車両諸元の入力は転記作業ではありません。車検証の数値をそのまま貼り付けると、ほぼ確実に「不整合エラー」で弾かれます。
理由は3つあります。トラクタの「長さ」はカプラ中心まで、トレーラの「長さ」はキングピン中心から積載物後端まで。
いずれも車検証の全長とは別の定義です。輪数はダブルタイヤでも「2」で、実物のタイヤ本数とは一致しません。不整合エラー時の計算式はトラクタとトレーラで異なり、トレーラ側で両者を一致させようとするとかえってエラーになります。
軸種の選択と車両内訳の登録が終わったら、この3点を押さえながら数値入力画面へ進みます。
トラクタの入力手順
車両内訳入力画面の下にある「車両諸元説明書入力」ボタンを押すと、数値入力画面が開きます。

「車両諸元参照」ボタンの活用と注意点
申請する車両の型式が国交省のデータベースに登録されていれば、「車両諸元参照」ボタンで基本的な諸元を自動入力できます。ただし、幅・高さ・長さの3項目は自動入力の対象外です。
特に「長さ」は車検証の全長ではなくカプラ前長さを入力させるため、システムが一律で手動入力にしています。ボタンを押した後、必ずこの3項目を手動で入力します。
トラクタの「長さ」は車検証の全長ではない
入力するのは、車両最前部からカプラ(連結部)中心までの長さです。連結した状態ではカプラより後ろはトレーラと重なるため、システムはここで区切って計算します。
数値は外観図や諸元表で確認してください。具体的な転記手順はトラクタの車検証転記と照合対策で解説しています。
トレーラの入力手順
画面左上の「トラクタ/トレーラ切替」ボタンを押し、入力画面を切り替えます。

寸法は「積載状態の最大値」で入力
トレーラの幅・高さ・長さは、貨物を積載した状態での最大寸法を入力します。荷物が車両からはみ出す場合は、はみ出した分を含めた数値です。
長さについては、キングピン(連結ピン)中心から車両または積載物の最後部までの距離を入力します。後方に荷物がはみ出す場合は、その分も加算します。入力前の下準備についてはトレーラ車両諸元一覧表の正しい入力方法を参照してください。
包括申請では各軸の最大値を採用する
同じ型式のトレーラを複数台まとめて包括申請する場合、各軸の入力値は「その軸で一番重い数値」を採用します。3台のトレーラのC軸重がそれぞれ8t・9t・8.5tであれば、入力するのは9tです。
最大値で審査を通せば、すべての車両に適用できる許可が取得できます。包括申請の仕組みと差戻し対策もあわせて確認してください。
数値の入力と並んで見落としやすいのが、車両内訳一覧画面の操作です。複数台を登録した後、右端にある「代表車両番号設定」ボタンをクリックして、いずれか1台に「◎」を付ける必要があります。この操作を忘れるとシステムエラーになり、登録が完了しません。
「合成車両の表示」で法的チェックを受ける
数値の入力が終わったら、画面中央の「合成車両の表示」ボタンをクリックします。2019年から義務化された手順で、このボタンを実行しないと「登録」ボタンが有効になりません。
システムが行う2種類のチェック
重量の法的チェック 軸重(車軸1本あたり)が10t、隣接軸重が18〜20tの上限に収まっているかを確認します。軸間距離によって上限値が変わるため、諸元表での事前確認が必要です。
整合性チェック 車両の総重量と各車軸の重量合計の関係が正しいかを判定します。トラクタとトレーラで判定基準が異なるため、後述の計算式を参照してください。
問題がなければ「車両の諸元に関する説明書」のプレビューが表示されます。「閉じる」を押すと「登録」ボタンが有効になり、データを保存できます。
(トラクタ・トレーラともに入力済み)
2019年から義務化。押さないと「登録」ボタンが有効にならない
システムが自動チェック
プレビューが表示される
✅ 車両情報の登録完了
不整合があります」(赤字表示)
-
計算式の確認
トラクタ:重量=軸重合計
トレーラ:重量>軸重合計 -
輪数の確認
ダブル・シングル問わず左右で「2輪」 -
第5輪荷重の配分確認
Excelの諸元表で再計算
不整合エラーが出たときの対処手順
「車両重量、軸重の入力内容に不整合があります」と赤字が出た場合、以下の順番で確認します。
① トラクタとトレーラで異なる計算式を確認する
システムは車種によって整合性の判定基準が異なります。
- トラクタの場合: 車両重量(自重)= 各軸の軸重の合計
- トレーラの場合: 車両重量(自重)> 各軸の軸重の合計
セミトレーラは重量の一部をトラクタのキングピンが支えるため、「各軸の軸重合計」が「自重」より小さくなるのが正常です。トレーラ側で両者を一致させようとすると、かえってエラーになります。
② 「輪数」の入力ルールを確認する
