ラフタークレーンを公道で走らせるには、特殊車両通行許可(特車許可)が必要です。
申請の流れは「諸元の確認→経路の確定→書類作成・提出→審査→許可証の受領」の5ステップで、つまずきやすいのは最初の諸元確認と、複数の道路管理者にまたがる経路の整理です。
許可が下りるまでの期間は、経路の種類によって3週間から2か月以上まで差があります。工期から逆算して準備を始めるタイミングが、そのまま運行可否を決めます。
申請前に確認する4項目
ラフタークレーンが特車申請の対象になる理由は、クレーン本体の重量と構造寸法が一般的制限値を超えるためです。申請前に以下の4項目を車検証と諸元表で確認します。
総重量
カウンターウェイトを搭載した通行状態の数値が基準です。「分解すれば制限値以内」であっても、公道を分解前の状態で走行する区間があれば、その状態の重量で申請します。
軸重
前軸・後軸それぞれの値を確認します。総重量が制限値(20t)以内でも、軸重(上限10t)で超過するケースがあります。車検証の備考欄に「保安基準緩和・軸重、隣接軸重」等の記載がある車両は、審査時の制限値の扱いが変わります。数値だけでなく備考欄も確認します。
全長・全幅・全高
ブームを収納した状態での寸法です。全高が3.8mを超える機種では、重量の超過に加えて高さの超過分も同一の申請データに含めて申請します(経路の全線が高さ指定道路であれば高さの入力は不要)。ブームが前方に張り出す構造上、連結最小回転半径と合わせて、ブーム先端までの正確な全長も確認します。
最小回転半径
交差点や右左折の可否判定に使います。申請書の記載項目のひとつです。
諸元表が手元にない場合は、型式を控えてメーカーに問い合わせます。新車や珍しい型式はシステムのデータベースに未登録でエラーが出ることがあります。この場合は車検証のPDFデータの添付が必須になるため、スキャンデータも事前に準備しておきます。
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🌐 お問い合わせする経路の管轄と窓口
国道・都道府県道・市区町村道・高速道路(NEXCO)が混在する経路でも、管理者ごとに別々の申請は不要です。申請窓口は自社の最寄りにある代表窓口(国道事務所など)を選び、1件提出すれば他の管理者への協議はその窓口が行います。経路全体をカバーした許可証が1通発行されます。
現場近くの窓口を選んでしまうと、差し戻しが入った際に対応が困難になります。窓口は「現場の近く」ではなく「自社の最寄り」が基本です。
経路を確定したら、オンライン申請システムの経路診断で通行条件(A〜D)を事前確認します。C条件(誘導車配置)またはD条件(誘導車+他車とのすれ違い防止・待機)が出た場合は、経路変更や運行計画の修正を審査前に検討します。D条件は夜間通行が前提になるため、工期への影響を早めに確認します。
現場の入場経路に市道や農道が含まれる場合、その区間も申請対象です。出発地から現場ゲートまでの全区間を地図上で確認してから申請に進みます。
申請から許可証まで
STEP 1:経路診断 オンライン申請システムで車両諸元と経路を入力し、通行条件と橋梁照査の結果を事前確認します。D条件が出た場合は積載状態の見直しや経路変更を検討します。
STEP 2:申請書類の作成 車検証・諸元表をもとに申請データを作成します。経路が複数の道路管理者にまたがる場合でも、出発地から目的地までを1本の経路として作成するのが原則です。
現場周辺に未収録路線(システムの地図に未掲載の市道・農道など)がある場合は、付近見取図の添付に加えて、路線名称(〇〇市道△号線など)を手入力します。路線名は管轄の市区町村の道路担当窓口で確認します。未収録路線が絡む申請は準備に時間がかかるため、早めに着手します。
STEP 3:申請の提出 国道(国交省管轄)が含まれる経路はオンライン申請システムで提出します。都道府県道・市区町村道のみで完結する経路は各自治体の窓口へ。多くの自治体では自治体申請システムからオンラインで提出できます。
STEP 4:審査 国交省管轄の国道のみであれば、新規申請で3週間以内が目安です。橋梁の個別審査が入る区間、または複数の道路管理者にまたがる経路では1〜2か月以上かかります。
STEP 5:許可証の確認と運用 許可証を受領したら、付された通行条件(A〜D)の内容を確認し、運転者に周知します。誘導車の配置が条件に含まれている場合は、誘導車なしで走行した時点で違反になります。通行時は許可証・算定結果帳票を車両に携行する義務があります。
審査期間を逆算すると、現場入りの少なくとも1か月前、複数管理者にまたがる経路では2か月前には申請できる状態にしておく必要があります。工期直前の申請は差し戻しが1回入るだけで運行できなくなります。
