証を丸写しすると、実態と異なる車両として登録され、審査不備や取締りでの摘発リスクが生じます。

この記事では、トレーラ特有の「積載状態での計算ロジック」と、2025年3月のシステム改修で大幅に簡素化された「リフトアクスル登録」の最新情報を含めて解説します。

トラクタとトレーラの入力ルール

これが基本です。トレーラの入力値は、車検証の数値(空車)ではなく、「積載物をのせた状態の値」で入力します

なぜ積載状態で入力するのか?

トレーラは荷物を運ぶための車両です。「空車」で許可を取っても、実際に荷物を積んで走った際に寸法が大きくなっていれば、それは「許可された内容と違う車両(=無許可)」とみなされるリスクがあるためです。

STEP 1:寸法の入力(積載状態で計算)

車検証の数値をそのまま入力せず、必ず以下の計算を行ってください。

幅・高さ【積載時寸法】

実際に運ぶ荷物が、車枠からはみ出す場合はその数値を入力します。

幅の入力

  • 計算ルール:「車検証の幅」と「荷物の幅」を比較し、広い方の数値を入力します
  • 入力単位:cm(センチメートル)

高さの入力

  • 計算式:「荷台の高さ」+「積載貨物の高さ」= 申請する高さ
  • (例)荷台高100cm + 荷物高300cm = 入力値 400

長さ【キングピン後長さ】

ここが最も間違いが多い項目です。車検証の「全長」を入力してはいけません。

定義: 「キングピン(連結ピン)の中心」から「車両(または貨物)の最後端」までの距離

計算式:

入力する長さ = (キングピン~車体後端) + 貨物の後ろへのはみ出し

なぜ車検証の全長ではダメなのか?

システムは連結時の全長を以下の式で計算します。

連結全長 = トラクタのカプラ前長さ + トレーラのキングピン後長さ

もしここでトレーラの「全長(12mなど)」を入力してしまうと、トラクタと重なり合う部分(オーバーラップ:トラクタとトレーラが連結する際に重なる部分)が二重に計算され、実物より長い車両として審査され、「交差点右左折不可」などの不許可原因になります。

STEP 2:重量と車軸(ダブルタイヤは「4」)

重量やタイヤの入力にも独自のルールがあります。

重量の入力

車両自重(t): 車検証の「車両重量」を入力(例:6800kg → 6.8t)

積載物重量(t): 実際に積む貨物の重量を入力(最大積載量の範囲内)

輪数(タイヤ本数)の入力

トラクタ編と同様、システム上の正しい本数を入力します。

  • シングルタイヤ(左右1本ずつ): 入力値「2」
  • ダブルタイヤ(左右2本ずつ): 入力値「4」

G値(最外輪中心間距離)

コード1(200cm以下): 一般的なトラクタの後輪など

コード2(201〜225cm): 一般的な大型トレーラ(車幅249cm級)は、タイヤが外寄りに配置されているため、ここになることが多いです

※必ず図面の「トレッド(輪距:左右のタイヤ中心間の距離)」を確認して選択してください

STEP 3:包括申請の「最大値ルール」

同型式のトレーラを複数台まとめて申請(包括申請)する場合、入力するスペックの選び方がトラクタとは異なります。

  • トラクタ: 「車両総重量」が最も重い1台を選ぶ
  • トレーラ: 「各車軸ごとに」最も重い数値を合成して入力する

具体例
A号車(C軸が重い)と、B号車(D軸が重い)がある場合、Excelには「A号車のC軸」と「B号車のD軸」の数値を組み合わせて入力します。これを「合成車両」と呼びます。

【2025年最新】リフトアクスル特例で入力自動化

2025年(令和7年)3月のシステム改修により、車軸自動昇降装置(リフトアクスル)付きトレーラの登録が大幅に簡素化されました。

従来の手間

これまでは、車検証の備考欄を見て「車軸を下げた状態」の軸重を手計算し、さらに車検証の写し(PDF)を添付する必要がありました。

新機能:自動入力と添付省略

2024年4月以降に車検証が交付された車両など、一定の条件を満たす場合、以下の手順で完了します。

  1. システム画面で「車軸自動昇降装置があるトレーラを登録する」にチェックを入れる
  2. 「自動入力」ボタンを押す → 国交省のデータベースから、計算済みの正しい軸重が自動反映されます
  3. 車検証の添付が不要になります

計算ミスによる補正指示がなくなり、作業時間が大幅に短縮されます。対象車両であれば必ずこの機能を使ってください。

まとめ:不備を防ぐ最終チェックリスト

トレーラ入力のキーワードは「積載状態」です。Excel作成後、以下のポイントをチェックしてください。

【トレーラ入力 最終確認リスト】

  • 長さ: 車検証の「全長」ではなく、「キングピン~後端」の数値を入力しましたか?
  • 幅・高さ: 荷物を積んだ状態(最大寸法)で入力しましたか?
  • 輪数: ダブルタイヤの箇所は、見た目通り「4」と入力しましたか?
  • G値: 図面でトレッド(輪距)を確認し、適切なコードを選択しましたか?
  • リフトアクスル: 対象車両の場合、自動入力機能を使用しましたか?

軸重の整合性について

トレーラの場合、「車両重量 = 軸重の合計」にはなりません。

重量の一部をトラクタ(キングピン)が支えるため、軸重の合計は必ず軽くなります。「合計が合わない!」と焦る必要はありません。

トラクタとトレーラ、それぞれの「入力のルール」を理解してExcel(車両諸元一覧表)を作成し、正確なデータ作成で、スムーズな許可取得を目指しましょう。