中古のインパクトドライバー、丸のこ、発電機などを仕入れて継続して売るなら、古物商許可が必要です。ジャンク品を買い取って修理・再生して売る場合や、工務店の余剰工具を買い取る場合も、利益を得る営業なら対象になります。
一方、自社の現場やDIYで使っていた工具を、不要になって手放すだけなら、許可は不要です。
工具は同じ型番の品が大量に出回り、会社名や現場名のネームが入った品も多い商材です。品目の選び方から出張買取の受取場所まで、工具には工具ならではの決まりがあります。
中古工具を仕入れて売る営業は古物商許可が必要
古物商許可が必要になるかどうかは、転売のために他人から中古工具を仕入れているかで決まります。看板の有無や販売場所は関係ありません。
許可の対象になる取引
- 個人や職人、工務店から中古工具を買い取り、店頭やネットで売る
- ヤフオクやメルカリで中古工具を仕入れて、再販売する
- 動かないジャンク品を安く買い取り、修理や整備をして再生品として売る
- 買い取らずに預かり品として委託販売し、手数料を得る
故障していても、修理や整備をして工具として再販売するために仕入れた品は、通常は古物にあたります。
許可の対象外の取引
自社の現場で使っていた工具を買い替えで売る、自宅のDIY工具を処分するといった取引は、私物を手放すだけの取引です。他人から買い集めて売る事業とは違い、許可は不要です。未使用の工具でも、使うために購入された品は古物にあたります。
申請では、取り扱う品目を13の区分から選びます。中古工具の中心になる区分は「機械工具類」です。
中古品ごとの品目
機械工具類は、施行規則で電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具などと定められています。インパクトドライバーなどの電動工具に限らず、スパナ、レンチ、ソケットといった電気を使わない手工具も、機械工具類に入ります。「手で使うから道具類」という分け方はしません。
| 扱う中古品 | 選ぶ品目 |
|---|---|
| インパクトドライバー、丸のこ、コンプレッサー、発電機 | 機械工具類 |
| スパナ、レンチ、ドライバー、カンナなどの手工具 | 機械工具類 |
| 旋盤、フライス盤などの工作機械 | 機械工具類 |
| 中古の作業服 | 衣類 |
| 安全靴 | 皮革・ゴム製品類 |
作業服や安全靴も一緒に買い取るなら、申請で「衣類」と「皮革・ゴム製品類」も合わせて選びましょう。
大型機械の例外
大型の工作機械のうち、重さが1トンを超え、土地や建物に強く固定されて容易に取り外せない機械は、古物から除かれます。該当するかどうかは機械ごとの仕様と設置の状況で決まるため、大型設備まで扱う予定なら、申請先の警察署へ事前に相談してください。
1万円未満の電動工具は本人確認を省ける?
電動工具や手工具は、1回の買取代金の合計が1万円未満(消費税抜き)なら、本人確認と台帳への記録を省けます。1万円未満でも本人確認が必要な例外の品目は、バイク・原付、ゲームソフト、CD・DVD、書籍、電線、室外機などです。工具そのものは、この例外に入っていません。
1万円の数え方
1万円未満かどうかは、工具1点の値段ではなく、同じ相手から1回で買い取る合計額で判断します。
| 買取のケース | 本人確認・台帳記録 | 理由 |
|---|---|---|
| ディスクグラインダー1台を8,000円で買い取る | 省ける | 1回の取引総額が1万円未満 |
| 同じ相手から工具2点を合計15,000円で買い取る | 必要 | 1点ずつは1万円未満でも、総額が1万円以上 |
| 工具数点をまとめてちょうど10,000円で買い取る | 必要 | 10,000円ちょうどは「1万円未満」を含まない |
省ける金額でも、盗品対策としてすべての買取で本人確認をするのは自由です。
電線・室外機は例外
工具と一緒に電線やエアコン設備を買い取るときは、この省略が使えません。2025年10月1日の施行規則の改正で、次の品目は1万円未満でも、本人確認と帳簿への記録が必要になりました。
- エアコンの室外機
- 電気温水機器のヒートポンプ
- 電線
- 金属製のグレーチング
電線は素材を問わず対象で、送電を主な目的とするものが当てはまります。家庭用の延長コードやスマートフォンの充電ケーブル、LANケーブルなどは対象外です。現場の端材の電線や室外機を工具と一緒に買い取るなら、金額が少なくても、免許証などによる本人確認と記録が必要です。
中古工具の仕入れと
中古工具の転売を始めると決める時点で、仕入れ先の確保と許可申請の書類の準備を並行して始めることになります。自分の取引が許可の対象かどうかや、機械工具類のほかに選ぶ品目も含めて、当事務所へご相談ください。
金属くずと金属盗対策法
そのまま使える状態の電線や室外機は、古物です。切断や破損で本来の用途に使えなくなった銅線や室外機は、古物ではなく金属くずにあたる場合があります。
銅を主とする金属くずの買取には、2026年6月1日に全面施行された金属盗対策法が関わります。正式名称は盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律です。営業所ごとの届出のほか、買取時の本人確認と、記録の作成・保存が求められます。
