高所作業車の特車申請|4項目の諸元確認・自走と積載輸送の違い・審査期間

公道を自走する大型高所作業車。特殊車両通行許可申請が必要な格納状態での走行シーン。

高所作業車の特車申請で最初に確認するのは、移動方法です。自走で現場まで動かすのか、トレーラに積んで回送するのかによって、判定に使う諸元が変わります。自走なら格納状態の車両単体、積載輸送ならトレーラとの合計諸元が基準となります。

どちらの移動方法でも、高さ・総重量・軸重・幅の4項目を個別に照合します。車検を通っていても申請が必要になるのは、車検(道路運送車両法)と特車申請(道路法)では根拠法が異なるためです。構造が制限値を超えていれば、車検の合否は申請要否に影響しません。

目次

申請要否を決める4つの制限値

高所作業車の特車申請:確認すべき4制限値

項目 制限値 超過しやすい機種
高さ3.8m作業高さ12m前後以上の機種
総重量20t作業高さ20m超の大型機種
軸重10t(前後軸各)後軸に重量集中する機種全般
2.5m作業装置が張り出す一部の機種

高さ:格納状態の全高で判定する

制限値は3.8mです。「作業高さ」と「格納時の全高」は別の数値で、カタログの作業高さだけで判断すると申請漏れになります。電気・通信工事で使われる屈折ブーム式・垂直昇降式の大型機種は作業高さが小さくても格納時に制限値を超える型式があり、作業高さ12m前後以上の機種はとくに確認が必要です。経路の全区間が高さ指定道路に指定されており全高が4.1m以内なら、高さの申請は省略できます。

総重量:作業高さ20m超の大型機種が超過しやすい

制限値は20tです。作業高さ10m以下の小型機種は5〜10t程度の型式が多く、大型機種でも作業高さ20mを超えてくると超過しやすくなります。いずれも車検証の数値で個別に確認します。

軸重:後軸への重量集中に気をつける

制限値は10tです。高所作業車は作業装置の重量が後軸に集中する構造のため、総重量が20t以内でも後軸の軸重が10tを超える型式があります。車検証には前軸・後軸それぞれの軸重が記載されているので、積車状態(作業装置搭載・燃料満タン)の数値を確認します。軸重の考え方は特車申請の軸重・輪荷重・隣接軸重で整理しています。

幅:中古車は実測値との照合も必要

制限値は2.5mです。作業装置の構造によっては格納状態でも超過する型式があります。中古車では改造が施されていると車検証の数値と実態がずれることがあるため、実測値との照合が必要です。

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自走時:メーカー諸元表との突き合わせが必要

ブームの取り付け構造上、車検証の記載より実態の全高がわずかに高くなる型式があるため、メーカー諸元表との照合が必要です。イチコーポレーション・タダノ・長沢製作所などは型式を伝えると諸元表を案内しています。中古車は、前オーナーから引き継いだ書類一式に含まれているか先に確認します。最小回転半径の上限は12.0mで、屈折ブーム式の機種は格納状態でも車体後部が張り出すため、交差点を含む経路は旋回軌跡を事前に把握しておきます。

高さ・重量が複合超過するケース

全高が3.8mを超え、かつ総重量・軸重でも制限値を超える場合は、1件の申請で両方を兼ねて対応できます。申請区分が「寸法+重量」の複合超過となり、通行条件A〜Dは寸法側・重量側それぞれで判定されます。複数の条件が付いた場合は、より厳しい側が適用されます。D条件が付くと夜間走行・誘導車配置が義務になるため、工期への影響は申請前に工程担当者と確認しておきます。

車検証の備考欄に「保安基準緩和」の記載がある車両は、特車申請の前に基準緩和認定の取得が先です。手順の組み立て方は基準緩和認定と特車申請の違いで確認できます。


積載輸送時:トレーラとの合計諸元で判定する

高所作業車をトレーラで回送する場合は、積載状態の合計諸元で申請要否を判断します。高所作業車単体が制限値以内でも、トレーラと組み合わせると高さ・重量・長さのいずれかが超過するのが実態です。