特車オンラインシステムでは、輪数の定義が一般的な数え方と異なります。ダブルタイヤ・シングルタイヤにかかわらず、片側(左または右)のタイヤ群をまるごと「1輪」とカウントするため、左右合わせて合計「2」と入力します。実際のタイヤの本数(ダブルなら4本)で入力すると計算が合いません。
ダブルとシングルの区別は輪数ではなく、G値(最外輪中心間距離)で行います。G値が200cm以下ならダブル(コード1)、200cm超ならシングル(コード2)として扱うケースが多いです。
③ 第5輪荷重(カプラ荷重)の配分を確認する
トラクタの後軸重やトレーラ前方にかかる第5輪荷重の配分計算がずれていると、軸重の合計が合わなくなります。トラクタの寸法計算と足回りデータの入力手順で計算方法を確認し、Excelの諸元表で再計算します。連結最小回転半径の計算シートも同じExcelファイル内にあるため、あわせて見直すと効率的です。
| 項目 | ❌ 間違えやすい入力 | ✅ システムに入力する正しい値 |
|---|---|---|
| トラクタの 「長さ」 |
車検証の全長
(例:11,990mm → 1,199cm)
|
車両最前部〜カプラ中心まで
連結部より後ろはトレーラと重なるため、ここで区切る。外観図・諸元表で確認。
|
| トレーラの 「長さ」 |
車検証の全長
(積載物を考慮しない数値)
|
キングピン中心〜積載物最後部まで
後方に荷物がはみ出す場合はその分も加算する。
|
| 軸ごとの 「輪数」 |
実際のタイヤ本数
(ダブルタイヤなら4本と入力)
|
左右で「2輪」(ダブル・シングル共通)
ダブル/シングルの区別はG値(200cm以下=ダブル)で行う。
|
「車検証情報との照合」で最終確認
入力完了後、「車検証情報との照合」ボタンを押すと、国交省のデータベース(MOTAS)との突合が行われます。一致した場合はそのまま審査へ進めます。不一致または未登録の場合は、車検証の写し(PDF等)を添付して提出します。窓口で目視審査が行われるためです。
リフトアクスル車の扱い(2024年4月以降)
2024年4月以降に車検証が交付されたリフトアクスル付きトレーラは、車両内訳書入力画面で「車軸自動昇降装置があるトレーラを登録する」にチェックを入れ、「自動入力」ボタンを押すだけで、国交省データベースから計算済みの軸重が自動反映されます。
手計算も車検証PDFの添付も不要です。2024年3月以前に発行された車検証の車両は、従来どおり手計算とPDF添付が必要です。
まとめ
「合成車両の表示」でエラーが出たら、まず車種を確認します。トレーラは軸重合計が自重より小さくなるのが正常で、一致させようとするとかえってエラーになります。次に輪数が「2輪」になっているかを確認し、それでも解消しなければ第5輪荷重の配分をExcelに戻って再計算します。この3ステップで大半のエラーは解消します。
「合成車両の表示」がクリアできれば車両情報の登録は完了です。次は経路情報の入力へ進みます。
よくある質問(FAQ)
- Q車両諸元参照ボタンで自動入力したあと、そのまま進んでいいですか?
- A
幅・高さ・長さの3項目は自動入力されません。特に「長さ」は車検証の全長ではなくカプラ前長さを入力させるため、システムが一律で手動入力にしています。この3項目は必ず手動で入力してから次へ進みます。
- Qダブルタイヤの車軸の輪数は何と入力しますか?
- A
できません。2019年以降、「合成車両の表示」ボタンによるチェックは必須手順です。このボタンを押して説明書のプレビューが表示されるまで、「登録」ボタンは押せない仕様になっています。
- Qトレーラの不整合エラーで、軸重合計を自重に合わせようとするとエラーが出ます。なぜですか?
- A
2です。システム上の「輪数」は車軸の左右にあるタイヤ群の数として定義されています。ダブルタイヤでも物理的なタイヤの本数(4本)を入力するのではなく、片側を1輪とみなして左右で合計「2」と入力します。
- Q「合成車両の表示」ボタンを押し忘れると登録できませんか?
- A
登録できません。このボタンを実行しないと「登録」ボタンが有効にならない仕様です。2019年から義務化された手順で、スキップできません。
- Q包括申請で複数台のトレーラを登録する場合、軸重はどの数値を使いますか?
- A
各軸ごとに、複数台の中で最も重い数値を入力します。最大値で審査を通せば、その型式のすべての車両に適用できる許可が取得できます。
- Q. リフトアクスル車の軸重入力で、車検証PDFの添付は必要ですか?
- A
2024年4月以降に車検証が交付された車両は不要です。車両内訳書入力画面で「車軸自動昇降装置があるトレーラを登録する」にチェックを入れ、「自動入力」ボタンを押すと国交省のデータベースから軸重が自動反映されます。2024年3月以前の車検証の車両は、従来どおりPDF添付が必要です。
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