連行禁止と徐行は、特車許可証の条件書に必ず記載される通行条件です。
いずれも橋梁の構造を守るためのルールで、守らなければ許可条件違反として扱われます。重量条件ごとに義務の内容が変わるため、許可証を手にしたら条件書を必ず確認してください。
連行禁止は橋の設計荷重を守るためのルール
連行禁止とは
2台以上の特殊車両が、橋の同一径間(けいかん)内を同時に通行してはならない条件です。「車間距離を空けて走る」こととは意味が異なります。
橋は、橋脚と橋脚の間の1区間(径間)ごとに耐荷重が設計されています。前の特殊車両がその径間にいる状態で後続の特殊車両が進入すると、橋にかかる荷重が設計限界を超える恐れがあります。連行禁止は、それを防ぐためのルールです。
通行条件による連行禁止の違い
重量B条件では、連行禁止は課されません。徐行のみで通行できます。1台であれば橋への荷重が許容範囲内のため、前後に特車が続いて走ること自体は制限されません。
重量C・D条件では、徐行に加えて連行禁止が義務付けられます。
| 条件 | 徐行 | 連行禁止 | 隣接車線 確認・停止 |
夜間通行 21:00〜6:00 |
|---|---|---|---|---|
| 重量B条件 | ||||
| 重量C条件 | ||||
| 重量D条件 |
現場での通行手順
クリア確認: 前の特車が径間を渡りきり、対岸の橋脚を通過したことを確認してから進入します。
他の車両の排除(C条件以上): 現場でよくある誤解として「特車同士でなければ一般車と一緒に入っても構わない」というものがあります。これは誤りです。重量C条件以上の算定要領には「通行する車線の一の径間を同時に通行する他の車両がない状態で通行すること」と定められており、「他の車両」には後続の一般乗用車やトラックも含まれます。後方の誘導車がわざと一時停止して後続車をせき止めるのは、この単独通行状態を作るためです。
橋脚が見えにくい場合の目安: 夜間など径間の境界が判断しにくい場合は、車間距離を60m以上確保します。一般的な橋の径間は概ね60m程度のため、この距離が安全の目安になります。
誘導車の役割(C・D条件): 後方の誘導車は、後続車が特車に続いて橋に乗らないよう、減速・一時停止して間隔を確保する役割を担います。
D条件:すれ違いの制限
D条件では、自車線の連行禁止に加え、隣接する車線(対向車線を含む)についても制約がかかります。隣接車線に他の車両が通行しようとしている場合は橋への進入を控え、すれ違いや追い越しによってやむを得ず同一径間に他の車両が入ることになる場合は一時停止が必要です。
原則として夜間通行条件(21:00〜6:00)がセットで付与されます。交通量の少ない時間帯でなければこの条件を確保しにくいためです。D条件の橋では「徐行」「連行禁止」「隣接車線の確認・一時停止」「夜間通行」が同時にかかります。
徐行に速度の数値指定はない
徐行の定義
特車許可における「徐行」は、道路交通法の定義をそのまま適用します。算定要領にも「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう」と明記されており、許可証やハンドブックに「時速○○km以下」という数値指定はありません。
注意が必要なのは「普通車が20km/hで止まれるなら、特車も20km/hで問題ない」という思い込みです。総重量が40トンを超えるような重量物車が時速20kmで急ブレーキをかけても、慣性の影響で数十メートル進んでしまいます。実務上は時速10km前後、場合によっては歩行に近い速度まで落とさなければ「直ちに停止できる状態」とは認められないケースがあります。橋梁通過時は感覚的な速度管理に頼らず、車両総重量に応じた判断が必要です。
重量条件における徐行:橋梁の構造保全
重量条件(B・C・D条件)が付いた場合、橋梁・高架道路の通過時に徐行が必要です。目的は橋の構造保全です。
重い車両が速度を出して走ると、橋の継ぎ目や段差で衝撃荷重が発生します。速度を落とすことで衝撃を抑え、橋の疲労や亀裂といった劣化を防ぎます。耐荷力の低い橋では崩落の防止にもつながります。
違反した場合の罰則
徐行・連行禁止は努力目標ではなく、許可証に明記された法的義務です。許可条件に違反して特殊車両を通行させた場合、道路法第104条に基づき100万円以下の罰金の対象になります。法人・事業主にも同額が科される両罰規定(第107条)があるため、ドライバー任せにはできません。罰則の全体像は特殊車両違反の告発と許可取消で確認してください。
まとめ
徐行の定義: 数値による速度制限ではなく、道路交通法上の「直ちに停止できる速度」です。車両重量や路面状況に応じた速度管理が必要です。
徐行が必要な目的:
- 重量条件(構造保全):橋の継ぎ目・段差での衝撃を抑え、橋の劣化を防ぐ
- 寸法条件(事故防止):内輪差や死角、車体のはみ出しによる接触事故を防ぐ
連行禁止: 同一径間に特殊車両を2台同時に載せてはなりません。橋脚が見えにくい場合は車間距離60m以上が目安です。B条件では徐行のみで足りますが、C条件以上では連行禁止も必要です。
法的義務: 徐行・連行禁止は努力目標ではなく許可証に記載された法的義務です。違反した場合は許可条件違反となり、罰則や指名停止の対象になります。
よくある質問(FAQ)
- Q連行禁止とは何ですか?
- A
2台以上の特殊車両が、橋の同一径間(橋脚と橋脚の間の1区間)に同時に乗ってはならない条件です。橋は径間ごとに耐荷重が設計されており、複数台が同時に乗ると設計荷重を超える恐れがあります。「車間を空けて走る」のとは意味が異なり、前の特車が橋脚を通過してから進入する必要があります。
- Q重量B条件の車両にも連行禁止は適用されますか?
- A
適用されません。B条件では徐行のみが義務付けられ、連行禁止は不要です。1台であれば橋への荷重が許容範囲内とされるため、他の車両が同じ径間に続いて乗ることは制限されません。連行禁止が必要になるのはC条件以上の車両です。
- Q許可証にある「徐行」は何km/h以下ですか?
- A
具体的な速度は定められていません。算定要領に基づき「直ちに停止できる速度」を指し、車両重量・路面状況・ブレーキ性能によって変わります。総重量40トンを超える車両では、時速20kmで急ブレーキをかけても数十メートル進んでしまうため、橋梁通過時は時速10km前後まで落とすのが実務上の目安です。
- Q重量D条件が付いた橋では、どのような制約がかかりますか?
- A
徐行」「連行禁止」「夜間通行(21:00〜6:00)」に加え、隣接車線に他の車両が入ろうとしている場合の進入制限と、やむを得ない場合の一時停止義務が課されます。条件書の記載は「可能な限り隣接車線に他の車両がない状態で通行すること」です。
- QC条件の橋で、後続の一般車が続いてきた場合はどうすればよいですか?
- A
後方の誘導車が一時停止して後続をせき止め、単独通行の状態を作ってから橋に進入します。重量C条件以上では「他の車両がない状態で通行すること」が条件書に明記されており、一般車両もこの「他の車両」に含まれます。
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