使える状態かどうか判断が分かれる端材や、金属くずの買取を加える場合は、先に申請先の警察署へ相談してください。
会社名入りの工具の買取と台帳の記録
ネーム入りの工具
建設現場や解体現場の工具には、会社名、現場名、職人のフルネームが、マーカーや彫刻で入っていることがあります。
会社名入りの工具を従業員が持ち込んだとき、運転免許証で分かるのは本人の身元までです。会社の備品を売る権限があるかどうかは、免許証からは分かりません。そのまま買い取ると、後から所有会社に返還を求められるおそれがあります。
そこで、持込者に売却の権限を示す資料や連絡先を求めます。
- 社員証や名刺で、会社への所属を示してもらう
- 会社の固定電話へ連絡し、担当部署に売却の依頼があったことを聞く
- 代表者名義の委任状か、売却承諾書を出してもらう
これらに法律上の決まりはなく、売却の権限を判断するための実務上の手段です。会社に連絡がつくまでは、買取を見合わせましょう。
ネームが削り取られている、製造番号の銘板が剥がされているなど、盗品の疑いがあれば、すぐに警察官へ申告してください。申告は法律上の義務です。
台帳に残す情報
記録が必要な取引では、その1台を見分けられる情報を台帳に書き込みます。工具は同じ型番の品が大量に流通しています。「マキタ インパクトドライバー 1台」という記載では、警察から盗品の照会が入ったときに、自店の在庫を特定できません。
台帳には、メーカー名と正式な型番(例:マキタ TD173DRGX)、製造番号、本体の色、外見の特徴を記録しましょう。外見の特徴は、ハウジングの割れや目立つ傷、ペンで書かれた会社名や現場名などです。
バッテリーや充電器にも製造番号が刻印された品があります。どの番号を控えたかまで古物台帳に載せれば、後から仕入れ先と品物を結びつけられます。
中古工具を一般の購入者に売ったときは、自動車などと違って、台帳に売却の記録までは求められません。
出張買取とネット仕入れの注意点
出張買取の受取場所
一般の個人など、古物商以外の相手から買い取るとき、品物を受け取れる場所は、原則として2か所です。自店の営業所と、相手の住所・居所(住民票とは別に実際に住んでいる場所)です。近くのコンビニの駐車場や駅前ロータリーで待ち合わせて受け取ることは、事前に届出をした仮設店舗を除いて認められません。
行商と訪問購入
相手の自宅へ出向く買取は、行商(営業所の外で古物を取引すること)にあたります。許可申請書の行商欄で営業所の外でも古物を扱う旨を選び、従業員が出向くなら行商従業者証を持たせましょう。
消費者の自宅で買い取るときは、特定商取引法の訪問購入として扱われることがあります。法定の書面の交付とクーリング・オフへの対応が必要です。相手が事業者か消費者かなど、取引の形に合わせて準備してください。
ネット仕入れの本人確認
ヤフオクやメルカリなどで一般の個人から工具を買い取る取引は、顔を合わせない非対面取引です。非対面の本人確認の方法は法令で決められていて、取引メッセージで運転免許証の写真を受け取るだけでは、その方法になりません。
よくある質問
- 建設業の許可があれば、中古工具の売買もできますか?
-
できません。建設業許可は工事を請け負うための許可で、中古品を買い取って売る営業には、別に古物商許可が必要です。
- 副業で月に数点だけ売る場合も、許可は必要ですか?
-
点数が少なくても、営利目的で仕入れて売ることを繰り返すなら、副業や内職でも古物営業にあたります。営利を目的としない取引は、古物営業から外れます。たとえば、買い取った工具を寄付したり、無償で譲ったりする場合です。
- 仕入れ先が法人や古物商なら、本人確認は省けますか?
-
省けません。相手が法人でも古物商でも、実際に取引をしている窓口の担当者本人について、本人確認と台帳への記録が必要です。省けるのは、1万円未満の取引など、法令が認めた場合に限られます。
- 許可を取らずに中古工具を売買すると、どうなりますか?
-
無許可で営業すると処罰の対象になり、罰金刑を受けると、刑の執行が終わってから5年間、許可を受けられません。欠格事由に入るためです。仕入れを始める前に、許可を取ってください。
まとめ
中古工具を仕入れて売るなら、「機械工具類」を軸にした古物商許可が必要です。作業服や安全靴も買い取る予定があれば、「衣類」「皮革・ゴム製品類」も申請で選びます。自分の現場や自宅で使っていた工具を手放すだけなら、許可は不要です。
買取の実務では、1万円未満の取引は本人確認と台帳記録を省けますが、電線や室外機は1万円未満でも省けません。ネーム入りの工具は持込者の売却権限まで調べ、出張買取は受取場所を守り、ネット仕入れは非対面の本人確認の手順を用意します。仕入れの経路と本人確認の手順が決まったら、許可の申請に進みましょう。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の法令・公的機関の情報を参考にしています。
古物商許可の申請でお困りならご相談ください
「機械工具類だけで足りるのか」「今の場所を営業所にできるのか」と迷った段階で、ご相談ください。判断だけのご相談でも受け付けています。
古物商許可が必要な場合は、品目の選定から警察署への提出まで、リユース業界で10年以上、買取の実務に携わってきた行政書士がサポートします。

