コンクリートポンプ車の特車申請は、公道を走る状態の寸法と、各軸にかかる重量を拾い出すところから始まります。生コンクリートを積んで運ぶ車両ではなくても、ブームやポンプ装置を備えた車両そのものが、道路の基準を超えることがあるためです。
「25tクラスだから申請不要」「貨物を積んでいないから空車で問題ない」とは言い切れません。車種名や総重量だけでは決まらず、大型車では総重量より先に軸重や隣接軸重が基準を超えることもあります。実際に走る状態の車両諸元と、通行する道路の基準を組み合わせて判断してください。
この記事では、空車でも申請が必要になる理由から、25tクラスの扱い、軸重、車両資料、建設現場までの経路まで順に取り上げます。
コンクリートポンプ車が特車申請の対象になる理由
特殊車両通行制度では、積む貨物だけでなく、車両そのものの構造や諸元が道路の制限値を超える場合も対象です。
コンクリートポンプ車に載っているのは、ブーム、ポンプ装置、ホッパー、油圧装置、アウトリガーなどの装置です。こうした装置を備えるため、一般的なトラックと比べて車両総重量が大きくなったり、特定の車軸へ重量が集中したりすることがあります。
基準となる一般的制限値は次のとおりです。
| 項目 | 一般的制限値 |
|---|---|
| 幅 | 2.5m |
| 長さ | 12.0m |
| 高さ | 3.8m |
| 総重量 | 20.0t |
| 軸重 | 10.0t |
| 輪荷重 | 5.0t |
| 隣接軸重 | 18〜20t |
| 最小回転半径 | 12.0m |
ただし、申請が必要かどうかは、この表だけでは答えが出ません。重さ指定道路や高さ指定道路では別の一般的制限値が適用されるため、車両諸元と実際の通行経路を照らし合わせます。
空車でも申請が必要になる場合
コンクリートポンプ車は、生コンクリートを積んで現場へ運ぶ車両ではありません。それでも、貨物を積んでいない状態で総重量・軸重・高さ・長さなどが道路の基準を超えていれば、特車制度の対象です。
たとえば、総重量は基準内でも、ブームやポンプ装置の重量配分によって、1軸10tの基準を超えるケースが出てきます。格納したブームを含む全高や車両全長が基準を超える場合も、同じ扱いです。
「空車だから申請は不要」と考えるのではなく、実際に道路を走る状態の車両諸元で判断してください。空車のときの基準は、空車でも特車申請が必要になるケースと共通しています。
25tクラスは特車申請が必要?
コンクリートポンプ車には、車両総重量25t前後の大型車両もあります。ただ、「25t以下なら特車申請は不要」とは言えません。
通常の道路では、総重量の一般的制限値は20tです。高速自動車国道や重さ指定道路では、最遠軸距(最前部の車軸から最後部の車軸までの距離)と車両の長さに応じて、20t・22t・25tの最高限度が適用されます。
| 車両条件 | 総重量の最高限度 |
|---|---|
| 最遠軸距5.5m未満 | 20t |
| 最遠軸距5.5m以上7m未満で、貨物を積載していない状態の長さが9m以上 | 22t |
| 最遠軸距7m以上で、貨物を積載していない状態の長さが11m以上 | 25t |
25tという数字だけで扱いを決めないでください。その車両が25tの基準を使える諸元かどうか、経路が高速自動車国道や重さ指定道路かどうかで扱いが変わります。
総重量が25tの基準内でも、軸重・隣接軸重・高さなど別の項目が基準を超えていれば、申請の対象です。25tの重さ指定道路も、車両条件と道路の指定がそろったときに25tまで認められます。
総重量より先に軸重が超えることも
コンクリートポンプ車は、ブームやポンプ装置など重い設備を車体に固定した構造です。そのため、総重量が基準内でも、特定の車軸に大きな荷重がかかっていないか注意が必要です。
道路法上は、総重量とは別に、軸重10t、輪荷重5t、隣接軸重18〜20tの基準が設けられています。4軸車だから総重量を4で割ればよい、という単純な計算にはなりません。装置の配置や車両構造によって、各車軸にかかる重量は変わります。
申請では、車検証やメーカー諸元表で各軸の重量を調べてください。軸重・輪荷重・隣接軸重は、総重量とは別の項目として扱います。
高さ・長さ・幅は公道を走る状態で

コンクリートポンプ車は、作業時と走行時で形が大きく変わります。特車申請で使うのは、現場でブームやアウトリガーを広げた状態ではなく、公道を走るときの状態です。
| 項目 | 一般的制限値 | コンクリートポンプ車で使う寸法 |
|---|---|---|
| 高さ | 3.8m(高さ指定道路は4.1m) | ブームなどを格納した状態で、地面から車両の最も高い部分まで |
| 長さ | 12.0m | 車両本体のシャーシ長だけでなく、格納したブームや後部装置を含めた最前端から最後端まで |
| 幅 | 2.5m | アウトリガーを格納した走行時の車幅 |
高さ指定道路では、高さの一般的制限値が4.1mになります。
申請前に用意する車両資料
特車申請の基本資料は車検証です。ただ、大型のコンクリートポンプ車では、車検証だけで必要な諸元がそろうとは限りません。特に必要になるのは、車両総重量、幅・長さ・高さ、各軸重、軸距(隣り合う車軸の間の距離)、最小回転半径です。メーカーの車両諸元表や外観図も用意しておくと、申請を進めやすくなります。
架装内容によってメーカーの標準諸元と実車の状態が違う場合は、現在の車両状態がわかる資料を使ってください。申請の途中で軸重や寸法がわからなくなると、メーカーや販売店へ追加資料を頼むことになりかねません。経路を作る前に、車両資料をそろえておきましょう。
