特殊車両が橋梁を通過する場面では、許可条件に「徐行」や「後方に誘導車を配置」といった記載が加わることがあります。この記載は、橋梁などを通行するときの具体的な方法を定めたものです。
こうした橋梁通行の条件は、以前から「連行禁止」と呼ばれてきました。ただし現在の重量条件は以前の基準から見直されており、単に「特殊車両同士の車間距離を空ける」というだけの内容ではありません。
この記事では、特車の「連行禁止」が現在どのように扱われているのかを、特車の通行条件A〜Dのうち重量B・C・D条件を中心に取り上げます。
特車の「連行禁止」とは
「連行禁止」という言葉から、
特殊車両を2台続けて走らせてはいけない
というルールをイメージすることがあります。
以前の重量条件では、2台以上の特殊車両が縦列となり、橋梁や高架道路などの同一径間を同時に通行しないことを「連行禁止」としていました。旧基準では重量B条件にも徐行と連行禁止が含まれていたため、古い資料には現在とは異なる説明が残っていることがあります。
現在の重量B条件は徐行のみです。重量C・D条件については「前の特殊車両と一定の距離を空ける」という考え方ではなく、特殊車両が通行する径間に他の車両が同時に入らないように通行する方法が具体的に定められています。
ここでいう「他の車両」には、別の特殊車両だけでなく、一般の乗用車やトラックも含まれます。
重量B・C・D条件では橋梁の通り方が違う
重量B条件では、橋梁などを徐行して通行します。現在のB条件に、他車との同時通行を避ける条件や誘導車の配置は含まれていません。
重量C条件になると、徐行に加えて、特殊車両が通る同一車線の一つの径間を他の車両と同時に通行しない状態を確保します。そのため、特殊車両の後方には誘導車を1台配置するのが基準です。
重量D条件ではC条件の内容に加えて、隣接車線についても他の車両が同じ径間を同時に通行しないよう、可能な限り進入時機を調整します。
A条件では、徐行や誘導車などの特別な条件は付きません。AからDへ条件が厳しくなるにつれて、橋梁を通過するときに必要な対応が増えていきます。
重量C条件では同一車線の同一径間を他車と同時に通行しない
重量C条件では、特殊車両が通行する車線の一つの径間に、他の車両が同時に入らない状態で橋梁を通過します。
径間とは、橋脚などによって区切られた橋梁の一区間です。前方に一般車がいる場合は、その車両との距離を確保し、対象となる径間から抜けた後に特殊車両が進入する流れです。
後続車については、後方誘導車が周囲の交通状況を把握し、特殊車両の運転者へ必要な情報を伝えます。特殊車両と誘導車が連携しながら、前後の車両と同じ径間へ入らないように進入時機を調整します。
誘導車には、警察官のように一般車を強制的に停止させる権限があるわけではありません。道路を封鎖して一般車を止めるのではなく、特殊車両側で安全に通行できる状態をつくることが基本です。
60m空ければいいというルールではない
連行禁止については、
車間距離を何m空ければいいのか
という疑問もあります。
誘導に関するガイドラインでは、一つの径間について概ね60m程度という目安が示されています。ただし、「前の車と60m離れていれば条件を満たす」という意味ではありません。
橋梁によって径間の長さは異なります。重量C・D条件で重要なのは距離の数字そのものではなく、特殊車両が通る同一車線の一つの径間に、他の車両が同時に入らない状態を確保することです。
前方車両の位置や橋梁の構造、周囲の交通状況を踏まえて進入時機を判断する必要があります。
重量D条件では隣接車線にも注意する
重量D条件では、重量C条件の通行方法に加えて、隣接車線についても他車との同時通行を可能な限り避けます。
隣接車線を他の車両が通行しようとしている場合は、橋梁への進入を控えるなどして、可能な限り同じ径間に他車がいない状態を保つのが基本です。
すれ違いや追越しなどによって、やむを得ず隣接車線の同じ径間に他の車両が入る場合には、特殊車両側が一時停止して対応します。
D条件だからといって、対向車線や道路全体を完全に封鎖するという意味ではありません。特殊車両側で周囲の交通状況を把握し、進入や一時停止の時機を調整します。
重量C・D条件では後方誘導車を配置する
重量C・D条件では、特殊車両の後方に誘導車1台を配置するのが現在の基本です。
以前は前後に誘導車を配置する扱いでしたが、2021年3月29日の条件見直しによって、重量C・D条件では後方1台、寸法C条件では前方1台という配置へ変更されています。
重量C・D条件では、特殊車両の運転者が前方車両との距離を確保し、後方誘導車が後続車などの交通状況を把握します。後続車が接近している場合には、誘導車自身が減速や一時停止を行うなどして距離を確保し、同じ径間へ進入する時機が重ならないように対応します。
同じ箇所に寸法C条件も付いている場合には、寸法条件では前方、重量条件では後方への配置が必要となるため、前後双方に誘導車が必要になることがあります。特殊車両の誘導車は、条件の種類によって配置位置も変わる点に注意が必要です。
実際の運行では、許可証や条件書に記載された条件に従います。
重量C・D条件の通行方法で迷ったら
重量C・D条件では、対象となる橋梁や誘導車の配置、他車との同時通行を避ける方法まで把握する必要があります。当事務所では、通行条件を踏まえた特車申請まで対応しています。
特車申請サービス →徐行とは何km/h?
