特車申請を出したのに許可まで数か月かかっている、あるいは「個別審査が必要です」と道路管理者から連絡が来た、という状況は現場でよく起きます。
通常の特車申請は標準処理期間内に許可が下りますが、個別審査が必要な申請はシステムの自動算定では処理できず、道路管理者が個別に検討を行います。この審査に入ると許可まで最短でも1か月以上、場合によっては数か月待つことになります。個別審査が発生する原因と、発生した場合の進め方を整理します。
個別審査とは
個別審査とは、申請車両が申請経路を物理的に通行できるかどうかを、各道路管理者が個別に検討して許可または不許可を判断する審査です。
通常の審査では、道路情報便覧のデータをもとにシステムが自動で算定を行い、通行条件を判定します。しかし、自動算定では処理できない要因が含まれる場合、道路管理者が現地調査・構造計算・関係機関との協議を行う個別審査に移行します。
個別審査では、申請先の道路管理者が関係する他の道路管理者に「協議」を行い、その結果によって「許可」「通行条件付きの許可」「不許可」のいずれかが決まります。通常審査と異なり、不許可になる可能性がある点が最大の違いです。
個別審査が発生する主な原因
超重量車両・超寸法車両の申請
特車申請の許可限度算定要領(算定要領)で算定できる上限を超える車両は、必ず個別審査になります。
超重量車両は算定要領による許可限度重量を超える車両、超寸法車両は許可限度寸法を超える車両を指します。これらの車両では、橋梁の耐荷重確認・交差点通過の可否・夜間通行条件の検討等が個別に行われます。重セミやポールトレーラによる大型重機・超重量物の輸送ではほぼ確実に個別審査が発生します。
未収録道路を含む申請
道路情報便覧に収録されていない道路(未収録道路)が経路に含まれる場合、システム上で自動算定ができないため個別審査になります。全国の道路の7割以上が未収録道路とされており、この原因による個別審査は件数としても多く発生しています。
未収録道路では、協議を受けた道路管理者が現地調査を実施してから算定を行うため、審査期間がさらに延びます。
その他の原因
道路幅員が狭く、申請車両が物理的に通行できるかどうかシステムで判定できない箇所がある場合にも個別審査が発生します。幅の広い車両・長い連結車で起きやすく、交差点における旋回軌跡の検討が必要になることがあります。
橋梁の耐荷重確認が必要なケースも同様です。申請車両の総重量や軸重が大きく、古い橋梁・小規模な橋梁が経路に含まれるときは注意してください。
このほか、申請車両の幅・長さ・高さ・重量等が高速道路の基準に対して総合的な判断を要する場合に、個別審査が発生することがあります。
通常審査は最短3週間、個別審査は1か月以上
通常審査と個別審査の比較
| 通常審査 | 個別審査 | |
|---|---|---|
| 審査方法 | システムによる自動算定 | 道路管理者による個別検討 |
| 標準処理期間 | 新規・変更:3週間以内 更新:2週間以内 |
1か月〜数か月 |
| 不許可の可能性 | 低い(算定要領の範囲内) | あり |
| 追加書類 | 原則不要 | 求められることがある |
| 現地調査 | なし | ある場合がある |
標準処理期間(新規・変更申請は3週間以内、更新申請は2週間以内)は、次の3条件をすべて満たす場合にのみ適用されます。
- 申請経路が収録道路のみで完結している
- 申請車両が超寸法車両・超重量車両でない
- 申請後に経路・諸元等の変更がない
いずれか1つでも該当しない場合、標準処理期間の枠外となります。
超寸法車両は3点セットが必須
個別審査では、通常の申請書類に加えて以下の書類の提出を求められます。不足していると差戻しになり、審査がさらに延びます。
超寸法車両の3点セット(軌跡図・運行計画書・理由書)
システムの算定で超寸法と判定された場合、旋回軌跡図・運行計画書に加えて、「なぜこの寸法でなければ運搬できないのか」を示す理由書の添付が必須です。理由書が抜けていると差戻しになります。
未収録道路の付近図
経路に未収録道路が含まれる場合、道路管理者が場所を特定できず審査が止まることがあります。未収録路線の場所と前後の10桁の交差点番号を記載した付近図(手書き可)を添付してください。審査の進行が早まります。
応力計算書・強度計算書
橋梁等の耐荷重を確認するため、超重量車両等で提出を求められることがあります。メーカーや設計事務所への手配が必要になるため、早めに準備を進めてください。
許可が出ても厳しい通行条件が付く
