【特車Excel入力③】トレーラ諸元の入力方法|キングピン後長さ・G値・積載時の寸法

トレーラの寸法図・メジャー・自動車検査証が並ぶ作業デスク(特車申請・車両諸元入力)

トレーラの諸元入力で補正指示につながりやすいのは、車検証の数値をそのまま転記するミスです。トラクタは車検証から転記できる項目が多い一方で、トレーラには積載状態の値を使う項目が複数あります。

この記事で扱うのは、長さ・幅・高さ・重量・輪数・G値の6項目と、L値(軸間距離)の入力です。複数台をまとめる包括申請で使う、合成車両の考え方も解説します。

目次

基本は積載状態の値

トレーラの幅・長さ・高さと積載物重量は、荷物を積んだ状態の値で入力します。空車の状態で許可を取り、荷物を積んで走ると、許可された寸法・重量を超えた車両とみなされるためです。

特殊車両通行許可は、その車両がその状態で走ることに対して出る許可です。申請の内容は、荷物を積んだときの実態に合わせてください。

項目トラクタトレーラ
寸法の基準車検証の値(空車)積載状態の最大値
重量の自重欄車検証の車両重量車検証の車両重量(空車)
積載物重量入力不要実際に積む貨物の重量

寸法は積載時、自重は空車時と、欄によって基準が違うのがシステムの仕様です。自重欄に荷物込みの重量を入れてしまうミスが多いため、欄ごとに空車か積載時かを分けて入力しましょう。

寸法の入力

トレーラ車両諸元一覧表の入力例
トレーラ車両諸元一覧表の入力例(黄色行が入力対象)

長さ|キングピン後長さ

長さの欄に入れるのは、トレーラの全長ではありません。キングピン(トラクタと連結するピン)の中心から、車両または貨物の最後端までの距離です。

キングピン後長さ=(キングピン〜車体後端)+貨物の後ろへのはみ出し

全長を使わないのは、オンライン申請システムが連結全長を次の式で計算するためです。

連結全長=トラクタのカプラ前長さ+トレーラのキングピン後長さ

ここにトレーラの全長(例:12m)を入れると、連結時にトラクタと重なる部分(オーバーラップ)が二重にカウントされ、実物より長い車両として審査されます。交差点での右左折不可など、不要な通行制限がつくのはこのためです。カプラ前長さの計算方法は、トラクタ寸法の計算方法で扱っています。

幅・高さ(積載時の最大寸法)

幅は、車両と荷物を含めた左右の最も外側までの距離です。荷物がはみ出していなければ車検証の幅、はみ出していればその部分を足した幅をcm単位で入れます。高さは、積載状態で地上から最も高い部分までの値です。計算で出す場合は、次の式を使ってください。

入力する高さ=車検証の全高(空車)+貨物の上へのはみ出し分

(例)350cm+50cm=400cm

高さの起点は地上です。荷台の床面の高さに貨物の高さを足して求めることもできますが、車体に貨物より高い部分があるときは、その部分の高さが入力値になります。

L値(軸間距離)の入力

L値は、図面の寸法線から読み取ってcm単位で入力します。軸種ごとに決まった車軸間の距離や荷重点の位置を入れる項目で、セミトレーラではキングピンを基準にした寸法も対象です。L値の各記号がどこを指すかは、軸種によって変わります。

オンライン申請システムの「軸種説明図の表示」で対象の軸種図を開き、車両の外観図と並べて、寸法線ごとに対応する値を入れてください。システムは入力値を内部でチェックしており、物理的にあり得ない値の組み合わせだとエラーが出て次の画面に進めません。

特車申請の準備にお困りならご相談ください

特車申請は、車検証や図面から数値を拾うだけでなく、積載状態に合わせた寸法や軸間距離の入力にも手間がかかります。当事務所では、車両・経路の確認から、申請書類の作成・申請後の補正対応まで代行します。

重量・輪数・G値の入力

重量

欄入力する値
車両自重車検証の「車両重量」(例:6,800kg → 6.8t)
積載物重量実際に積む貨物の重量(最大積載量の範囲内)

自重の欄には、車検証どおりの空車重量を入れます。寸法を積載状態で入れた流れのまま、自重欄にも荷物込みの重量を入れてしまうミスが起きやすいため、欄の名称に目を通しながら入力してください。

輪数(タイヤ本数)