特車申請は、車両の寸法や軸重だけでなく、建設現場までの経路づくりにも手間がかかります。当事務所では、車両・経路の確認から、申請書類の作成・申請後の補正対応まで代行します。
建設現場までの経路
コンクリートポンプ車は、建設現場まで自走で向かいます。そのため、幹線道路だけでなく、車両が実際に現場へ入る地点までの経路が申請の対象です。
高速道路や国道では問題なく通れても、現場直前の市道や区道で通れなくなる場合があります。問題になるのは、道路幅や橋梁、重量制限、高さ制限などです。大型のポンプ車は車両長もあるため、交差点を曲がり切れるかどうかでも通れる道が変わります。地図上で道路がつながっているかだけを頼りにせず、車両諸元と目的地までの道路条件を合わせて考えましょう。
現場付近が未収録道路の場合
道路情報便覧に収録されていない市道や区道は、建設現場近くの経路に入ってくることがあります。こうした未収録道路では、便覧のデータだけで自動算定を終えられません。道路管理者との個別審査や協議が必要になる場合もあります。
現場までの最後の数百メートルだけが未収録というケースもあり、幹線道路だけでは収録状況はわかりません。未収録区間がある場合は、正式な路線名や、収録道路との接続位置、実際の通行経路を早めに把握しておきましょう。
審査期間も、「未収録道路なら何か月」と一律に決まるものではありません。車両諸元や道路管理者、道路構造、協議の内容によって変わります。
複数の現場へ向かう場合
同じポンプ車で複数の現場へ向かう場合は、現場ごとの出発地・目的地と通行経路を早めに書き出しておきましょう。予定が見えていれば、申請経路を組みやすくなります。1つの申請に複数の経路を設定できる場合もあり、現場ごとに毎回別の申請になるとは決まっていません。
この複数経路の申請は、複数の車両をまとめて申請する包括申請とは別の仕組みです。現場ごとに経路が変わるのか、複数の車両で同じ経路を使うのかによって、申請の組み方も変わります。
通行条件や誘導車が付く場合
特殊車両通行許可では、車両の寸法・重量と道路構造の審査結果に応じて、A・B・C・Dなどの通行条件が付くことがあります。同じポンプ車でも、通る橋梁や道路が違えば条件も違ってくる点に注意してください。
重量や寸法が大きい場合は、経路によって徐行や誘導車の配置、他車との同時通行を避ける条件などが付くこともあります。
実際の運行では、交付された許可証や条件書の内容に沿ってください。
特車申請を判断する順番
申請が必要かどうかは、次の4つの順番で進めます。
| 順番 | やること | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 走行時の車両諸元をつかむ | ブームやアウトリガーを格納した状態の幅・長さ・高さ・総重量・軸重など。車検証で足りない場合はメーカー諸元表や外観図も使う |
| 2 | 総重量と各軸の重量を出す | 軸重・隣接軸重・輪荷重まで。25tクラスは、その車両と経路に25tの基準が適用されるかも含める |
| 3 | 現場までの経路をつなぐ | 出発地から建設現場まで、実際に通る道路をつなげる。重さ指定道路、高さ指定道路、橋梁、未収録道路も経路全体で把握する |
| 4 | 必要な手続きを決める | 車両諸元と通行経路を照らし合わせ、特殊車両通行許可などの手続きが必要かどうかを決める |
すでに許可を持っている車両でも、新しい現場までの経路が許可の内容に含まれているか、許可証に目を通してください。
よくある質問
- コンクリートポンプ車は空車でも特車申請が必要ですか?
-
必要になることがあります。ブームやポンプ装置を備えた車両そのものの寸法・重量が基準を超えていれば、貨物がなくても特車制度の対象です。必要かどうかは、公道を走る状態の諸元と、通る道路の基準によって変わります。
- 25tのコンクリートポンプ車なら許可は不要ですか?
-
25tという数字だけでは決められません。総重量25tまで認められるのは、高速自動車国道や重さ指定道路を通り、最遠軸距と車両の長さの条件も満たす場合です。条件を満たさない場合の上限は20tや22tで、軸重や高さなど総重量以外の項目にも、それぞれ基準がかかります。
- 車幅はアウトリガーを広げた状態で申請しますか?
-
通常は、アウトリガーを格納して公道を走るときの車幅を使います。現場で作業するときに広げた幅は、申請の車幅とは別です。
- 総重量が基準内なら申請は不要ですか?
-
総重量が基準内でも、ほかの項目が基準を超えていれば申請が必要です。比べる項目には、軸重、隣接軸重、輪荷重、幅、長さ、高さも含まれます。コンクリートポンプ車は装置の配置によって特定の車軸へ重量が集中することもあるため、各軸の重量まで調べておきましょう。
- 現場付近に未収録道路があっても申請できますか?
-
未収録道路を含む経路でも、特殊車両通行許可を申請できます。道路管理者との個別審査や協議が必要になる場合もあるため、正式な路線名や現場までの経路を早めに把握しておいてください。
まとめ
コンクリートポンプ車は、貨物を積んでいなくても、車両そのものの寸法・重量で特車申請が必要になることがあります。寸法はブームやアウトリガーを格納した走行時の状態で測り、重量は軸重や隣接軸重まで基準と比べてください。
25tクラスも、数字だけでは申請が必要かどうかは決まらず、最遠軸距や車両の長さ、通る道路で扱いが変わります。経路は、建設現場までの市道・区道や未収録道路まで含めて判断してください。
特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
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