個別審査の結果として許可が下りる場合、通常審査より厳しい通行条件が付されることがあります。
重量に関してD条件となる車両、または寸法C条件で車両幅が3mを超える車両は、夜間通行(21:00〜6:00)が条件になります。なお、2024年4月からの試行措置として、重量D条件では安全上問題がないと道路管理者が認めた道路に限り、通行時間帯が20:00〜7:00に拡大されています。
夜間通行以外にも、誘導車に加えて連絡車・誘導員等の配置が求められる「特別の誘導方法」、橋梁等における走行位置の指定、橋梁等の補強(許可の前提条件になる場合もあり)といった条件が付されることがあります。
簡易算定と事前相談で審査期間を縮める
簡易算定で個別審査区間を事前に確認する
申請データを提出する前に、システムの簡易算定機能を必ず実行してください。出力される「C・D条件及び個別審査箇所一覧」の帳票に、経路上で個別審査が必要な交差点や橋梁が明記されます。
個別審査マークが出た区間やD条件の橋梁がある場合は、申請前にその区間を迂回する経路に引き直すことで、個別審査そのものを回避できるケースがあります。事前相談の前にまず簡易算定を回して状況を把握してください。
事前相談で必要書類と見通しを確認する
超重量・超寸法車両の申請では、申請前に道路管理者の窓口に事前相談を行ってください。必要書類・通行条件の目安・審査に必要な期間を事前に把握でき、申請後の手戻りを防げます。
申請書類を過不足なく揃える
個別審査が発生する申請では、書類の不備があると審査期間がさらに延びます。旋回軌跡図・運行計画書等の必要書類は申請時点で完備してください。
スケジュールに十分な余裕を持つ
超重量・超寸法車両の個別審査は最低でも1か月以上かかります。複数の道路管理者が関係する経路では数か月に及ぶこともあります。輸送スケジュールから逆算して、早めに申請を開始してください。
まとめ
個別審査は、道路管理者が申請車両の通行可否を個別に検討する審査です。システムの自動算定では処理できない場合に発生し、超重量・超寸法車両や未収録道路を含む申請が主な原因になります。標準処理期間(新規・変更は3週間以内、更新は2週間以内)は個別審査には適用されず、審査期間は最低1か月以上、複数の道路管理者が関わる場合は数か月を見込む必要があります。
超寸法車両では旋回軌跡図・運行計画書・理由書の3点セットが必須で、1つでも欠けると差戻しになります。未収録道路が含まれる場合は交差点番号を記載した付近図を添付すると審査の進行が早まります。申請前に簡易算定で個別審査箇所を確認し、迂回ルートに修正することで審査移行そのものを回避できるケースもあるため、事前の経路検討と書類準備が審査期間短縮の基本です。
よくある質問
- Q個別審査が発生すると必ず不許可になりますか?
- A
必ずしも不許可にはなりません。個別審査の結果として「許可」「通行条件付きの許可」「不許可」のいずれかが決まります。ただし通常審査と異なり不許可になる可能性があるため、申請前の事前相談と書類の完備が重要です。
- Q個別審査にはどのくらいの期間がかかりますか?
- A
最低でも1か月以上を見込む必要があります。複数の道路管理者が関係する経路や、関係機関との協議が必要な場合は数か月に及ぶこともあります。申請が多い時期は審査に通常より時間がかかる場合があります。
- Q未収録道路が経路に含まれる場合、必ず個別審査になりますか?
- A
なります。未収録道路はシステム上での自動算定ができないため、道路管理者による個別審査が必要です。道路管理者が現地調査を実施してから算定を行うため、収録道路のみの経路より審査期間が長くなります。
- Q個別審査が必要な申請でも、標準処理期間内に許可が下りることはありますか?
- A
標準処理期間は個別審査を想定していないため、個別審査が発生する申請には適用されません。超重量・超寸法車両や未収録道路を含む申請では、標準処理期間内に許可が下りることは原則ありません。
- Q個別審査が必要かどうか、申請前に確認できますか?
- A
システムの「簡易算定機能」を使えば事前に自分で確認できます。申請データを作成して簡易算定を行うと出力される「C・D条件及び個別審査箇所一覧」の帳票に、経路上で個別審査が必要になる交差点や橋梁が明記されます。超重量・超寸法車両や未収録道路を通行する場合はシステム算定できず個別審査が確定するため、その場合は道路管理者の窓口に事前相談し、必要な追加書類(軌跡図・付近図等)を確認してから申請を進めてください。