輪数の欄には、1軸あたりの輪数を入れます。ダブルタイヤの数え方に注意してください。

タイヤの種類実際の本数入力値
シングルタイヤ(左右1本ずつ)2本2
ダブルタイヤ(左右2本ずつ)4本2

ダブルタイヤは、2本で1輪と数える決まりです。「4本あるから4」と入力すると、実際の車輪構成と異なる値で審査されるおそれがあります。軸種の選択から輪数の入力までの手順は、軸種選択と車両内訳の入力を参照してください。

G値(最外輪中心間距離)

G値は、各軸の最外輪中心間距離(右のタイヤの中央から左のタイヤの中央までの距離)から、該当するコードを選ぶ項目です。

コード最外輪中心間距離
1200cm以下
2201〜225cm
3226〜250cm
4251〜275cm
5276〜300cm

車幅の数値をそのまま表に当てはめるのは誤りです。G値に使うのはタイヤの中心間の距離で、同じ車幅の車両でも、タイヤの形式や車両によって変わります。目視や慣習で決めず、車両外観図やメーカーの諸元資料で各軸の最外輪中心間距離を調べてから、コードを選んでください。

包括申請の合成車両

車種・軸種に加えて積載貨物や通行経路、通行期間をそろえ、複数台のトレーラをまとめて申請するのが包括申請です。この申請では、審査に使う「合成車両」の値をシステムが算定します。合成値は、幅・高さ・長さ・総重量・最大軸重のように大きいほど道路への影響が大きい値と、最遠軸距や隣接軸距のように小さいほど条件が厳しくなる値の組み合わせです。そのため、実在するどの車両とも異なる諸元になる場合があります。

Excelに用意するのは、1台ずつの実際の諸元です。車両ごとの値を正しく登録したうえで、システムの「合成車両の表示」で算定結果を開き、最大軸重や軸間距離に不自然な値がないかを見ておきましょう。合成車両を使った操作手順は、車両諸元の入力手順で扱っています。

よくある質問

積む荷物の重量が毎回変わる場合、どの重量で申請しますか?

積載する貨物の最大重量で申請します。許可は、申請した重量まで積んで走れるという内容です。申請重量を超えて積んで走ると、許可の内容に合わない通行として違反に問われるおそれがあります。

G値の判断に使う図面が手元にありません。

メーカーまたはディーラーに寸法図(外形図)を問い合わせてください。車検証の備考欄や諸元欄にトレッドが載っている場合もありますが、ダブルタイヤの車両では、その値が最外輪中心間距離と一致するとは限りません。

包括申請で、軸数が車両によって異なる場合はどうしますか?

原則は、軸種ごとに分けて別々の包括申請として提出する形です。寸法(幅・長さ・高さ)だけが一般的制限値を超える車両は例外で、軸種が違っても「複数軸種申請」として1つの包括申請にまとめられます。総重量が一般的制限値を超える車両を含む場合は、この扱いになりません。

軸重の合計が車両重量と一致しません。入力ミスですか?

入力ミスとは限りません。トレーラの重量の一部は、キングピンを通じてトラクタ側が支えています(第五輪荷重)。このため、トレーラの軸重の合計だけでは車両重量に届きません。軸重の合計に第五輪荷重を足しても大きく食い違う場合は、車検証や諸元表の数値を見直してください。

まとめ

トレーラの入力は、積載状態の値を使うところから始まります。長さはキングピン後長さ、幅と高さは荷物を含めた最大寸法で入れ、自重だけは車検証どおりの空車重量です。車検証の全長をキングピン後長さに使うことと、空車の高さをそのまま入れることは、どちらも補正指示につながりやすい入力ミスです。

L値は軸種説明図と外観図を並べて読み取り、輪数とG値は数え方と測る位置に注意してください。包括申請の合成値はシステムが算定するので、1台ずつの諸元を正しく入れておきましょう。

特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。

参考資料・公式情報
国土交通省 道路局・公益社団法人 全日本トラック協会 「車両諸元一覧表作成説明資料」
国土交通省 道路局・公益社団法人 全日本トラック協会 「特殊車両通行許可制度オンライン申請システム よくある申請書の不備の事例」
国土交通省 関東地方整備局 「特殊車両通行許可制度について」

特車申請のことでお困りならご相談ください

トレーラの諸元は、車検証の転記だけでは埋まらず、積載時の寸法や図面の軸間距離まで必要です。当事務所では、車両諸元の収集と計算から申請書類の作成、申請後の補正対応まで一括でお引き受けしています。トレーラ諸元の入力に迷ったときも、お気軽にお問い合わせください。

特車申請のご相談・お見積もりはお気軽にお問い合わせください。

年中無休 9:00〜19:00

目次