「10t軸が2本あるから20tまで積める」は間違い
特車申請のシステムに車両情報を入力すると、総重量は問題ないはずなのに「隣接軸重超過」というエラーが表示されて申請が進まない。このトラブルは、2軸以上の大型車やトレーラを使う運送会社で多く発生します。
原因は、多くの方が誤解している「軸重の計算ルール」にあります。道路法では、車両の総重量だけでなく、タイヤや車軸の1点にかかる重さ(軸重・輪荷重)を厳密に制限しており、特に車軸が近接している場合は、通常よりも厳しい制限が適用されます。
この記事では、特車申請で最も誤解が多く、エラーの原因になりやすい「隣接軸重(りんせつじくじゅう)」の計算ルールと、実務での確認方法を解説します。

軸重・輪荷重の基本制限値
まず、道路法(車両制限令)で定められた基本的な制限値を整理します。これを超えると「特殊車両」扱いとなり、通行許可が必要になります。
軸重(じくじゅう):10.0トン
軸重とは、1本の車軸(左右のタイヤをつなぐ軸)にかかる重さのことです。制限値は最大10.0トンです。
注意すべきは、総重量が軽くても荷物の積み方が偏っている(偏積載)と、特定の軸だけが10tを超えるケースです。たとえば荷台の極端に前方に重い荷物を積むと、前輪の軸重だけが基準を超えてしまいます。
輪荷重(りんかじゅう):5.0トン
輪荷重とは、1つの車輪にかかる重さのことです。制限値は最大5.0トンです。
ここで注意が必要なのがダブルタイヤ(タイヤが2本並んでいるもの)の扱いです。大型トラックによくあるダブルタイヤは、特車申請のシステム上「1つの車輪」としてカウントされます。つまり、タイヤが2本あっても、そのセット全体で5.0トンが上限となります。

最も間違いやすい「隣接軸重」の1.8mルール
ここが特車申請における最大の落とし穴です。
後輪2軸のトラックや3軸トレーラなど、車軸が連続して並んでいる場合、単純に「10t × 軸数」の重さが許されるわけではありません。隣り合う車軸の距離(隣接軸距)が近いと、道路の一点に負荷が集中するため、制限値が厳しく補正されます。これを「隣接軸重」と呼びます。
距離によって変わる制限重量
隣り合う2本の車軸にかかる重さの合計は、軸と軸の距離によって以下のように制限されます。
| 隣接軸距(軸と軸の距離) | 制限重量(2軸の合計) | 備考 |
|---|---|---|
| 1.8m 以上 | 20.0トン | 10t+10tで計算OK |
| 1.3m以上 ~ 1.8m未満 | 19.0トン | ※条件により18.0トンの場合あり |
| 1.8m 未満 | 18.0トン | 多くの車両がこれに該当 |
なぜ申請エラーになるのか
多くの大型車やトレーラは、軸の間隔が1.8m未満(例:1.3m、1.4mなど)で製造されています。
そのため、「10t軸が2本あるから合計20tまで積める」という前提で申請データを作成すると、システム上で「隣接軸重超過(制限18tまたは19tに対して20tで申請)」と判定され、エラーになります。