高さは、トレーラの床面高さに高所作業車の全高を足した値が判定基準です。低床トレーラ(床面高さ80〜100cm程度)に大型機種を積載すると4m前後になることが多く、高さ超過はほぼ前提で考えます。床面高さはトレーラの型式ごとに異なるため、使用するトレーラの実測値で計算します。

総重量は、牽引車を含むトレーラの車両重量(自重の合計)に高所作業車の車両重量を合算した値です。中型以上の機種では合計が20tを超えることがあり、トレーラ側の軸重も別途確認が必要です。

全長は、大型機種では10mクラスのトレーラに積載した時点で合計12mを超えることが多く、長さでも申請対象になります。高所作業車がトレーラからはみ出す場合は、制限外積載許可(警察署への申請)の要否も並行して判断します。

申請者はトレーラの運行事業者です。高所作業車の所有者が別会社でも、公道を走行するトレーラを運行する事業者が申請義務を負います。リース車や傭車を使う場合の考え方は特車申請は誰が出す?で整理しています。


申請の流れと審査期間の目安

STEP 1:経路の確定と事前診断

出発地から目的地(現場ゲート前)まで全区間を確定します。高所作業車の回送経路は工事現場の近接道路に未収録道路(市道・農道など)が含まれやすく、路線名の特定に時間がかかります。現場が決まった段階で経路調査を始め、オンライン申請システムの簡易算定で通行条件の見通しを確認してから書類作成に入ります。

STEP 2:申請書類の作成と提出

国道が経路に含まれる場合はオンライン申請システムから提出します。都道府県道・市区町村道のみで完結する経路は自治体窓口または自治体申請システムを使います。詳細な手順は特車申請の流れと審査日数にまとめています。

STEP 3:審査

経路の種類審査期間の目安
収録道路のみの経路(複数管理者含む)新規3週間以内、更新2週間以内
未収録道路が含まれる経路・協議が発生する場合1〜2か月以上
橋梁個別審査が発生する区間2か月以上

手数料は、1つの道路管理者で完結する場合は原則無料です。複数管理者にまたがる経路はオンライン申請で1経路あたり200円です。計算方法は特車申請の手数料で確認できます。

許可証の受領後の携行義務・通行条件の運用については特車許可証の携行義務と備え付け書類を参照してください。


まとめ

工期から逆算すると、国道のみの経路でも現場入りの1か月前、複数管理者にまたがる経路では2か月前には申請を出しておく必要があります。経路に未収録道路が含まれるなら、路線名の調査だけで数日かかることを見込んで、現場が決まった段階で動き始めます。諸元確認も車検証だけで完結せず、メーカー諸元表との突き合わせが済んでから書類作成に入るのが差戻しを防ぐ順番です。

建設業全般の特車申請の実務ポイントは建設業の特車申請にもまとめています。申請の要否判断から書類作成まで一括して依頼したい場合は、下記からご相談ください。

特車申請の制度・手続き・車種別対応の全体像は特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。

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よくある質問

車検証の全高が3.8m以内なら高さの申請は不要ですか?

高さについては申請不要です。ただし総重量・軸重・全幅で制限値を超える場合は申請が必要です。4項目すべてを個別に確認します。

作業高さ10mの小型機種でも申請が必要になりますか?

全高が3.8mを超える型式や、後軸への荷重集中で軸重が10tを超える型式では申請が必要です。作業高さが小さくても型式ごとに諸元が異なるため、車検証の数値で個別に確認します。

トレーラに積んで輸送する場合、申請はどちらが行いますか?

トレーラを運行する事業者です。高所作業車の所有者が別会社でも、公道を走行するトレーラ側の運行事業者が申請義務を負います。

複数の現場を同じ機種で回る場合、現場ごとに申請が必要ですか?

経路が変わる場合は申請が必要です。複数の現場への経路があらかじめ確定しているなら、まとめて包括申請することで手続きの手間を減らせます。

許可期間中に車検を受けた場合、許可は失効しますか?

車検は許可の有効性に影響しません。ただし車検によって車検証の記載事項(重量など)が変更になった場合は、変更申請が必要かどうか確認します。

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