高さ超過が重なる場合
全高が3.8mを超える機種は、重量超過と高さの超過を同一の申請データにまとめて申請します。ただし経路の全線が高さ指定道路(4.1mまで通行可)に指定されていれば、高さの申請は不要です。一部でも非指定区間が含まれる場合は申請が必要になります。
重量と高さの両方で制限を超える場合、確認項目が増える分、審査前の経路診断が特に有効です。診断を省くと差し戻しが入り、審査期間が長くなります。諸元表を確認する段階で、機種の全高が3.8mを超えているかどうかを同時にチェックしておきます。
審査期間と手数料
| 経路の種類 | 審査期間の目安 |
|---|---|
| 国道のみ(国交省管轄) | 新規3週間以内、更新2週間以内 |
| 複数管理者にまたがる経路 | 1〜2か月以上 |
| 橋梁個別審査が発生する区間 | 2か月以上になることもあります |
手数料は、1つの管理者の道路のみで完結する場合は原則無料です(自治体窓口は条例による)。国交省と都道府県道など複数管理者にまたがる経路(協議が発生する場合)は、オンライン申請で1経路あたり200円です。
なお、ブームの長さや重量区分による申請の細かな違いは自走式クレーン車(ラフター)の特車申請でまとめています。
まとめ
申請に着手する前に、車検証と諸元表を手元に用意して総重量・軸重・全高の3項目を確認します。諸元表がなければ型式をメーカーに伝えて取り寄せます。全高が3.8mを超える機種は重量の超過とあわせて高さの超過も申請データに正確に入力する必要があるため、その判断もこの段階でつけておきます。
経路が確定したら、出発地から現場入口まで管轄する道路管理者をリストアップし、オンライン申請システムで経路診断を行います。C条件・D条件が出た場合は、工期に間に合う段階で経路変更を検討します。複数管理者にまたがる経路では審査に1〜2か月以上かかるため、工期の2か月以上前に申請できる状態にしておくのが現実的です。
書類の作成や経路の整理に不明な点があれば、申請代行での対応も承っています。
特車申請の制度・手続き・車種別対応の全体像は特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
よくある質問
- カウンターウェイトを別車両で運べば申請は不要になりますか?
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カウンターウェイトを切り離した状態で通行するなら、切り離し後の諸元で申請します。ただし橋梁の耐荷重を大幅に超える機種では、道路管理者から一次分解(分解搬送)を許可条件として求められることがあります。分解・積替えのコストと工数は、運行計画に織り込んでおきます。
- 申請から許可まで何日かかりますか?
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国交省管轄の国道のみの経路であれば、新規申請で3週間以内が目安です。橋梁個別審査が発生する区間や複数管理者にまたがる経路では1〜2か月以上かかります。工期から逆算して1〜2か月前には準備を始めます。
- 許可証は車両ごとに必要ですか?
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許可は「車両と経路の組み合わせ」に対して発行されます。同じ機種でも台数分の申請が必要で、中古購入した車両は前オーナーの許可を引き継げません。購入後に経路が決まり次第、早めに申請を準備します。
- 高速道路を通行する場合、別途申請が必要ですか?
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原則として別途の申請は不要です。一般道と高速道路を繋げた経路で代表窓口に申請すれば、国交省からNEXCOへ協議が行われ、一括で許可が下ります。審査を急ぐために一般道と高速道路の申請を分けて提出する実務上の対応をとることもあります。
- 許可条件を守らずに通行した場合はどうなりますか?
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無許可通行と許可条件違反は、道路法に基づき100万円以下の罰金の対象になります。重量制限等の標識が設置されている橋などで条件違反を行った場合は、2025年6月以降「6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」(道路法第103条)の刑事罰が科されます。いずれも法人に同額が科される両罰規定です。