実務での確認方法と対策
ステップ1:車検証で軸距を確認する
車検証の「備考欄」または「諸元表」に記載されている軸距(L寸法)を確認します。多くの場合、以下のような記載があります:
- 「第1軸・第2軸間:1,350mm」
- 「軸距:1.35m」
この数値が1.8m(1,800mm)未満であれば、隣接軸重の制限が適用されることになります。
ステップ2:積載重量を調整する
隣接軸距が1.8m未満の場合、2軸の合計重量を以下のように調整します:
- 1.8m未満の場合: 2軸合計で18.0t以下に抑える
- 1.3m~1.8m未満の場合: 条件により18.0tまたは19.0t以下に抑える
たとえば、軸距1.3mの2軸車の場合、各軸9.0tずつ(合計18.0t)が上限となります。「車両の最大積載量」いっぱいまで積むと、特車の許可基準を超えてしまうことがあるため注意が必要です。
「11.5トン」まで緩和される特例措置
特定の車両に限っては、軸重の制限(10t)が緩和される特例があります。
対象:国際海上コンテナ車・特例8車種
以下の条件を満たす車両の駆動軸(後ろのタイヤ)は、軸重が11.5トンまで緩和されます。
対象車両:
- 国際海上コンテナ車(40ft背高コンテナなど)
- 特例8車種(バン型、タンク型、自動車運搬用など)のセミトレーラ連結車
条件:
- 2軸の認証トラクタであること
- エアサスペンション等、道路への衝撃を軽減する構造であること
この緩和により、重いコンテナを積んでもトラクタの後輪が重量オーバーにならずに済みます。ただし、申請時にはシステム上で正しく緩和が適用されているか(認証トラクタとして認識されているか)を、橋梁照査結果の表示などで必ず確認してください。
重要物流道路を活用することで、国際海上コンテナ車の通行条件がさらに緩和される場合があります。
軸重緩和とあわせて確認しておくと、申請の選択肢が広がります。
→ 重要物流道路なら許可不要?国際海上コンテナ車がスムーズに走るための条件
バラ積み貨物は緩和が受けにくい
土砂、液体、一般雑貨などのバラ積み貨物を運ぶ場合は、さらに注意が必要です。
バラ積み貨物は「分割可能(減らそうと思えば減らせる)」とみなされるため、基本的に重量の緩和措置が受けにくい傾向があります。
実際の申請事例では、バラ積み貨物を積載した2軸セミトレーラにおいて、隣接軸重が19t以上になってしまい、「一般的制限値(18tまたは19t)まで荷物を減らしてください」と指導され、申請が差し戻されるケースがあります。
車両の構造上の最大積載量いっぱいまで積むと、特車の許可基準を超えてしまうことがあるため、申請上の限界値を事前に把握しておくことが重要です。
重量に関するルールは、軸重だけでなく道路の種別によっても変わります。
重さ指定道路では最大25tまで走行できると思われがちですが、実際には使えないケースが3つ存在します。
→ 重さ指定道路で25tが使えない3つのケース
よくある質問
- Q軸重10tの車軸が2本あれば、合計20tまで積んでいいですか?
- A
車軸の間隔(隣接軸距)によります。軸と軸の距離が1.8m未満の場合、2軸の合計重量は18.0tまたは19.0tに制限されます。「10t×2本=20t OK」は誤りで、特車申請システムで隣接軸重超過のエラーが出る代表的なケースです。
- Q隣接軸距はどこで確認できますか?
- A
車検証の備考欄または諸元表に「第1軸・第2軸間:○○mm」のように記載されています。1,800mm(1.8m)未満であれば、隣接軸重の制限が適用されます。
- Qダブルタイヤは輪荷重の計算でどう扱われますか?
- A
特車申請のシステムでは、ダブルタイヤ(2本並びのタイヤ)は「1つの車輪」として扱われます。タイヤが2本あっても、そのセット全体で5.0t以内に収める必要があります。
- Q海上コンテナを運ぶトラクタは軸重の緩和が受けられますか?
- A
2軸の認証トラクタでエアサスペンション等の構造要件を満たしている場合、駆動軸の軸重は11.5tまで緩和されます。ただし申請時に認証トラクタとしてシステムに正しく反映されているかを必ず確認してください。
- Qバラ積み貨物でも隣接軸重の緩和措置は使えますか?
- A
バラ積み貨物(土砂・液体・一般雑貨など)は「分割可能」とみなされるため、緩和措置が受けにくい傾向があります。2軸の合計が18t以上になる場合は荷物を減らすよう指導・差戻しとなるケースがあります。
まとめ:申請前に必ず軸距を確認する
特車申請において、総重量と同じくらい重要なのが「軸重」のマネジメントです。
押さえるべきポイント:
- 軸重は10t、輪荷重は5tが基本ルール
- 軸が隣り合っている場合(1.8m未満)、2軸の合計は18t~19tに制限される(20tではない)
- 海コンや特例車種は、駆動軸が11.5tまで緩和される場合がある
- 車検証で軸距を確認し、隣接軸重の制限値を超えないように積載重量を調整する
システムに入力する際は、車検証の数値だけでなく、実際に荷物を積んだ時の「偏り」や「軸間の距離」を計算に入れないと、許可は下りません。不明な場合は、申請システムの簡易算定機能を活用して、軸重エラーが出ていないか事前にシミュレーションしてください。
特殊車両通行許可の申請でお困りの場合はお気軽にご相談ください。
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