ラフタークレーンやトレーラは、荷物を積んでいなくても公道を走るだけで特車許可が必要です。車体そのものが道路法の一般的制限値(幅2.5m・総重量20t等)を超えているため、空車での無許可走行も違反になります。
「車検に通っているから問題ない」という判断も誤りです。車検と特車許可は目的が異なる別の制度で、どちらか一方があればよいというものではありません。申請が必要な車両は主に3グループで、それぞれ確認すべき諸元と注意点が異なります。
25tラフターの実測値と制限値の比較
一般的制限値を超えているか?
(幅2.5m / 総重量20t / 軸重10t / 輪荷重5t)
車両の構造が特殊 → 特車申請が必要
下の3グループのいずれかに該当します
車体単体では対象外
ただし積載物を含めて超える場合は「貨物が特殊な車両」として申請が必要
オールテレーン等
コンテナ用等
増トン車
「車両の構造が特殊」とは、車体そのものが一般的制限値を超えている状態を指します。幅・総重量・軸重・輪荷重のいずれか1項目でも超えれば特車申請の対象です。
| 項目 | 一般的制限値 | 25tラフター(例) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 幅 | 2.5m | 約2.62m(+12cm) | × 超過 |
| 総重量 | 20.0t | 約26.5t(+6.5t) | × 超過 |
| 長さ | 12.0m | 約11.5m | ○ 以内 |
25tラフタークレーンでは幅と総重量の2項目で制限値を超えています。長さだけ基準内でも1項目でも超えれば申請の対象になります。
クレーン車は車体がコンパクトな分、重量が特定の軸やタイヤに集中しやすい構造です。総重量だけでなく軸重(上限10t)や輪荷重(上限5t)でも制限値を超えるケースが多い車種です。
なお特殊車両には「構造が特殊」と「貨物が特殊」の2つの判定基準があります。この記事では前者(構造)を扱います。積載物を含めて超える場合の判定は空車でも特車許可が必要なケースで解説しています。
グループ1自走式クレーン(ラフター・オールテレーン等)
クレーン操作と走行を1台でこなす自走式クレーンは、ほぼすべての車両で特車申請が必要です。建設業の特車申請ではラフタークレーンと重機トレーラーがもっとも多い申請対象です。
トラッククレーン・オールテレーンクレーンはブームが長く車体重量も大きいため、幅・総重量とも制限値を超えます。大型になるほど橋梁の耐荷重を超える可能性が高く、許可条件として「一次分解」を求められる場合があります。
一次分解とは
橋梁の耐荷重を超える場合、ブーム・ジブ・カウンターウェイトなどを車体から切り離し、別車両で搬送するよう求められます。通行条件として指定されるもので、一次分解をしても申請義務は省略できません。分解した部品を積む車両が制限値を超える場合は、その車両にも別途許可が必要です。
ラフタークレーンの申請手続きの詳細(諸元確認・審査期間・C・D条件の対応)はラフタークレーンの申請手順で解説しています。
グループ2:特例8車種(連結車・トレーラ)
形状が特殊なトレーラは「特例8車種」に分類され、通常より緩和された基準が適用されます。
| 特例5車種 | 追加3車種(平成27年追加) |
|---|---|
| バン型・タンク型・幌枠型 | あおり型 |
| コンテナ用・自動車運搬用 | スタンション型・船底型 |
適合トラクタ(2軸の認証トラクタ等)で牽引する場合、駆動軸重の上限が通常の10tから11.5tに緩和されます。高さ指定道路では高さの上限が3.8mから4.1mに引き上げられます。
ただし特例8車種に該当しても申請自体は必要です。緩和されるのは基準値であって、申請義務が免除されるわけではありません。車種別の緩和条件と申請要件の詳細は特例8車種の解説で確認できます。
グループ3:新規格車(増トン車)
高速道路で前面に「20t超」のワッペンを貼って走るトラックは新規格車と呼ばれます。総重量が20tを超え25t以下の単車で、車両の構造が特殊な車両の一種です。
高速道路と重さ指定道路では条件付きで自由走行できますが、降りた先の市道・県道では許可が必要になるケースがあります。「高速を走れているから問題ない」という判断で一般道を無許可走行すると道路法違反です。
車検と特車許可の違い
車検に通っているクレーン車でも、特車許可がなければ公道を走れません。
| 車検(道路運送車両法) | 特車許可(道路法) | |
|---|---|---|
| 審査の目的 | 車両が安全に走れる性能を持っているか | 道路・橋梁に過度な負担をかけないか |
| 交付されるもの | 自動車検査証・ナンバープレート | 特殊車両通行許可証 |
| 管轄 | 国土交通省(自動車局) | 道路管理者(国・都道府県・市区町村) |
無許可走行が発覚した場合、告発・許可取消・高速割引停止といった行政処分の対象になります。
中古車購入時の注意
中古車で取得した車両は、前オーナーの特車許可を引き継げません。特車許可は「車両+申請者+経路」の組み合わせで発行されるため、所有者が変わった時点で失効します。購入後、公道を走行する前に申請が必要です。
まとめ
車両の構造が一般的制限値を超えていれば、荷物の有無にかかわらず特車許可の対象です。自走式クレーン、特例8車種のトレーラ、新規格車のいずれも、導入時点から申請が必要になります。
判定の第一歩は車検証の諸元(幅・総重量・軸重)を一般的制限値と照合することです。判断がつかない場合や経路の選定・通行条件の確認まで含めて対応が必要な場合は、下記からご相談ください。
特車申請の制度・手続き・車種別対応の全体像は特殊車両通行許可申請ガイドで確認できます。
よくあるご質問(FAQ)
- Qクレーン車は走行するたびに申請が必要ですか?
- A
許可には有効期間があり、通常は1〜2年です。ETC2.0搭載かつ違反履歴なしなどの条件を満たす場合、最長4年まで延長されます。期間内であれば同じ経路を繰り返し走行でき、経路が変わる場合のみ別途申請します。
- Q25tより小さいクレーンなら申請不要ですか?
- A
車種・メーカーによって異なります。幅2.5m・総重量20t・軸重10t・輪荷重5tのいずれか1項目でも超えれば対象です。車検証の諸元で確認します。
- Q一次分解をすれば許可なしで走行できますか?
- A
走行できません。一次分解は許可取得後の通行条件として指定される措置です。分解した部品を積む車両が制限値を超える場合は、その車両にも許可が必要です。
- Q現場への回送だけでも許可は必要ですか?
- A
必要です。特車許可は「公道を通行すること」自体に対する許可のため、荷物の有無や走行距離は関係ありません。回送で数百メートル走るだけでも、車両が制限値を超えていれば対象です。
クレーン車・トレーラの特車申請についてご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。
【お問い合わせ方法】
- お問い合わせフォーム
- 電話:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)