重量B・C・D条件では、橋梁などを通行するときに徐行が求められます。
この徐行には、「10km/h以下」「20km/h以下」といった一律の速度は定められていません。基準となるのは、直ちに停止できるような速度で進行することです。
車両の重量だけでなく、路面状態、勾配、天候、視界などによって直ちに停止できる速度は変わります。「20km/h以下なら徐行」と固定して判断するのではなく、その場所の状況に応じて十分に速度を落として通行するのが基準です。
重量の大きい車両が橋梁の段差や継ぎ目などを速度を上げた状態で通過すると、道路構造物への影響も大きくなります。重量条件に付く徐行は、安全な通行だけでなく、橋梁などの道路構造を保全するための条件でもあります。
重量D条件と夜間通行は同じではない
重量D条件では、21時から翌6時までの通行時間帯が指定される区間があります。
ただし、経路上のすべての道路が一律に夜間通行になるとは限りません。現在は、通行時間帯の指定が必要となる区間について、原則として交通への影響が大きい必要最低限の範囲に限定されています。
また、安全上支障がないと判断された一部の道路では、重量D条件の通行時間帯を20時から翌7時までに広げる緩和試行も行われています。
そのため、「D条件なら出発地から目的地まで全区間を21時〜翌6時に走る」と判断するのではなく、許可証や条件書、C・D条件箇所一覧と特殊車両の夜間通行条件を照らし合わせて運行時間を見きわめることが重要です。
C・D条件箇所一覧で対象となる橋梁を特定する
重量C・D条件が付いていても、経路上のすべての橋梁で同じ条件になるとは限りません。
同じ経路のなかでも、ある橋梁ではB条件、別の橋梁ではC条件となることがあります。許可証に添付されるC・D条件箇所一覧には、C・D条件が付く区間や箇所が記載されています。
運行前には許可証や条件書とあわせてC・D条件箇所一覧を照らし合わせ、どの橋梁で誘導車の配置や他車との同時通行を避ける対応が必要になるのかを押さえておく必要があります。
同じ車両であっても、通行経路が変わると条件も変わります。車両だけを基準に「いつもC条件」「いつもD条件」と判断することはできません。
通行条件に違反するとどうなる?
徐行、誘導車の配置、重量C・D条件で指定された通行方法は、特殊車両通行許可に付された条件です。
許可を取得していても、その条件に従わずに通行すれば許可条件違反となります。違反内容によっては警告や措置命令の対象となり、悪質な場合には許可の取消しや告発につながることもあります。
運行前には許可された経路だけでなく、条件が付く場所と通行方法まで運転者・誘導車の双方で共有しておく必要があります。特車の違反・罰則は、無許可通行だけでなく許可条件に従わない通行にも関係します。
よくある質問
- 特車の連行禁止とは何ですか?
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以前の重量条件では、2台以上の特殊車両が縦列となり、橋梁などの同一径間を同時に通行しないことを「連行禁止」としていました。現在の重量C・D条件では、特殊車両が通行する同一車線の一つの径間を、一般車を含む他の車両と同時に通行しない状態で通過することが求められます。
- 重量B条件でも連行禁止になりますか?
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現在の重量B条件は徐行です。以前の基準では重量B条件にも連行禁止が含まれていたため、古い資料では「B条件=徐行+連行禁止」と記載されていることがあります。
- 一般車が後ろから来たら誘導車が止めるのですか?
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誘導車が一般車を強制的に停止させる仕組みではありません。後方誘導車は周囲の交通状況を把握し、特殊車両の運転者へ情報を伝えます。必要に応じて誘導車自身が減速や一時停止を行うなどして、特殊車両と後続車との距離を確保します。
- 60m車間を空ければ条件を満たせますか?
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一律に60m空ければよいというルールではありません。一つの径間について概ね60m程度という目安はありますが、橋梁によって径間長は異なります。重要なのは、特殊車両が通行する同一車線の同一径間に他の車両が同時に入らない状態を確保することです。
- 徐行は何km/h以下ですか?
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固定された速度はありません。直ちに停止できるような速度で進行することが基準となるため、車両重量や路面状態、勾配、天候、視界などによって必要な速度は変わります。
- D条件では対向車線も完全に空ける必要がありますか?
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道路全体を完全に封鎖して通行するという意味ではありません。隣接車線についても可能な限り同じ径間を他車と同時に通行しないようにし、やむを得ず他車が同じ径間へ入る場合には、特殊車両側が一時停止して対応します。
- D条件なら必ず夜間通行ですか?
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重量D条件では夜間の通行時間帯が指定される区間がありますが、経路全体に一律で設定されるとは限りません。対象となる区間や時間帯は、許可証、条件書、C・D条件箇所一覧を突き合わせて判断します。一部の道路では20時から翌7時まで通行できる緩和試行も行われています。
まとめ
特車で「連行禁止」と呼ばれてきた橋梁通行のルールは、現在の重量条件では、他の車両との距離を確保して同一径間を同時に通行しない方法として位置づけられています。
現在の重量B条件は徐行です。重量C条件では、徐行に加えて同一車線の一つの径間を他の車両と同時に通行しない状態を確保し、後方に誘導車1台を配置します。重量D条件では、さらに隣接車線についても可能な限り他車との同時通行を避けます。
また、「60m離れればよい」という固定的な車間距離のルールではありません。橋梁の径間や周囲の交通状況を踏まえ、対象となる径間に他車が同時に入らないように通行することが重要です。
実際の運行では、許可証、条件書、C・D条件箇所一覧を突き合わせ、対象となる橋梁、誘導車の配置、通行時間帯まで押さえておく必要があります。
特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
重量C・D条件のある特車申請でお困りならご相談ください
重量C・D条件では、対象となる橋梁や誘導車の配置、他車との同時通行を避ける方法など、許可後の運行条件まで把握しておく必要があります。
通行経路によってC・D条件となる箇所も変わるため、車両だけで判断することはできません。
当事務所では、車両諸元と予定通行経路を確認したうえで、特殊車両通行許可の申請代行まで対応しています。

